釣った魚はどうしたらいい?釣り場での締め方から内臓処理まで解説

釣りを始めた動機は人それぞれ。自分で釣った魚を自分で調理して食べたいという目的で始める方も多いと思います。私もそうでした。

情報を集めて道具をそろえて釣り場へ。見よう見まねで仕掛けを投入して記念すべき一匹目の魚をついにゲット!やったぜ!今夜は宴だ!

ん?え?あれ?

ところで釣り上げた魚ってこの後どう扱えばいいの?めっちゃ生きてるんだが?どうやって持ってかえればいいの?そのままクーラーボックスに入れるだけでいいの?

針から外れ地面でペチペチと跳ねる魚を見つめて立ち尽くすばかり。釣るところまでは調べたけど、そのあとどうすればいいかなんて聞いてない。

大丈夫。食べるための釣りを専門にしている私が釣った魚の処理方法を教えます。

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釣って食べるからには命を奪う覚悟を持とう

最初にすることは魚の命を奪うこと

例えばスーパーに並んでいるパックに詰められた魚や肉などの食材。当たり前だけど死んでる状態です。

そしてこれもまた当たり前なのですが、死ぬ前までは生きていました。だから調理されてあなたの口に入るまでにどこかの誰かが何らかの形で手を下しています。つまりその命を奪うという行為をしている。牛も豚も鶏も。そして魚も。

釣った魚を食べるため、今度はあなたが手を下す必要があります。

釣った魚に対してあなたがするべき最初のこと。それはその魚の命を奪うことです。食べる目的の釣りはそういう趣味だということを覚悟してください。

美味しく食べるための手間は惜しまない

なんていう説教臭いことはこれぐらいにして、つまりは「食べるために釣ったからには出来る限り美味しく食べてやるのが責任であり、それが魚へのリスペクトってもんだぜ!」ということを言いたいのです。

魚の命を絶つ、つまり魚を締めるということはその責任を果たす第一歩。可哀そうだと思う気持ちもあるでしょうが必要なこと。我々人間は生き物の命をいただかないと健康に生きていくのが難しい動物です。

締めたあと、死んだ魚をどのように扱うかということも重要。それは美味しく安全に食べるため。

食中毒を知ってそれを回避する方法を知る必要もあります。面倒くさいこともありますが、手間を惜しまず適切な処理をすれば「安全で美味しい釣りごはん」があなたを待っています。

魚が釣れた直後からなにをすればいいか?順を追って説明します。

釣った魚を処理する流れ

魚を釣り上げてから、調理する前までにやるべきことを順に列挙してみます。

  1. 魚から針を外す
  2. 魚を締める
  3. 釣り場ではクーラーボックスで冷やして保管する
  4. 帰り道もなるべく冷やしたまま持ち帰る
  5. その日のうちに内臓を抜くなどの下処理をする

面倒かもしれませんが、美味しく魚を食べるためには必要な作業です。一つずつ解説していきます。

魚から針を外す方法

最初に釣れた魚はアジでしょうか?イワシでしょうか?

なにはともあれ、魚を針から外すことから始めましょう。

糸を張ったまま針を外そうとすると、魚が暴れて手に針を刺してしまう危険があります。慣れないうちは釣り上げた魚を仕掛けごと地面に落としましょう。慌てて竿を踏まないよう気を付けて。

フィッシュグリップがあれば安全で便利

安全に針を外すには、まず生きて動いている魚を固定する必要があります。

もちろん素手でつかんでもいいですが、魚によってはヒレが鋭くて怪我をする場合もあります。魚によってはヒレに毒がある場合もあります。魚をがっちりつかむフィッシュグリップがあると安全で便利です。

こちらで詳しく説明しているのでご参考に。

このフィッシュグリップで魚のエラを閉じるようにつかむと、たいがいの魚はおとなしくなります。

両方からエラを挟んで閉じるようにつかむのがコツ

両方からエラを挟んで閉じるようにつかむのがコツ

落ち着いたら魚のどこに針が掛かっているかしっかり確認しましょう。

針を外すためのプライヤーを用意しよう

釣り針は上手くできていて、しっかり針掛かりしていればちょっとやそっとじゃ外れません。単純に引っ張ってもだめ。

針が刺さっている方向をしっかり確認して、針の軸(糸が結んであるほう)を回転させるように針先の向きを変えれば、口の柔らかいアジなどの魚なら簡単に外れます。仕掛けを上げたタイミングでポロポロと針から外れることも多いでしょう。

しかし口の堅い魚や歯が鋭い魚、そして針を飲まれた場合はちょっと面倒。簡単に外れませんし危険なこともあります。そんなときのために釣り専用のプライヤーを用意しておきましょう。

針外しにはノーズが長いタイプがおすすめ。これで針をつかんで、針先と逆方向に動かせば針を外すことができます。鋭い歯を持つタチウオなんかの針外しにも役立ちます。いやちょっと高いなと思うなら、100均で売ってるペンチとかでもいいでしょう。すぐ錆びますけど。

なお昔から針外しという釣り専用の道具があるのですが、ぶっちゃけこれは直感的に使うのが難しく、慣れないとなかなか上手くいきません。

どうしても針が外れない場合は糸を切る

どうしても針が抜けない掛かり方をしていることもあります。プライヤーが届かない喉の奥に針を飲み込まれた場合など、引っ張っても抜けないことが。

その場合は糸を切るしかありません。仕掛けがもったいないと躊躇するかもしれませんが、どうしようもないし時間の無駄なので、その場合は潔くハサミで糸を切断しましょう。エラや体内に針が残ったままになるので、調理するときは気を付けてください。

例えばアナゴなど、魚種によっては頻繁に針を飲まれる場合があります。その場合は分かりやすいよう、針を飲んだ魚だけ尾びれをハサミで切って目印にするなどすれば安全です。

もしリリースする場合でも、無理に抜こうと力ずくで針を外すより、針がついたまま糸を切ってリリースするほうが魚の生存確率があがるというのが定説になっています。

大きさによって使い分けたい魚の締め方

針から外れた魚は締めましょう。

締めるということは息の根を絶ち魚の動きを止めること。

より鮮度を保ち美味しく魚を食べるためにはなるべく早く締めることが効果的。そうすることで魚のエネルギー源たるATPの消費を抑えることができるからです。

ATPはバッテリーのようなものだとイメージしてください。ATPは魚が呼吸をするなどして充電されるものですが、締めずに魚を動かし続けるとバッテリーはどんどん減っていきます。それを温存するためには強制的に電源を切る、つまり締める必要があります。

ATPは魚の死後に分解されていき、それが魚の旨味のもととなるイノシン酸を生成します。またATPを残しておけば死後硬直を遅らせることができ、それが鮮度維持にもつながります。

寿司屋にある生け簀をイメージして「美味しく食べるなら直前まで活かしておいた方がいいのでは?」という固定観念があるかもしれませんが、こういった理由からなるべく早く締めてイノシン酸が生成されるまでしばらく時間を置いた方が美味しく食べられる可能性が高まります。

魚の大きさによって釣ったあとの締め方が異なりますので、それを見ていきましょう。

クーラーボックスで潮氷を作っておく

とその前に、締めた後に魚を保存する環境を予め整えておく必要があります。

もちろんクーラーボックスは持ってきてますね?そこには氷や保冷剤も入ってますよね?水を入れて凍らせたペットボトルでもOKです。

ではそこに海水を注いでください。まずは氷がひたひたになるぐらいの量を注ぎます。海水は真水より冷えるので-1.8度程度になるまで凍りません。よってクーラーボックス内の海水は0度以下の状態になります。このキンキンに冷えきった海水を「潮氷」と呼びます。塩氷とか海水氷とか呼んだりも。

海水はその場で水汲みバケツを使って汲みましょう。

水汲みバケツは水を汲む以外にこんな役割を果たします。

  • 汚れた手を洗う
  • 魚を一時的に活かす
  • 魚の血抜きをする
  • 釣り場の掃除に使う
  • 濡れた小物を収納・運搬する
  • アミエビを溶かす

地味ながらとても重要なアイテムといえます。特に堤防釣りをするなら必ず用意してください。これがないとこの記事で書いていることも成り立たなくなります。

海水は基本的にその釣り場で汲んだ海水を使います。「えっ?この汚い海の水を使うの?」という抵抗があるかもしれませんが、今から食べようとしている魚もその海水の中を泳いでいます。とりあえず気にしない。

小魚はクーラーボックスで氷締めする

たとえばサビキ釣りで釣れたアジやイワシなど、15センチぐらいまでの小魚。釣れるときは山ほど釣れるので、1匹ずつ手作業で締めるのは大変です。

ではどうするかというと、クーラーボックスの中でキンキンに冷えた潮氷の中に放り込むだけ。即死はしないまでも、0度以下の低温でみるみる動きが鈍くなり2~3分も経てば締め完了。たったこれだけです。

氷締めされたマイワシ

氷締めされたマイワシ

この締め方を「氷締め」といいます。

20センチぐらいまでの小魚に関してはこの処理がベストです。延髄を切るとか、頭を落とすとか、血抜きをするとか、余計なことをして身の断面を水や空気にさらす方がむしろ鮮度落ちにつながる可能性があります。

なお小魚中心に狙うのであればクーラーの容量は15リットル程度がオススメです。魚はもちろん、レジャー用とに使ったりするにもジャストなサイズ。

中型から大型魚なら締めて血抜きをする

20~30センチ以上の大きな魚が釣れた場合、生命力が強く氷締めだけではなかなか締めることはできません。長い時間、クーラーボックスでバタバタと動いてATPを消費してしまいますし、体をぶつければ内出血したり身がグズグズになったりします。

だからなるべく早く動きを止める必要があります。残酷な表現になりますが、脊髄、背骨を断ち切ったり折ったりすることでそれが可能となります。

ナイフやハサミを使ってそれをすることになりますが、例えば30センチ台のサバであれば頭を背中側にぐっと折り曲げる、いわゆる「鯖折り」をすることで簡単に背骨が折れて締めることができます。同時に血抜きもできます。

サバ折りをして内臓も抜いたサバ

サバ折りをして内臓も抜いたサバ

大きな魚は血も多いので、可能であれば血抜き処理もしておきましょう。それをすることで臭みを減らしたり鮮度保持につながります。

血抜きというと大げさなことのように思えますが、基本的には魚が生きた状態のまま片方のエラの根元(頭側)をハサミやナイフなどで切断し、頭を下にして海水に浸けておくだけである程度抜けていきます。まだ心臓が動いている状態であればそれがポンプの働きをして血が抜けていきます。

ここでも水くみバケツが役立ちます。

水汲みバケツで血抜き中のクロダイ

水汲みバケツで血抜き中のクロダイ

ハサミは料理用のキッチンバサミでもOK。刃の間に汚れが溜まりやすいので、刃が分解できるタイプのキッチンバサミがおすすめです。

ダイソーなどの100均で売ってるカニばさみも分解出来て使いやすいです。

血抜きの是非についてはいろいろな意見があるのですが、結局はその人その人の味の好みという結論になると思います。人それぞれの主観です。血も風味ととらえるなら血抜きは不要だし、少しでも生臭みを抑えて日持ちさせたいなら抜いたほうがいいし。

釣り人はそれを完全にコントロールできる特権があるので、ぜひいろいろ試してあなた好みの味になる処理方法を見つけてください。

可能なら釣り場で内臓を抜いておく

血が抜けたらその場で内臓を取る処理をすると鮮度維持、食中毒予防に効果的です。

釣り場でハマチの内臓を取る処理をしているところ

釣り場でハマチの内臓を取る処理をしているところ

人間に危害を及ぼす寄生虫の多くは内臓に潜んでおり、また魚の腐敗は内臓から始まります。そのことから、内臓を取り除くということが食中毒予防と鮮度維持に繋がります。

ナイフなどがあれば便利ですが、よほど大きな魚でない限りキッチンバサミひとつあればお腹を開いて内臓を取る処理が可能です。私は20センチ程度のアジでも1メートルを超えるタチウオでもキッチンバサミ一つで処理します。

血や内臓が地面に落ちたら水汲みバケツなどを使って必ず洗い流すようにしてください。釣り場を守る最低限のマナーです。

これも中型から大型魚に対して有効な処理で、小さな魚に対していちいち一匹ずつ現場で内臓を処理する必要性や効果は低いと思います。小さな魚は氷締めのみでいいでしょう。

一時的に生かしてキープする

せっかく釣れた魚だけど、サイズが微妙でリリースするか持ち帰るか悩む…

そんなときは一時的に魚を活かしながらキープすることができます。水くみバケツに汲んだ新鮮な海水を用意してそこに魚を放せば、魚種によっては長い時間生かしたままキープすることができます。

キープするのに向いているタフな魚は、カサゴなどのいわゆる根魚。バケツに入れたままでも長時間活かしたままにできます。大きなサイズが釣れたら、キープしていた小さなサイズの魚はリリースしましょう。

反対にすぐ弱ってしまう魚もいて、イワシを始めとする青魚はブクブクなどで酸素供給をしないと長いこと生かせません。暑い時期は特に。頻繁に水を換えてやれば多少は長持ちしますが、どんどん泳いでATPを消費してしまうので、持ち帰るならなるべく早く締めたほうがいいです。

水くみバケツで生かし中のマアジ

水くみバケツで生かし中のマアジ

暑い時期はヒスタミン中毒の可能性も高まるので、サビキで釣れたサバやイワシを死んだままバケツに放置するのはなるべく避けるべき。

大型の魚はタフなので、ストリンガーと呼ばれるキープ用の道具を使って生かすことができます。

ただ活かしておくということは魚の体力を消費させてしまう結果に繋がるので、美味しく食べたいというなら早めに締めてしまったほうがいいでしょう。

自分に合ったベストな締め方を見つけよう

ときおりネット上でも論争になるぐらい、血抜きや魚の締め方というのは人それぞれの信念があったりします。もはや宗教。確かに科学的な理屈を詰めていけばこれがベストという処理方法もたぶんあるのでしょう。

それでも最終的に自分で「美味しい」と思って食べるのならどれもその人にとっての正解に違いない。それでいいと思います。だから他人にも口出しするのもいらぬお節介。自分で美味しいと思ってるのに「そんなの意味ないよ。間違ってるよ。」なんて言われたらイラっとくるでしょう。高級中華が好きでも王将が好きでもいいじゃない。

「釣り人は誰より新鮮な魚が食べられる。」

これはその通りなのですが、超新鮮な状態でも時間を置いて寝かせた状態でも完全にコントロール出来て好きに選べるのが釣り人の特権だと思います。

そもそもこの記事の存在意義が揺らぎますが、誰かが言ったからこれが絶対に正しいと思わず、自分でいろいろ試してベストを見つけるのが釣った魚を食べる醍醐味だと思います。

釣ってから調理できるまでの時間なんて人それぞれだし、刺身が好きな人もいれば塩焼きが好きな人もいる。そもそも味の好みなんて違って当たり前なんだから。

食中毒対策のため冷やして保存するのは大前提で

ということで、締め方や血抜きはそれぞれ自分にベストなやり方を見つけてください。

しかしそれ以前に安全を担保する必要はあります。釣った魚は調理直前までしっかり冷やして保存する。これは食中毒対策のために必ず行ってください。

釣れた魚が死んでいるのにバケツに入れっぱなしだったり、ベテランでも青魚をストリンガーに繋いで死んだ状態で長時間置いている人もいます。いくらか直中毒の可能性は高まりますし、美味しく食べるという目的ならもったいない。食べるならすぐ冷やそう。

冷やさない状態の保存だと、ヒスタミン中毒、腸炎ビブリオによる食中毒になる可能性が高まります。魚の味を楽しむのも安全があってこそです。

釣り場から家までの持ち帰り方

氷が溶けそうなら追加する

時間いっぱい。釣りは終了です。

大漁だったでしょうか?貧果だったでしょうか?

クーラーボックスの中で最初に作った潮氷は0度前後になり、手を入れたら痛いぐらい冷えています。そして釣った魚もクーラーボックスの中でしっかり冷えているはずです。場合によっては死後硬直でカチカチになっているかもしれません。

残った氷の量を確認して、家まで冷却がもたないようなら追加しましょう。コンビニのロックアイスでも問題ありません。開封せずに袋ごと入れましょう。

クーラーボックス内の海水は捨ててもそのままでも

潮氷を作るためにクーラーに入れた海水はそのままでも構いません。

クーラーボックスの海水は釣りが終わったら捨てないと魚が水っぽくなるという定説がありますが、もっぱら海水を入れたまま持ち帰る派の私はそんな風に感じたことはありません。あんまり気にしなくていいと思います。

頭を落とすなど何かしら加工をして身の断面が直接水に触れる状態なら考えたほうがいいですが。

店頭で売られているサンマなどは、そのように冷たい塩水に漬けられて売られているのを見たことがあるはずです。もしそれで水っぽくなるというなら、魚屋さんはそんな売り方をしていないでしょう。

その日のうちに内臓処理などの下処理をする

釣りをしてから帰宅すると、暑い時期ならクタクタに疲れてるはず。

ああ疲れたこのまま風呂に入ってクーラーの効いた部屋で寝たい…という気持ちは一旦置いといて、なるべく当日中に内臓を抜くなどの下処理を済ませておきたいものです。クーラーボックスで冷やしているとはいえど、鮮度は確実に落ちていきます。

食中毒予防と臭みの低減、そして美味しく食べるためには早めの内臓処理が効果的です。

内臓を抜く、水分を除去するなどの下処理が済めば、あとは冷蔵庫で保存できます。

ここまでくればあとは煮るなり焼くなり揚げるなり。お好きな調理でお召し上がりください。

しっかり処理をして冷蔵保存した魚は、刺身で食べられるぐらいの鮮度を2~3日程度問題なくキープできます。

出来る限り美味しく食べるための努力を

釣った魚を持ち帰るまでの流れを解説しました。

魚種によっては、釣り人の間で「臭くて食えたもんじゃない」とされている魚がいたります。湾奥で釣れるクロダイとかスズキとか。もちろん時期によってはその通りになることもありますが、これは釣ってからの処理に左右されるところも大きい。

なるべく早く締めて、大きな魚であれば血を抜いて、帰ったら迅速に内臓を処理する。調理するときも、こまめにまな板を洗い、冷蔵保存する前に魚の水分をしっかり除去する。こうすれば、ほとんどの魚は美味しく食べられます。

美味しく食べるための努力を惜しまず、適切な処理をしましょう!