釣った魚の内臓処理は当日中にしたほうがいい理由

ニジマスの処理中

お店で買う魚と違って、自分で釣った魚はすべての処理を自分自身でしなければなりません。

たくさん釣れたのでウキウキで持ち帰ったものの、いざ家に帰って処理をしようとすると面倒くさい気持ちが湧いてきます。クサイしヌルヌルしてるし、今日はもう疲れてるし。調子に乗って釣り過ぎたし。わかるぜその気持ち。

じゃあ今日はこのままクーラーボックスに入れたまま冷やしておいて、翌日起きてから処理しよう。頑張れ明日の自分。

いやちょっと待ってください!

面倒なのは分かりますが、エラと内臓を取る処理だけはその日のうちにしておいたほうがいい。三枚におろしたり、さばくのなんて明日や明後日でもいいから。

なぜならば。

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釣った魚の内臓処理を早くしたほうがいい理由

できるだけ早く魚の内臓処理をしておいたほうがいい理由は何か?それはこの2つを達成するためです。

早めの内臓処理をおすすめする理由
  • 食中毒を回避して安全に食べるため
  • できるだけ美味しく食べるため

早めの内蔵処理をすることがなぜ安全と美味しさにつながるのでしょうか?

食中毒を防ぐことができる

魚の内臓処理が遅れることが原因で食中毒になる可能性が高まります。

主に2つの要因があります。ひとつは寄生虫による食中毒、もう一つはヒスタミンによる食中毒。内臓の処理を早くすればするほど、これらのリスクを遠ざけることができます。

寄生虫による食中毒

なぜか定期的に芸能人がかかることで名が知られているアニサキスという寄生虫による食中毒。

限られた魚にだけいるイメージがあるかもしれませんが、その辺の堤防で釣れるアジやサバにも当たり前に寄生している可能性があるごくありふれた寄生虫です。魚が食べるエサ経由で寄生するので、オキアミを食べる魚には寄生してる可能性があると考えた方が良いでしょう。

なんとなく水がきれいな海には居ないようなイメージがあるかもしれませんが、水質は関係ありません。

魚が生きている間は主に内臓に寄生しているのですが、魚が死んで内臓の鮮度が落ちていく過程で魚の身に潜り込んでしまうとされています。その身を食べてしまったがために生きたまま人間の胃にアニサキスが侵入し、胃壁に頭を潜り込ませることで激痛を与えるのがアニサキス症。

これを可能な限り回避する方法は魚が新鮮なうちに内蔵処理をしてしまうこと。まだ内臓にアニサキスが寄生しているうちに内臓ごと取り除いてしまえば食中毒になる可能性を下げられるというわけです。

最初から身に寄生することもあるので万全とはいえませんが、食中毒になる確率は大きく下げることができます。

ヒスタミンによる食中毒を防ぐ

サバの生き腐れという言葉をきいたことがあるかもしれません。

一見新鮮なようにみえるサバでも、さばいてみたら内臓が傷んでドロドロになっている状態を表した言葉です。

魚の内臓には消化酵素がふくまれていますが、サバをはじめとする青魚は特にそれが強い。魚の鮮度が落ちていくことで自分自身の内臓をドロドロデロデロに溶かしていきます。その過程で魚がもともと持っているヒスチジンという物質がヒスタミンという物質に変化します。

このヒスタミンを摂取してしまうと、蕁麻疹ができたり熱が出たり吐き気がしたりという、アレルギー反応のような症状がでてしまうことがあります。これはサバに限らず、アジやイワシなどの青魚全般で起こり得ます。

対処法はアニサキスと同じく、魚が新鮮なうちに内臓処理をしてしまうこと。釣ったらすぐにクーラーボックス内で冷やし、持ち帰ったらすぐに内臓を出す。これをすれば高い確率でリスクを回避できます。それほど不安になる必要はありません。

アニサキスとヒスタミンを含め、釣った魚で起こり得る食中毒についてこちらの記事に詳しくまとめています。

臭みの発生をおさえ美味しく食べることができる

魚を放置しているとどんどん悪臭を放つようになります。あってはいけないことですが、釣り場に捨てられて放置されている魚から耐え難い臭いがしていたなんてこと、釣り人なら誰しもが経験したことがあるはずです。

臭みの発生源はいくつかあります。

まずは魚表面のヌメリ。これは水道水で水洗いをするなどすれば軽減できます。ウロコ取りの処理をすると、一緒にヌメリも除去できます。徹底的にやるなら酢を使うと効果的。

魚の表面を水道水で洗うのは、ヌメリと臭み除去のほかに、腸炎ビブリオによる食中毒対策にも有効。身をおろすまではじゃぶじゃぶ洗うべき。

そして魚内部にある臭みの発生源が血液と内臓。血液の多くはエラを含む内臓に溜まっています。だからいちはやく内臓処理をすることで臭みの軽減ができます。

きっちりと迅速に処理された魚は、魚市場や魚売り場にあるような独特の生臭さがかなり軽減されています。

ウロコ取りをして水分を取り除く処理も重要

内臓処理後はしっかり冷蔵庫で冷やして保存する。これで2~3日は刺し身で食べられるほど鮮度を保つことができます。

内臓処理だけではなく、魚の表面の処理を同時にしておいたほうがより効果的。

具体的にはこのような処理。

内臓処理の前にやるべきこと
  • 流水で表皮を洗うこと
  • ウロコを落とすこと
  • 表皮のぬめりを落とすこと
  • 上記の処理後に表皮の水分をしっかり取り除くこと

水分除去はおろそかになりがちですが、残っていると雑菌が増える原因になります。キッチンペーパーなどを使ってしっかり拭き取りましょう。魚処理にキッチンペーパーは必須です。じゃんじゃん大量に使うべし。

内臓処理に加えてこれらの処理が終わったら下処理は完璧!冷蔵保存された魚は刺し身を含むあらゆる料理に使うことができます。

基本的な魚の内臓処理手順と捨て方

どんな魚にも有効な内蔵の処理方法を簡単に解説します。

内臓処理の手順

内蔵処理の基本的な流れはこの通り。

内臓処理の基本的な手順
  1. ヌメリとウロコを落とす
  2. お腹を開いてエラと内蔵を取り除く
  3. 血合いをかきだす
  4. 表皮と腹腔の水分をできるだけ取り除く
  5. 密閉容器に入れて冷蔵庫で保存

ここまでやっておけば、2~3日冷蔵庫で放置していたとしても刺し身で食べられる程度に鮮度を保つことができます。

処理後は冷蔵庫保存で数日鮮度が保てる
処理後は冷蔵庫保存で数日鮮度が保てる

どの魚種でも共通で使える魚の下処理方法は、こちらの記事を参考にしてください。詳しく手順をまとめています。

内臓は冷凍してから捨てよう

内臓を捨てる場合、常温で置いておくとたちまち悪臭を放つようになります。ビニールで何重に包んで密閉したつもりでも、何故か汁が染み出してきたりもします。最悪です。

その日や翌日にゴミ収集があるならいいですが、数日先になる場合は冷凍しておくのがベスト。内臓などを新聞紙やチラシで包んだうえでビニール袋を二重三重にして冷凍庫へ。外側からすぐに凍りだすので汁や匂いが漏れる心配は無用です。

そこまでしたとしても、ゴミ出しの日にはカラスなどに荒らされないようネットを張るなどして対策しましょう。奴らは内臓の匂いに敏感です。

それでも翌日に処理するのはダメ?

夕方から夜にかけて釣った魚。帰宅したら深夜だったということもあるでしょう。

そこから内臓処理をし始めたら日付をまたいでしまうかもしれません。ただでさえ疲れているのにこれはキツイ。

そんな場合は翌日の午前中に処理しても大丈夫です。翌日になったからといって、いきなりリスクが倍増するなんてことはありません。それでもなるべく早く処理するにはこしたことがない。基本はその日に釣った魚をその日のうちに内臓処理しておくのがベストです。

安全に美味しく食べるため、私自身は釣り上げてから12時間以内ぐらいの内臓処理を目安にしています。もちろん処理するまではきっちりクーラーボックス内で冷やされていることが大前提です。

全ては魚を美味しく安全に食べるため

はっきり言って、魚の内臓処理は面倒です。

内臓はクサイし、汚れるし、捨て場所に困るし、時間がかかるし、そもそも釣りから帰ってきたら疲れてるし。

しかし最初に手間を掛けるからこそ、魚を安全に美味しく食べることができるのです。しっかりと下処理した魚は、魚独特の臭みなんてほとんどありません。

適当な下処理しかしてない魚を食べて「この魚はまずい、くさい」なんて評価をするのは非常にもったいない。魚へのリスペクトが足りません!釣ったからには最大限美味しく食べる努力をしましょう。

面倒でもなるべくその日のうちに内蔵処理をしてしまいましょう。

この記事は関西在住の釣り人が書きました

1978年大阪生まれ大阪育ち大阪在住。

家族共通の趣味を持つべく2014年に20年ぶりの釣りを再開。京阪神の海にて活動する小物ハンター。釣りの目的は現実逃避とおかずの確保。海は大きい、自分で釣った魚は美味しい。それでいい。

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