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ゴールデンウィークに海釣りをしても意外と釣れない理由

春霞みでぼんやり見える明石海峡大橋

ゴールデンウィークが近づくと気温も安定し、アウトドアの趣味を始めたい気分が一気に高まります。

釣りに関してもいよいよ海釣りのシーズンインという雰囲気になる時期。冬場は休止していてもゴールデンウィークから釣りを再開する人は多いですし、この機会に初めて釣りに挑戦したいと考えるビギナーも多いはず。

でもちょっと待ってください。

ゴールデンウィークぐらいの時期って意外と魚が釣れないのです。少なくとも関西、大阪湾では。釣り場が大混雑している割には魚が釣れない。

そこには明確な理由があります。カギとなるのは「海水温」。

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ゴールデンウィークは水温が低くて魚が釣れにくい

水温が低いと魚の活性も低くなる

ゴールデンウィークに海釣りをしても意外と魚が釣れない最大の理由。それは水温の低さにあります。初夏を目前に気温がぐっと高くなる時期ですが、海水はまだ冷たいのです。

ゴールデンウィークに限らず水温を意識することは大事なことなので強調して書いておきましょう。

水温が低い=魚が釣れにくい

水温が低いと魚の活性も低い

水温の高さと魚の活性の高さはおおむね比例しています。特に回遊魚においては。

「活性」というのはエサを積極的に食べるか否かと解釈してください。水温が低い冬は活性が低くてエサもろくに食べず海の底でじっとしている。あるいはエサが豊富な暖かい南の海に下って越冬する。

水温が高くなるにつれて活発にエサを求めるようになる。温かい南の海で越冬していた回遊魚はまた戻ってくる。

変温動物である魚はおおむねこのような活性のパターンがあります。魚の飼育経験がある人なら実感として分かるはず。

回遊魚は沿岸に回遊してこない

ゴールデンウィークの時期、アジやサバなどの回遊魚は水温が高い南の海や海の深いところに居ることが多く、そもそも堤防や釣り公園などの沿岸部にあまり回遊してきません。だからそれを捕食する大型魚も少ない。

5月末ぐらいになれば大阪湾沿岸で続々と回遊魚が釣れだすので、ゴールデンウィークはもう爆発寸前という時期ではあります。でもまだちょっと早いのです。導火線に火は点いているのですが…ちょっとだけ早い!

ゴールデンウィークの海水温は12月並み

ではここで裏付けとなるデータを見てみましょう。

1年間の海水温推移

これは2017年における須磨海づり公園の水温変化をグラフ化したもの。海水温が1年間でどのように変化するのかを日ごとに現したグラフです。

須磨海づり公園の水温推移(2017年)
ゴールデンウィークの水温はまだまだ低い

データ出典:大阪湾水質定点自動観測データ配信システム

この年の西日本は記録的な寒さで、低い気温によって下がり続けた海水温が2月の終わりから3月の初めにかけて10度を下回りました。その後の気温上昇にともなって3月中旬ぐらいから右肩上がりに上がっていきますが、ゴールデンウィークあたりでもまだ15度前後の水温です。

ゴールデンウィークの水温は12月と同じ

実はこれ、冬の始まりである12月初旬と同じぐらいの海水温。12月って体感としてはもう完全に冬ですよね。

海水温は気温上昇と比較すると遅れて上昇し、気温下降時には遅れて下降するとされています。「水は熱しにくく冷めにくい」という言葉のとおり。ゴールデンウィークになると半袖でも過ごせるぐらい気温が上がる日もありますが、水温はまだまだ低い。だから海の中はようやく春を迎えようとしているぐらいの水温といえます。

人間だってある程度気温が上がらないと外で活動しようなんて思わないし、まだ低い水温じゃ魚も活発に動かないのは仕方ないことです。

同じ水温でも12月のほうが釣れやすい

なお、データから分かる通り5月初旬と12月初旬の水温はほとんど同じなのですが、比較すると12月のほうが魚が釣れやすい傾向にあります。海釣りの最盛期と言える秋の余韻、12月はそれをまだひきずっているという雰囲気があります。

海水温によっては釣れるゴールデンウィークになる

毎年同じ時期に同じ釣果になるかというと、その年によって大きなムラがあります。様々な理由が考えられますが、最も大きな要因と考えられるのが海水温。

たとえば2023年の4月は平年より2度も高い状態が3月からずっと続いていました。たかが2度されど2度。魚にとっては大きな差。ゴールデンウィークの釣りには大きく影響してきます。この時期に関しては海水温が高いほうが好釣果に繋がることが多いでしょう。

この記事は「ゴールデンウィークは釣れない」という趣旨の内容ですが、状況が異なれば必ずしもそうではないということをご理解ください。

ゴールデンウィークの釣りはこんな感じになる

ではゴールデンウィークに釣りをすると実際どんな感じになるのか。大阪湾での釣りを例にして解説します。

サビキ釣りをしても釣果に恵まれない

海釣り初心者で最も人気がある釣りといえばサビキ釣り。ゴールデンウィークの釣り場を見渡すと、多くの人がサビキ釣りをしています。

初心者の方でも秋の連休にアジやサバがたくさん釣れていい思いをした人も多いでしょう。あの時の楽しさをまた味わいたい。ということでゴールデンウィークにサビキをしたらどうなるか。

この時期に釣れるサビキの対象魚といえばカタクチイワシぐらいです。全く釣れないわけではないですが、アジやサバにはまだちょっと時期が早い。群れが回ってきたとしても数は少なくて回遊がまばら。群れが回遊してきた10分程度の間にバタバタと釣れるタイミングがあったりもしますが、多くの時間は沈黙が支配しています。

例えば潮通しの良い明石海峡付近なら、低水温に強いスズメダイがまとめてサビキで釣れるぐらい。

スズメダイなら遊んでくれます
スズメダイなら遊んでくれます

サビキの釣果がないと大型魚も釣れない

回遊魚が少ないと、それを捕食する大型魚もなかなか釣れません。ここ数年の大阪湾は4月にメジロなどの大型青物が回遊してくることも多いですが、熱狂する釣り人とは裏腹にホイホイと簡単に釣れるもんじゃありません。

足元にシラサエビなどをエサにして仕掛けを垂らせばガシラなどが釣れますが、日中はサイズも小さくてほぼリリース。

やっぱりまだちょっとキビシイ。秋のような海の賑やかさには程遠い。

ゴールデンウィークは年間で最も釣り欲が高まる時期

「釣り欲」を可視化する

あまり釣れないことは分かってもらえたでしょうか。ここでちょっと面白いデータがあるので紹介します。

ゴールデンウィークは釣りへの関心が急上昇

かれこれ8年ほど海釣りのブログをやっていますが、ゴールデンウィーク付近になると一気にアクセス数が増えます。その前の時期のおおよそ2倍から3倍にも。なにもこれは私のブログに限ったことではなく、世間的に「海釣り」に関する意欲が急上昇するからです。

なぜそう断言できるのか?それを裏付けるデータを見てみましょう。

これはGoogleトレンドという、Google検索で特定のキーワードがどの時期にどれだけたくさん検索されたかというデータを確認できるサービスの画面です。「海釣り」というキーワードで2020年から過去5年間の検索状況を調べてみました。

Googleトレンドで海釣りを検索した結果
年間で最も「海釣り」が検索されるのがゴールデンウィーク

出典:Googleトレンド

もっとも検索された回数の多いタイミングを100とし、その時期ごとの動向を示したデータです。

折れ線グラフでその年ごとに急上昇するタイミングが見えると思います。これがゴールデンンウィークの時期です。年間で飛びぬけて高いし、なにより上昇率がすごい。

分かっちゃいるが釣りに行かずにはいられない

冬場は海釣りが出来なかったというフラストレーション。それが一気に解放されて爆発する。そのようすが如実に表れています。本当によく釣れるのは秋だと多くの釣り人は知っているのに、釣り人はアホ(最上級のリスペクトを込めた言葉)なのでそれを抑えきれないのです。

でも釣れないんだなこれが。

視野を広げればいろいろな釣り方や対象魚があるので、必ずしも魚が釣れないというわけではありません。しかし初心者には厳しいシーズンといえます。

でも。

ゴールデンウィークにおすすめする釣り

意外と釣れないゴールデンウィークですが、気候もいいしやっぱり釣りに行きたいもの。釣れなくたって外で太陽の光を浴びれば元気になる!

ということでゴールデンウィークにおすすめな釣りを紹介します。

それでもサビキ釣りをしてみよう

春のカタクチイワシは肥えて美味い

あれだけサビキは釣れないと言っておいてから、サビキをオススメするなんて。カタクチイワシしか釣れないと言っておいてから、サビキをオススメするなんて。

いやしかし、この時期に大阪湾沿岸で釣れるカタクチイワシは価値があります。

産卵を控えて接岸するのか、卵や白子を抱えた個体が多く、太って脂がのっています。サイズに関しても、カタクチイワシにしては大きいサイズが釣れます。

丸々と太ったカタクチイワシ
丸々と太ったカタクチイワシ

この時期のカタクチイワシは美味い!ぜひ刺身で食べてみてください。脂がのった濃厚な味が楽しめます。ウロコを取ったら皮つきのままで食べられますよ。

スズメダイも実は美味い

回遊魚が少ないこの時期に遊んでくれるスズメダイもサビキで釣れます。そしてこの時期のスズメダイも脂がのっていて美味い!いやマジで。

歩留まりは悪いですが、ぜひ刺身で食べてほしい。

スズメダイの炙り刺し
スズメダイの炙り刺し

今まで即リリースしていたのなら、なんてもったいないことをしてたんだと後悔するはずです。

確実に釣りたいなら南の海へ

関西でも、和歌山や淡路島の南部ならゴールデンウィークでも釣果に恵まれる可能性高まります。

もうお分かりかと思いますが黒潮などの影響もあり水温が高いからです。ちょっと旅行がてら釣りというのも良いと思います。

限定的なサビキフィーバーも

年によって大きくぶれがあって確実なことは言えないのですが、大きくて脂がのったマイワシが京阪神の波止に押し寄せるようなこともあります。ごく稀に。大きなアジやサバが回遊してくることもあるのですが、

もしそれがあればラッキーぐらいの感覚でいましょう。回遊はあっという間かつ局地的なので、情報をゲットしたらすぐに釣り場へ!

管理釣り場での釣り

確実に釣果を得られるという点でこの時期おすすめなのは、管理釣り場での釣り。平らくいえば釣り堀と呼ばれる釣り場です。

管理釣り場でのニジマス釣り

例えばニジマス釣り。低温に強い魚なので、ゴールデンウィークの気候でも問題なし。目の前に放流してくれるからそこに必ず魚がいる!なんて有難いんだ。

放流してくれるから高い確率で釣れる
放流してくれるから高い確率で釣れる

いやいや海釣りと違うじゃないか!という意見は真摯に受け止めますが、釣って食べる派のあなたには本気でおすすめしたいのです。

淡水魚なのに、安全に刺身にして食べられます。

気候もいいので、BBQと兼ねた家族のレクリエーションとして最高におすすめです。

また、近年人気が高まっている海上釣り堀も検討してみてはいかがでしょうか?それ相応の料金が必要ですが、パワフルな大型魚、海の美味しい魚を釣ることができます。

これから釣りを始めようとしている人へ

このブログのスタンスは、これから釣りを始めようとしている初心者の背中を押すことです。釣りの入り口にいる人に役立つ情報を紹介しています。ゴールデンウィークを機に釣りを始める人も多いと思うので、その助けになればいいなと思う記事をここで紹介します。

まずは釣竿・ロッドを用意しよう

釣りをするならまず竿選びということで、色々な釣りに幅広く使える1本目のロッドを紹介した記事です。

食べる目的の釣りならクーラーボックスは必須

釣った魚を食べるならクーラーボックスが必須。最初に選ぶクーラーとして最適なものを紹介。

基本的な魚の処理方法

美味しく食べるためには釣った魚をどう扱うかどう処理するかということも重要です。

以上、参考になれば幸いです。

釣れなくたっていいじゃない

ゴールデンウィークは意外と魚が釣れない。データに基づいてそれを解説しました。明確な理由があって魚が釣れないということを分かっていただけたでしょうか?

だからといって家に閉じこもっててももったいないし、やはり何かしらの魚が釣れるチャンスというのも当然あります。不確実だけと夢もある。そもそも釣りってそういうもんだと思います。

気候もいいので、海の近くで過ごしているだけでも気分転換になるはず。釣れない可能性も高いけど、それを承知で竿を出すのもまた一興です。

釣れなくてもいいじゃない。釣りに出掛けてみましょう!

最後に、この機会に釣りを始めようとしているあなたに読んでおいて欲しい記事があります。釣りのマナーやルールについて書いたものです。

うわっ!なんか釣りって面倒くさっ!と思われる内容かもしれません、でもこれから釣りを続けていく、釣りと言う文化を継続していくためには知っておいて欲しい内容を書いたつもりです。よければ目を通していただけるとありがたいです。