竿とリールがセットになって売られている釣竿セット。これから釣りを始めようという初心者が買うことを想定した入門用オールインワンセットです。
釣具屋では入口付近に陳列されていることが多く、最近ではダイソーをはじめとする百均でも1,000円程度で売られるようになりました。Amazonでも中国製っぽいあやしげな激安セットがたくさん売られています。釣りを始めたいと考えている人なら一度は検討したことがあるはず。
このような釣竿セットですが、正直言って素性の分からない謎の竿と謎のリールがセットになったものばかり。釣りの知識がある人から見れば信頼性に欠けるものだと判断せざるを得ません。中には品質がいい当たりもあるかもしれませんが、買って使わないと分からないギャンブル。
そんな中、釣り具最大手メーカーのシマノから真打ちともいえるセットが2022年に発売されました。それが「シエナコンボ」。
これから釣りを始めたい人、特に海釣りを始めたい人。シエナコンボはそんなあなたに自信をもってオススメできる万能釣竿セットです。
なぜオススメできるのか。激安セットと何が違うのか。このセットでどんな魚が釣れるのか。海釣り歴8年の私がお答えします!
こんな人にはシエナコンボがおすすめ
シエナコンボは専門的な釣りに特化しているというよりどんな釣りでも万能に使えるセットという位置づけ。この記事はこんな人におすすめします。
- これから新しく釣りを始めたい
- 試しに一回やる程度ではなく趣味として続けていきたい
- あまり費用を掛けずに道具を揃えたい
- 特に釣りたい魚があるわけではなくとにかく”釣り”がしたい
- ルアー釣りもエサ釣りも両方やってみたい
- 釣りの中でも海釣りをして食べられる魚を釣ってみたい
- 海釣りでも船ではなく海釣り公園や防波堤、砂浜で釣りをしたい
- コンパクトに収納して持ち運びたい
こんな風に考えてる欲張りなあなたにシエナコンボは最適です。いろいろな釣りが出来る万能セットなのは間違いない。
逆にブリを釣りたいとかクロダイを釣りたいとか明確に狙いたい魚が決まってる人にはおすすめしません。その釣り専用の道具をそろえたほうがその釣りをより楽しめるからです。
そして上の項目にいくつか共感できたあなた。今から少々お時間をください。
実売1万円を切る高コスパの初心者セット
釣り具メーカーの初心者セットは高かった
日本の2大釣具メーカーといえばシマノとダイワ。
ビギナーからベテラン向けまで厚い商品層を持っているので、今までも竿とリールがついた初心者セットを出してはいました。
たとえばダイワのDV1。初心者を対象にしたスタイリッシュなセットです。しかし価格が2万円近い。
これから新しい趣味を始めようって時にいきなり2万円の出費は躊躇します。いろいろと初心者セットを検討したなら3,000円ぐらいの製品も色々あったのになぜ2万円もするのかと。釣りを始めて8年の私でも悩む価格。
でもシマノのシエナコンボはその価格の壁を壊しました。実売1万円を切る価格で初心者セットを売り出してきたのです。
シエナコンボは実売1万円を切る高コスパセット
シエナコンボのメーカー公式サイトがこちら。
特設サイトも公開されています。
そしてシエナコンボを使った初心者のための動画も。
この動画なんですが、シエナコンボそのものの使い方もさることながら初心者が釣りを学ぶにあたって大切なことが詰め込まれた良質な動画です。単なるプロモーション動画を超えた丁寧な作り。1時間半と長いですが、最後まで飛ばさずに観ることをおすすめします。
シエナコンボは3種類のバリエーションが展開されており、リールは3種とも同じモデル。
竿は長さと硬さが異なる3種類が設定されています。いずれも安ければ1万円を切る市場価格。その中で最も万能に使えるS86MLの価格をAmazonで確認してみましょう。
価格は日々変動しますが、安ければ8,000円台になっているはずです。セール中は7,000円台になることもありました。
それでもまだ高いと感じるでしょう。3,000円程度の激安セットが多い中でそう感じるのも無理はない。やっぱり安いセットでもいいんじゃないだろうか?
ちょっと待ってください!シエナコンボは激安セットと違うんです。価格相応の価値があるんです。
シエナコンボと激安セットは何が違うのか
3,000円程度で売っている激安釣竿セットとシエナコンボの違いは何なのか?数千円高いものを買う価値はあるのか?
一流メーカーの製品だから耐久性が高い
率直に言います。数千円で買える安い釣竿セットは壊れやすい。それが低価格と引き換えにある最大のデメリット。
やはりコストダウンの結果はパーツの品質や組み立て精度の低下につながります。結果として道具の耐久性に影響を与えてしまう。そしてそれは釣りをしている最中のトラブルに直結します。

一回だけお試しで釣りをするならまだしも、2回3回と釣りをするうちにどこかが壊れる可能性が極めて高い。私自身、釣りを始めた当初はケチって激安セットばかりを買い続けました。そしてこんな経験を繰り返してきたのです。
- 竿のガイドの接着が外れてプランプランになり固定できなくなる
- 竿のガイドのリングがいつの間にか外れていて行方不明になる
- 竿の一番先っぽにあるガイドが取れて行方不明になる
- 金属製パーツがすげー錆びる なんなら釣りの最中に錆が進行する
- リールのネジが抜けて行方不明になる やはりネジも錆びる
- リールのハンドルが突然もげて海へ旅立つ
- リールを巻くたびに異音がしてどんどん回転が重くなる
- 釣り糸が竿やリールに絡んで回復不可能になる
シエナコンボなら絶対にこうならないとは言えませんが、確率はずっと低いですしトラブルが起きるまでの期間もずっと長い。つまり耐久性が高いのです。
激安釣竿セットとシエナコンボの間にある数千円の価格差。
これはほんの数回釣りをすれば取り戻せるものだと断言します。釣りを趣味として続けるつもりなら、結局長く使えてお得だからです。
でも一回だけお試しで釣りをしてみたい。そんな軽いノリで釣りをするなら激安セットを選択することも間違ってはいません。それはそれでコストとの兼ね合いを考えた良い選択だといえます。趣味に使える金額は人それぞれ。選択肢が多いのはいいことです。
壊れても修理対応可能なサポート体制がある
もうひとつの違いはサポート体制の違い。
シエナコンボを出しているシマノ。これは国産釣り具メーカーのトップに立つメーカーです。
ゆえにシマノを取り扱っていない釣具屋というのは全国津々浦々ほぼ無いと考えていいでしょう。あなたのお住まいになっている地域にもシマノ(SIMANO)の看板が出た釣具屋があるはずです。

もし竿やリールが壊れたとしても、釣具屋の店舗に持ち込むこと修理対応が可能。釣り具店からシマノに送付されて修理が行われます。釣り具を買った店と違っていても問題ありません。たとえAmazonで買ったとしても最寄りの釣具屋で対応してくれます。
自分で交換可能な部品ならパーツ単位で注文できて送料もかからないシステムになっています。
たとえばシエナコンボについてるリールのハンドル。ネジが緩んでいたのか釣りの最中にポロっと取れて海に落としてしまった。そんなときはハンドル単体で注文できます。ネット上でパーツ表が公開されているので、必要なパーツを釣具屋に伝えればだいたい1週間ほどでお店にとどくシステムが構築されています。
実際にパーツを取り寄せて自分で修理したレポートもご参考に。
激安釣り具だとこの修理対応が出来ない可能性が高い。釣具店にある自作用パーツなどで対応してくれることもありますが、元通りというわけにはいきません。
釣具は繊細で、使い方を間違えれば竿の先っぽなんてすぐ折れます。道具の扱いに慣れていない初心者は壊す確率も高い。その点、どこでも修理対応可能というのは大きな安心材料になるはずです。
その竿に合ったリールが選ばれている
竿とリール。そしてリールに巻く釣り糸。これは原則として自分で選んで別々に買うものです。
なんとか竿は選べたけど、それに合うリールってなんだ?どうやって何を基準に選べばいいんだ?竿と違う他のメーカーのリールが装着できるの?リールに巻く糸の選択肢が多すぎない?
最低限の知識がないと決められません。
その点、シエナコンボには2500番という大きさ強さのリールが付属しており、その2500番は幅広い釣りに使える万能サイズ。更に予めリールに巻いてあるナイロン2.5号150メートルという糸も絶妙な万能サイズ。

竿はシエナコンボ専用ですが、リールは単品でも買えます。
いろいろな釣りを経験していくうちに2500番じゃ使いにくいなという場面がでてくることもあるでしょう。帯に短く襷に長し、何をするにも中途半端だなと。でもそれを感じられるのはあなたの釣りが上達した証拠。自分にあった新しいリールを選ぶ基準となってくれます。
激安釣竿セットについてくるリールは正直言ってかなり品質があやしいものばかり。竿より先に壊れてしまう可能性も高い。その点、シエナなら最低限の信頼性が確保されているといえます。
激安釣竿セットとシエナコンボの違いまとめましょう。
- 品質の高さ
- 耐久性の高さ
- 修理サポート体制の充実
- 竿にあったリールが初めからついてくる
激安セットとの違いが分かってもらえたでしょうか?繰り返しますが、数千円の価格差はたった数回の釣りで取り戻せます。
シエナコンボは3タイプからどれを選ぶべき?
激安セットよりちょっと高い価格の妥当性をねちっこく説明させてもらいました。そろそろ心が傾いていませんか?もう買っちゃいません?
シエナコンボは3つのバリエーションが用意されています。ここからどれを選ぶべきか?まずは竿とリールの基礎知識をご理解いただいて、初心者が選ぶべきタイプを紹介します。
幅広い釣りに対応するS86MLがおすすめ
結論から先に書くと、初心者はS86MLを選ぶのがおすすめです。
3つのバリエーションがあるシエナコンボの中では最も幅広に釣りに使えるからです。これからいろいろな釣りを試していこうとしている初心者にはこれが最適。
竿はルアー釣りを想定したロッド
シエナコンボのセットに組み込まれている竿は、基本的にルアーを使った釣りを想定した構造になっています。
いわゆるルアーロッドと呼ばれるタイプの竿で、長さや硬さ、ガイドの種類や配置などルアーを扱う釣りに最適化されています。遠投性やルアーの操作性が重視されているというわけです。
竿は振り出し竿、テレスコピックと呼ばれるタイプの竿。4分割され本体に収納された竿をスルスルとアンテナのように伸ばして使うタイプです。ルアーロッドは2本や4本に分割された竿を繋げる並継ぎタイプが主流で、振り出しタイプは珍しいです。
4分割ゆえ収納時の長さが使用時の4分の1になりコンパクトで持ち運びしやすいのが最大のメリット。その反面、使う時としまう時の手間が増えるのがデメリット。
シエナコンボにラインナップされているのは「S86ML、S90M、S96MH」の3品番。
この品番の読み解き方について簡単に説明します。同時に釣り竿についての基礎知識も理解できます。
スピニングリール用のロッド
S86MLの品番を例に見てきましょう。
品番の最初にあるSはスピニングリール用ロッドであることを示しています。
リールを取り付けるパーツやガイドの配置がスピニングリールで使いやすいよう考慮されています。とはいえスピニングリール以外、たとえばこのようなベイトリール・両軸リールも装着は可能。
単純に仕掛けを真下に落として巻き上げるだけの釣りであればこの組み合わせで使えないこともない。
ただし使いやすいかどうかと言われれば話は別。基本的にスピニングリールはスピニングリール用のロッド、ベイトリールはベイトリール用のロッドを使った方がいいでしょう。
選べる長さと強さ
Sに続く86などの数字は竿の長さを表しています。
例えば86は8フィート6インチのこと。8.6フィートではなく、8フィート6インチです。
メートルに換算するとおおよそ2.59メートル。フィートとかインチとか聞きなれない単位ですが、ルアーフィッシングの世界はアメリカ基準なのでそういうもんだと思ってください。重さの単位もポンドとかオンスが使われる場面があります。
MLなどのアルファベットは竿の強さ硬さ。MLはミディアムライト、Mはミディアム、MHはミディアムヘビー。その順番に強くなっていきます。ひとまず強くなるほど大きな魚を釣るのに適している、重いルアーを扱うのに適していると理解しておいてください。
おすすめはシエナコンボS86ML
じゃあ初心者は3タイプの中からどれを選べばいいの?という疑問が出るのは必然。その答えとして、私は初心者に対してS86MLをオススメしたい。

でもさっきまでの説明だと「S86MLじゃあ大きな魚が釣れないのでは?」と思われるかもしれません。それは確かにその通り。一定以上大きな魚には太刀打ちできない可能性があります。
シエナコンボS86MLで釣れる最大の魚は?
ではS86MLで釣れる大きな魚の限界値がどれくらいか?
同スペックの竿とリールを使ってきた実体験からいうと、限界値は50センチまでの青物です。つまり関東でいうところのイナダ、関西でいうところのハマチ。これぐらいのサイズの魚であれば引きを楽しみながら釣り上げられます。それ以上になると正直きつい。無理とは言いませんが引きの強さに負けてなかなか近くに寄せてこれないので、混雑した釣り場だと周囲に迷惑がかかるかもしれません。

セットになっているリールの性能から考えても、やはり50センチ程度の青物が限界値といえます。
青物でもサワラであればブリより引きが弱いので、50センチ程度のサゴシサイズであれば楽しみながら釣り上げられるはず。

タチウオは1メートルを超えるような長さのものが釣れることも珍しくありませんが、ハマチと比べると長さのわりにパワーはないのでシエナコンボで問題なく釣り上げられます。
俺はデカい魚を釣るんだ!そうだブリやサワラを釣るんだ!そんな高い目標を最初から掲げているなら別の道具を検討してください。シエナコンボでもS96MHならロッドとしてはいけそうですが、やはりリールのスペック的に不安があるので最初から他をあたったほうがいいです。
逆に考えれば、非力なS86MLは小さな魚を釣ることに関してS90MやS96MHよりも適しているといえます。S86MLならより幅広いジャンルの釣りが出来るわけです。
初心者にはできるだけ色々な釣りを経験して欲しいと思っています。そこから自分が熱中できる釣りを見つけることができたのならそれはとても素晴らしくて幸運なこと。だから幅広く万能に使えるS86MLを最初にオススメしたい。
リールはどれも同じ2500番
リールはどのセットも同じ製品が設定されており、具体的には単品でも買えるシエナ2500というリール。
シエナコンボの名前の由来は、コンボより先に発売されていたこのリールから。汎用スピニングリールに分類される万能リールで、シマノ製リールの中では下から2番目に安いグレード。
下から2番目って安物やん?そう思われるかもしれない。そして残念ながらその評価自体は正しい。上位グレードのリールより剛性が低くて大きな魚を掛けるとちょっと歪むし、ハンドルにも遊びがあってガタつきが気になる。高級機と比較すれば耐久性が劣るのも確実。安物には違いない。
でもスピニングリールに求められる基本的な性能を間違いなく満たしています。これでちゃんと魚は釣れます。ルアーも操作できます。週に一回の釣りを1~2年楽しむ程度なら必要十分。激安セットの謎リールだとこうはいきません。
2500という数字は「番手」と呼ばれる単位。リールの大きさ強さ、釣り糸を巻ける量などを示す単位と認識してください。数字が大きくなるほどリールも大きくなり大きな魚にも対応できます。その中で2500という番手は中ぐらいというかミディアムというか、何にでもそれなりに使える万能な番手です。最初から巻いてあるナイロンライン2.5号も万能な釣り糸です。
使い倒して次のタックルを選ぶ基準にしよう
釣り経験者からみれば、シエナコンボはやはり安物と呼ばれても仕方ないグレードの釣具です。
でも私は言いたい。だから何だと。安物でも目的の魚が釣れればそれは立派な道具です。安物で釣って何が悪い。釣り人の中には道具の値段でマウントを取ってくる残念な人もいますが、そんな心の貧しい人に耳を貸す必要はありません。周りに迷惑さえかけなければ何を使ったっていいんです。
耐久性も上位グレードに劣るのは確実だから、釣りの頻度によっては早いタイミングで支障が出てくるかもしれません。でもそれはあなたがたくさんの釣りを経験してきた証拠であり勲章です。
釣りをしていくうちにこの道具では物足りないと感じることもあるでしょう。竿が長すぎるとかあるいは短すぎるとか、固すぎるとか柔らかすぎるとか。リールの回転をもっとスムーズにしたいとか。
でも物足りなさや道具のヘタり具合を実感できたということは釣りが上達したということ。その頃にはあなたが次に必要としている竿やリールを自分自身の判断で選べるようになっているはずです。そこに至るまでの踏み台としてクタクタになるまで使い倒してやりましょう。
シエナコンボはそれに応えられる釣竿セットです。激安セットだと使い倒す前に壊れます。
シエナコンボがあればこんな魚が釣れる
ではシエナコンボでどんな釣りができるか、どんな魚が釣れるかをみてきましょう。
先に書いておくと、ルアーもエサも含めて幅広い釣りに対応できるし、いろんな種類の魚を釣ることができます。なお、ここでは最も万能なシエナコンボS86MLでの釣りを前提に描いていきます。
シエナコンボで釣れる魚
シエナコンボS86MLと同じスペックのロッドとリールを長年使ってきた経験から、シエナコンボで釣れる魚をリストアップしてみます。
- チヌ(a.k.a.クロダイ)
- タチウオ
- ハマチ(a.k.a.ブリ)
- サゴシ(a.k.a.サワラ)
- サバ
- アジ
- イワシ
- サヨリ
- グレ(a.k.a.メジナ)
- アナゴ
- ガシラ(a.k.a.カサゴ)
- キス
- ハゼ
- カワハギ
これ以外にも釣れる可能性がある魚はたくさん。とてもここには書ききれません。
魚のサイズでいうなら10センチ前後のアジから1メートルを超えるタチウオまで幅広く対応できるというイメージを持ってもらって間違いありません。実際に私が釣りましたから。
なお、シエナコンボと同じスペックのロッドとして、このシマノルアーマチックS86MLというメーカーも品番も同じロッドを使ってきた実経験を元にしています。
もし既にリールをお持ちであれば、ロッド単体で買えるルアーマチックもおすすめです。
こんなルアー釣りができる
シエナコンボは基本的にルアー用の釣り具セット。例えばこんなルアー釣りに使えます。
- シーバス用の各種ルアーを使ったシーバスフィッシング
- ワインド用のワームを使ったタチウオワインド
- 30グラムまでのメタルジグを使って青物などを釣るライトショアジギング
- 専用のサビキ仕掛けとメタルジグを使ったジグサビキ
- エギを使ってアオリイカなどを狙うエギング
カタログスペック上は6グラムから30グラムまでのルアーに対応しているので、これ以外にもいろいろなルアーフィッシングに使えます。
例えばタチウオをルアーで釣るなら、メタルジグ、メタルバイブ、ミノー、ワインド用のジグヘッドなど、選べるルアーがたくさん。それらのルアーで30グラム以内ならなんでも使えます。

タチウオを釣るという目的ならシエナコンボはピッタリ。
一方でルアーフィッシングというジャンルは対象魚と狙い方による細分化が進んでいて、それぞれに専用ロッドが存在します。シーバスにはシーバスロッドがあり、エギングにはエギングロッドがある。
シエナコンボのような万能ロッドでもそれらの釣りは出来ます。しかし専用ロッドを使うほうがその釣り自体を楽しめるは確かなこと。シエナコンボでいろいろな釣りをしながらあなた好みの釣りを見つけるまでの「つなぎ」と割り切る、それはそれで正しい使い方かもしれません。
ルアーロッドだけどエサ釣りにも使える
ルアー釣りを想定したロッドですが、エサ釣りに使えないというわけではありません。こんなエサ釣りにも対応できます。
- 堤防でアジやサバなどを釣るサビキ釣り
- テンヤを使ったタチウオの引き釣り
- 砂浜でキスなどを狙うちょい投げ釣り
- テトラの隙間などで根魚を狙う穴釣り
- 堤防の際などで根魚をねらう探り釣り
- アサリなどをエサにしたカワハギ釣り
- 魚の切り身などをエサにしたアナゴ釣り
- 生きた小魚をエサにしたのませ釣り
- ハゼ用天秤を投げるハゼ釣り
堤防でのエサ釣りによく使われる磯竿は3~4メートル程度ありますがシエナコンボはそれより短い2.6メートル。全長の長いサビキ仕掛けなどはちょっと扱いにくいかもしれませんが、短い仕掛けを選べば問題ありません。
自分にはルアーよりエサ釣りが向いてるなと思ったら磯竿の検討をしてもいいでしょう。万能に使える磯竿も紹介しています。
シエナコンボでは難しい釣りもある
一方でどのシエナコンボを選んだとしても難しい釣りもあります。
それは軽いルアーを投げる釣り。いわゆるライトゲームと呼ばれるルアー釣り全般です。2~3グラムしかないルアーを扱う釣りは、シエナコンボより繊細な釣り具がないと楽しめません。
しかし、そのすき間を埋めるような釣り具セットがまたもやシマノから発売されました。それがこのブエナビスタコンボ。
海釣りでも使えますが、どちらかというと淡水でのマス釣り(トラウト)、ブラックバス釣りを想定したセットです。1グラムつまり1円玉とおなじぐらい軽いルアーが投げられるよう、シエナコンボより軽くて繊細なセットになっています。
海釣りだと、小さなジグヘッドにワームを付けてアジやメバルを狙うルアー釣りに使えます。アジングやメバリングなどと呼ばれ、夜の漁港などで手軽にできるため近年人気になっている釣りです。
ステップアップするためのカスタマイズ
シエナコンボは買ってそのまま、釣り糸の先に仕掛けを結び付けるだけで釣りが始められるオールインワンセットです。しかし少しカスタマイズしてやればより楽しく快適に釣りをすることができます。
ラインをPEラインに巻き替えてみよう
シエナコンボのリールはシエナ2500。このリールにはナイロンラインの2.5号が最初から150メートル巻かれています。
ナイロンラインとは、文字通りナイロン素材で出来た釣り糸のこと。釣り糸としては最も一般的な部類です。適度な張りとしなやかさを併せ持つため竿の先やリールに絡まるトラブルが起きにくい。引っ張ると適度に伸びるため魚を掛けたショックや引きを吸収してくれるから魚を逃がしにくい。だから初心者が扱いやすい釣り糸です。初心者用セットに標準装備されているのも納得。
しかしこのナイロンライン、エサ釣りには最適な場合が多いですが、ルアーを扱うのにはむいていないのです。伸びる特性があるため引っ張っても動きを吸収してしまい、キビキビとルアーを動かすことができません。遠投性能もやや劣る。
俺はルアーフィッシングをやっていくんだというあなたは、ナイロンラインを捨ててPEラインに巻き換えましょう。1号のPEラインが150メートルあれば、大物の上限として紹介した50センチ前後の青物にも対応できます。シマノのピットブルというPEラインがコストパフォーマンスに優れています。
今後のために自分でリールに巻けるようになるのがベストなのですが、ここで紹介すると長くなるのでまずは釣具屋で巻いてもらうことをおすすめします。
シエナ2500のスプールには1号のPEラインが320メートルも巻ける余裕があります。そのリールにどんなラインを何メートル巻けるかという上限、いわゆるラインキャパシティは、スプールに印字されているので確認してみましょう。

ただPEラインのラインキャパシティは省略されがちなので、ホームページなどで詳細な情報を確認したほうがいいでしょう。
釣り糸における「号」という単位は釣り糸の強度に相当する指数。PEラインは細くても強度が高く、同じ号数のナイロンラインと比べると数分の一の細さになります。要するにかさが低い。そのため元々巻いてあるナイロンラインと同じ150メートルのPEラインを巻くと、スプールとの段差が大きくなって遠投性能などに影響します。
それを回避するため、下巻きというかたちで最初にナイロンラインを巻いてかさ上げしてからPEラインを巻く必要があります。これも釣具屋でPEラインを買ってリールを持ち込めば、無料あるいは低価格でやってくれます。やはり最初は釣具屋で巻いてもらいましょう。
替えスプールを用意してみよう
PEラインに巻き替えるのはいいけど新品のナイロンラインを捨てるのはもったいない、エサ釣りもしたいからナイロンも使いたい。そんな時はスペアの替えスプールを用意してみましょう。
しかし、基本的にスプール単体で店頭に並んでいたりネットショップで買えるものではありません。自分でパーツを指定して注文する必要があります。修理や補修用のパーツを釣具屋で取り寄せるのと同じシステムを使うことになります。
まずは必要なパーツを公式サイトで調べましょう。これがシエナのパーツ表。番手ごとにサイズが違うので注意。
スプール組というかたちで、スプール本体とそこに内蔵されたドラグという部品が一体になって売られています。シエナ2500のスプール組は1,485円(2023/3/6現在)。リールの替えスプールとしては安い部類です。
必要なパーツが特定出来たら、釣具屋に行って注文すれば1週間程度で届きます。大型店であれば専用のアフターサービスコーナーがあったりするのでそこで注文しましょう。
と、ここまで「替えスプールは釣具屋で注文するもの」という前提で書いてきたのですが、今見たらAmazon公式で普通に売ってますね…しかもちょっと安い。
とはいえ釣具屋での注文も覚えておけば必ず役立つので、あなたに合った選択をしてください。
ロッドケースは…買ったほうがいいかも
シエナコンボは専用ロッドケースに入っています。
通常、竿単体で売られている場合は陳列用の透明プラケース、あるいは不織布でできたペナペナの竿袋に入っていることがほどんど。その点、シエナコンボはサイズぴったりのストラップ付き専用ケースに入っているのがメリットといえばメリットです。ほらジャストサイズ。

しかしまあなんというか、スケスケの安っぽいケースです。まさにこの状態で店頭に並んでいるので、売場で中身をアピールできるようにというメーカー側の意図があるんでしょうけども。必然的に外で使うので、紫外線によるビニールの劣化も早いと思います。
余裕があれば別のロッドケースを使うのをおすすめします。シエナコンボの収納だけを考えれば1メートル前後のケースで十分なのですが、この先釣りにはまることを想定するならもう少し長い140~160センチのケースを用意しておきましょう。それなら3メートル前後の2ピースルアーロッドまで収納できます。
最初はこれ一本で十分なんて思うでしょうが、恐ろしいことに釣り竿はどんどん増えていきます。余裕を持った収納計画を。
釣り沼に落ちるため落とすため
私は子どものころに釣りをしていたもののフェードアウトし、30代後半で再開した出戻り組。そんな私の目からみて昨今の釣り具業界で気になることがありました。それは初心者をないがしろにしているところです。
高価格帯の釣り具や特定のジャンル専用ロッドやリールなど、明らかにベテラン重視の傾向が強くなっていました。それ自体間違ってるわけでもないし私がどうこう言える立場じゃないですが、どんどん敷居をあげて新規参入のハードルを上げていたようにも見えました。
そんな中、シエナコンボをはじめとした「コンボ」シリーズの発売、そして初心者向け動画などのコンテンツ充実が図られました。釣りの入り口に立っている初心者にようやく目を向けてくれたなと。経験者が釣りを継続するためにも初心者の参入は重要です。歓迎しましょう。
そしてシエナコンボを機に釣りに目覚めた人。とてもいい選択をしました。ぜひその竿とリールを使い倒して釣りを楽しんでください。ボロボロになるまで楽しんでください。釣り沼にどっぷりはまったその頃には自分の中で釣り具の基準が出来上がり、次に必要な道具が自分で選べるようになっているはず。選択肢は膨大です。悩んで迷って選択を楽しみましょう。
コンパクトなので経験者が予備として車に積んでおくようなセカンドロッドにもなりますし、竿の長さ重さも子供用として使うのに最適だったりします。
そして未経験者を深い釣り沼へ引きずり込むために貸してあげる道具としても有効です。増やそうぜ仲間を!
釣りという深い沼に落ちるためそして落とすため、シエナコンボを検討してみませんか?