目打ち不要!家庭で出来るアナゴの下処理とさばき方

スポンサーリンク

専門に狙えるターゲットではありますが、堤防で夜釣りをしていると不意に釣れる魚として代表的な魚のひとつが「アナゴ」です。

根魚狙いのエサ釣りで青イソメやキビナゴを付けた仕掛けを底に落としていると、突然竿先を引き込むアタリ。よっしゃ本命きたか!と巻き上げてみればヘッドライトに照らされる細長い魚影。陸にあげるとニョロニョロと力強くのたうち回る。なにこれキモいヘビみたい。そう、それがアナゴ。

寿司では地味ながらも定番でなじみの深いネタですが、わざわざ丸魚を買ってきて自分で調理した経験のある人は少ないでしょう。ウナギみたいにヌルヌルだから、木のまな板に釘みたいなやつを打ち付けてからさばかないといけないという、面倒くさいイメージもあるはず。そしてそれはとても敷居が高いように感じる。「そもそもうちにあるまな板はプラスチック製だから、その釘みたいなやつ刺さらんわ!」そんな人が大半じゃないでしょうか?私自身もそうでした。

しかし、ご家庭にあるごく一般的な調理器具と調味料。それさえあれば普通の魚と同じようにさばくことができます。例の釘みたいなやつ、「目打」も必要ありません。

釣れたときの締め方と持ち帰り方

下処理をする前に、釣ったアナゴを適切に処理する必要があります。なんせ生きてますから。

素手ではなくフィッシュグリップ等でつかむ

ウナギしかりアナゴしかりドジョウしかり、こういったニョロニョロ系の魚は全身筋肉で生命力が異常に強い。水から上げてもずっと動いている。美味しく食べるためにも、そして逃げられないためにも、釣れたらできるだけ早く締めて動きを止める必要があります。

しかしヌルヌルゆえ素手でつかむこともままならなりません。理由は後で書きますが、できれば素手でつかまないほうがいい。そこでトング形状のフィッシュグリップを使うことをオススメします。第一精工のワニグリップならしっかり掴んでホールド可能。

アナゴ釣りに限らず、安全に清潔に魚を扱うにおいて、釣りには欠かせないマストアイテムといえます。小魚からそこそこの大物まで幅広く使える「ワニグリップミニ」がおすすめです。

首の後ろに刃を入れて絞める

フィッシュグリップを使ってアナゴのエラ付近、胸ビレがある付近をつかんでください。全力で体をくねらせて抵抗しますが、とりあえず頭の動きが固定できます。尻尾でペチペチ叩いてくるけど我慢。

そしたらそのまま頭の後ろ付近に刃を入れてください。ちょっと残酷ですがこんな風に。

ナイフや包丁でもいいですが、使いやすいのはキッチンナイフです。海水に触れると接合部分が錆びやすいので、刃を分解できるタイプがオススメ。私は釣りに行くとき必ず持っていきます。

頭の後ろに身に刃を入れても余裕で生きて動きますが、その先にある背骨、延髄を断ち切れば電池が切れたようにクタッと動きを止めます。これで締めることができました。かわいそうですが、美味しく食べるためです。

背骨が断ち切れたら真っ赤な血が出てきます。海水を入れたバケツにしばらく漬けて血抜きをしておきましょう。できるだけ”アナゴだけ”を入れたバケツに。

アナゴの血には毒がある

さて、ここでアナゴについて知っておいて欲しい情報があります。

ウナギもそうなのですが、アナゴの血液には毒が含まれているとされています。血清毒と呼ばれる毒で、摂取すると下痢、嘔吐、皮膚の発疹、チアノーゼ、無気力症、不整脈、衰弱、感覚異常、麻痺、呼吸困難などの食中毒症状を引き起こします。

最悪死に至ることもあると厚生労働省のサイトに記載がありますね。

ただし致死量は大人で1リットル。生きたアナゴを大量に集めて血の生臭さに耐えながら摂取しないと達しない量なので現実的ではありません。毒だからといって「死」を心配する必要はありません。

しかし口から摂取する以外にも、傷口や目の粘膜に入ると炎症を起こすとされています。避けるに越したことはないでしょう。バケツで血抜きする際も、他の魚と分けておいたほうが安心。

また、血液ほどの強さはありませんが、表面の粘液にも毒があるとされています。だから素手で触るのもなるべく避けたほうがよく、フィッシュグリップでつかむのをオススメします。

持ち帰り時にクーラーボックスで保管する際も、念のためビニール袋などに入れて他の魚と分けたほうがいいでしょう。

過剰に毒を恐れる必要は無し

この毒は60度で5分加熱すれば無害になります。アナゴの主な調理方法は火を通すものばかりなので、刺身で食べようとしない限り健康に害はありません。

あくまで私の知識の範囲内ですが、アナゴやウナギでの食中毒は聞いたことがないです。厚生労働省のサイトでも”わが国では食中毒の正式記録はない。”との記述があります。私自身、今まで何匹も素手でアナゴをつかんで血も粘液にも素手で触れていますが、とくに炎症を起こしたことはありません。

私たちが日常的に摂取している塩なんてアナゴの血がもつ致死量1リットルの1/10で致死量を超えますからね。ある意味そっちのほうが危険かも。

でも知識としては頭に入れておいてください。血や粘液がついた手で目をこするとか、トイレにいったときに敏感な部分に触れるとかは避けたほうが無難です。こんなことで腫れたら悲惨。しっかり手を洗ってからどうぞ!

目打ちをせずにアナゴの下処理をするには?

通常は目打ちが必要だけど

アナゴやウナギをさばくとき、通常は目打ちとよばれる器具を目の部分に刺してから貫通させ、そのまま木のまな板に刺します。

なぜ目打ちをするかというと、ヌルヌルしてまな板の上に固定できないからです。

実際やってみれば分かりますが、包丁の刃を入れるために手で押さえると、ヌルっと滑って逃げてしまいます。もう死んでるのに。そして固定できない状態で包丁を使うのも危険です。

じゃあやっぱり目打ちと木のまな板が必要じゃない!一般家庭じゃ無理じゃん!嘘つき!

酢でヌルヌルを除去してからさばこう

いやちょっと待って!発想を変えましょう。

さばく前にそのヌルヌルをなんとかすればいいんじゃないでしょうか?そうすれば滑ることなく目打ちをしなくてもさばけるはずです。

アナゴのヌメリを取る方法として、熱湯をかけるというものがあります。そもそもアナゴの処理方法として熱湯でヌメリを凝固させて取るという方法は一般的です。もちろんそれでヌメリとりはできますし、その方法を選んでも問題ありません。個人的には、さばく前の魚に熱を通すのに抵抗があるので私はこの方法をつかいません。

次に一般的な魚介類のヌメリ取りの方法として塩をかけてもみこむというものがあります。でもこれ、期待したほどヌメリが取れません。しっかり取るには根気のいる作業です。根気と時間がある人はこれを選んでいいかもしれませんけど。

そこで私がオススメするのは、酢を使ってヌメリを取る方法。アナゴに限らずどんな魚のヌメリにも有効な方法です。

今回は、この「酢」を使ってアナゴのヌメリを攻略しましょう。

酢を使ってアナゴのヌメリ取りをする方法

酢を使ったヌメリ取りの手順は以下の通りです。

  1. アナゴに酢をかける
  2. ヌメリが凝固するまで待つ
  3. 凝固したヌメリをこそぎ取る

ひとつずつみていきましょう。

アナゴに酢をかける

ボウルなどにアナゴをいれてさっと水洗いしたのち、軽く水を切ってから酢を注ぎましょう。

ひたひたにしなくても、アナゴの表面にまんべんなく酢がまわる程度で大丈夫です。軽くもんでからしばらく放置。ボウルではなくビニール袋にいれてから酢でもんでもOK。酢も洗い物も減らせますね。

ヌメリが凝固するまで待つ

1分も経てばヌメリが凝固してアナゴの表面がどんどん白くなっていきます。こんな風に別の魚みたいに白くなります。

2分も置いておけば十分。

凝固したヌメリをこそげ取る

1匹ずつまな板の上などにアナゴを置き、包丁の刃先で白くなった部分をこそげとっていきましょう。簡単に取れるはずです。

白い膜が落ちてアナゴ本来のこげ茶色が見えてきたらヌメリが取れている証拠。白いところが無くなるようどんどんこそぎ取っていきましょう。

こちらは包丁についたヌメリの凝固物です。

触ってみると、まるで湯葉のような触感になっています。ヌメリがすっかり変質していますね。おおよそ取れたら、キッチンペーパーなどで水分を取り除きつつ、ヒレやヒレの根元などに残った白い膜も拭き取っていきます。

とはいえ多少白い部分が残っていても大丈夫。だいたい取れていればその後の調理にも支障ありませんし、臭みのもとにもなりません。あまり神経質にやる必要なし。

これでヌメリ取りは終わり。

通常のアナゴの処理は、ヌメリが付いたまま目打ちをつかってさばき、そのあとお湯でヌメリを凝固させてからこそぎ取ります。しかし今回紹介する方法はもうすでにヌメリの処理が出来ているので、さばいたらそのまま調理に使えます。

アナゴのさばき方

ヌメリ取りができたアナゴは、食べやすいようにさばいていきましょう。

  1. 頭を落とす
  2. お腹を開く
  3. 内臓を取り除く
  4. 血合いを取り除く
  5. お腹側から開く
  6. 背骨をすき取る

さばくのが面倒ならぶつ切りで調理して、食べるときに骨から身を外すってのもありっちゃあり。でもやっぱりちゃんとさばいたほうが美味しくいただけます。

頭を落とす

胸ビレのうしろから斜めに刃を入れてアナゴの頭を落とします。

柔らかいので簡単に切れるはず。アナゴを煮アナゴにする場合、最初に頭と骨を使って出汁を取るレシピもありますので、そのレシピを再現したい場合は頭を残しておきましょう。

釣ったアナゴだと針を喉の奥に飲まれて針外しができず、仕方なく針をつけたままハリスを切る場合があると思います。その場合は頭の扱いを慎重に。

お腹を開く

頭を落とせたらアナゴの肛門を探してください。分からなければ、お腹を押すとウンコ内容物が漏れ出てくる穴があるのですぐにわかると思います。

なるべく皮一枚をきるイメージ、なるべく内臓を傷つけないイメージで浅く刃を入れて、頭の方に向かって進めてください。

なおここではいわゆる「腹開き」でアナゴをさばいていきます。背開きのほうが見栄えはいいのですが、私個人としてはしっかりと内臓を処理したいので、魚の処理にはもれなく腹開きを選択しています。すいませんが、背開きの方法については割愛させていただきます。

内臓を取り除く

はい、お腹を開くことが出来ました。内臓を取り除いていきましょう。

このアナゴは釣ってから数時間後の新鮮な状態なので、しっかりとした形で内臓が残っています。胃袋に数匹のキビナゴが入っているのが確認できますね。タチウオ釣りのポイントで釣ったアナゴなので、釣り人が捨てたエサを食べたのでしょう。

このようにアナゴは死んだ魚の肉なども食べる悪食です。そのため、そのとき食べているエサによっては胃袋をやぶったとたん悪臭が漏れ出てきますので、なるべく内臓は傷つけずに取り除くのがオススメ。

血合いを取り除く

あらから内臓を取り除けたら、お腹のなかはすっからかん。と思いきや、まだ少しだけ内容物が残っています。

それが血合い。背骨に張り付くように残っている血管のようなもの。

厳密にはこれも内臓で、その実は腎臓です。新鮮なアナゴだと背骨にしっかり張り付いているので指でこすったり引っ張ったりしてもなかなか取れません。

そんな時は骨抜きの出番。骨抜きで血合いをつまんで引っ張れば、裂けるチーズのようにどんどん取れます。

血合いが取れたらこんな真っ白な身とまっすぐな背骨が現れます。

ほらキレイ。ここまでやれば完璧!

お腹側から開く

内臓が取り除けたアナゴの身をおろしていきましょう。

そのまま包丁の刃を入れて三枚におろすというのもありですが、やっぱりアナゴといえば開きです。開くことを前提におろしていきましょう。

アナゴのお腹側を手前にしてアナゴを横に寝かせます。そしたら頭側から背骨の上に包丁の刃先を滑らせるように尾側に刃をすすめていきます。皮を切らないように寸止めで刃を入れつつ尾まで。

ちなみに私は左利きです。右利きの方は左右逆においてください。出刃包丁のような片刃の包丁は、右利き用と左利き用があるので自分に合ったものを選びましょう。

一回で開こうとせず、少しずつ刃を入れていけば大丈夫です。うまいこといけばこのようにパッカーンと身を開くことができます。

ここまでくればあと一息!

背骨をすき取る

仕上げに背骨を身から取り除きます。

頭側の背骨の下に刃を入れて、刃先をやや上に向けつつ尾に向かってすき取るように刃をすすめます。

アナゴの背骨は太いので、うまくやろうとしても思いのほか身が骨に残ってしまいます。でもとりあえず今は気にしないでいきましょう。骨は骨で出汁を取るのに使ったり、素揚げすれば美味しい骨せんべいになります。

背骨がすきとれたらアナゴの下処理は完了。おつかれさまでした!

なお、よほど大きなサイズでない限り、内臓周りにある肋骨、いわゆる腹骨は取らなくても大丈夫。細い骨なので、煮たり焼いたり揚げたりする調理ならほとんど気にならないレベルです。

厳密にやるならヒレも除去するべきなんですが、腹開きだとヒレを切りにくいので私は気にせずそのままです。酢でヌメリをこそげ取るときに予めキッチンペーパーなどで拭き取ってるし、これが原因で臭みを感じたこともないので。

必要に応じて調理しやすい大きさに身を切り分けておきましょう。

すぐ調理できなくても、冷蔵庫に入れておけば数日は日持ちします。煮アナゴにしたりてんぷらにしたり鍋の具にしたり調理方法はさまざま。自分で釣ったアナゴなら美味しさもひとしおです。お楽しみください。

やってみれば意外とカンタン

テレビなんかでウナギをさばいてる映像を見ると、何年も修行した職人しかできない名人芸のように見えます。とても素人ができない難易度が高い技のように。そしてアナゴも同じようなもんだろうと。

そんな先入観から、せっかく釣ったのにさばけないからとリリースした人もいるでしょう。

しかしこの記事で紹介したように、素人は素人なりの処理の仕方をすればいいと思うのです。お客さんに出すわけでもないんだし多少見栄えが悪くても何ら問題ない。そして自分で処理したアナゴは数倍増しで美味しい。アナゴはもともと美味しいのにさらに美味しく感じる。

思いがけずアナゴが釣れたら、チャレンジしてみませんか?意外とカンタンですよ。