ルアーマチックは2023年にリニューアルされてデザインが変更になりました。この記事の写真に写っている深緑色のロッドは旧モデルですが性能に大きな差はありません
釣り初心者が突き当たる壁。それは道具が多過ぎるという高い壁。
釣りたい「魚種」と「釣る方法」によってジャンルが乱立しており、そのジャンルごとに専用の道具が存在します。釣竿というカテゴリひとつをとっても膨大な数。
釣りを始めたいだけなのに選択肢が多すぎる。一体何を選べばいいのか。
そんな釣り初心者のあなたに、一本であらゆる釣りに対応できる万能ロッドを紹介します。コストパフォーマンスを最優先にしつつクオリティにも妥協しない一本を選びました。
おすすめ万能ロッドはシマノのルアーマチックS86ML
ルアーマチックS86MLが万能
最大手釣り具メーカーシマノの低価格シリーズ
おすすめするのはこの1本のみ。それは日本の最大手釣具メーカーであるシマノの「ルアーマチックS86ML」。
ルアーマチックは名前から分かる通りルアー用ロッド。そしてルアー入門者がターゲットです。シマノから発売されているロッドの中では最も安いシリーズのひとつ。
10種類以上のバリエーションからどれを選べばいいか
シリーズの中にはそれぞれ違った長さや硬さなど10種類以上のバリーエーションがあり、自分がやろうとしている釣りに合わせてその中から適切なものを選ぶことになります。
結局10種類以上のうちから1本を選ばないといけない?しかもルアー専用の竿?エサ釣りには使えないのでは?そんなの万能とはいえない。
そんな意見はごもっとも。それはそれで事実です。
でもその中から「S86ML」という製品を選べば、ルアー釣りエサ釣りも含めて1本で数多くの釣りがこなせるのもまた事実。
ルアーマチックS86MLを初心者におすすめする理由
S86MLがなぜ初心者におすすめなのか。このような理由があります。
海釣りは一昔前と比べてルアー釣りの人気が拡大しています。最初はエサ釣りから始めた人もルアーに興味をもつ可能性が高い。そんなときでもルアーマチックなら柔軟に対応できます。
ルアーマチックS86MLのおすすめポイント
最強のコストパフォーマンス
このロッドが持つ最大の魅力、それはコストパフォーマンスです。
5,000円台のロッドでは最良の選択
Amazonなら最安時で5,000円台後半になっているはずです。
Amazonなどでこれよりずっと安い中国製らしき謎のロッドがたくさん売られていますが、あの手のものは酷い品質のものも混じるのでおすすめしません。安いならそれでいいという割り切った選択も良いと思いますが、初心者だからこそ大手メーカーの製品を選ぶべきと私は断言します。
なぜ初心者こそ大手メーカーがいいのか?なぜ無銘の安物じゃダメなのか?
大手メーカー製品だからサポートが安心
最初は誰でも壊してしまう
初心者だと適切なロッドの扱い方や、これ以上力をかけたら折れるという限界点が分かりません。
その結果、ガイドが曲がったり穂先が折れたりとロッドを壊すことにつながります。たぶんどんな達人だろうと初心者のときはやらかしてるはずです。
買い替えるのはもったいないし修理して使いたい。しかしよく分からないメーカーのロッドだと適合する部品がなくて元通りにはなりません。
シマノ製品ならどこの釣具屋でも修理可能
その点、大手メーカーかつ現役製品であるルアーマチックなら確実に修理やパーツ交換が可能です。買い替えたほうが安いという壊れ方もあるでしょうが、長く大切に使えるにこしたことはありません。
基本は釣具屋に持ち込んでの修理依頼となりますが、国内にシマノの製品を扱っていない釣具屋はまずありません。つまりこれは全国網のサポート体制が整っているということ。どこで買っても、Amazonで買ったとしても最寄りの釣具店で修理依頼に出すことが可能です。
パーツの単位で取り寄せられる
また、シマノなどの大手メーカーであればどこにどんなパーツが使われているかという情報が公開されていてサイトで確認できます。S86MLのパーツ価格表を見てみましょう。
これを見ると、ロッド先端のトップガイドに「CCFOT7S-1.8」というサイズのガイドが使われていることが分かります。この部品そのものを釣具屋で注文することができますし、1.8という竿先端の直径サイズが分かれば、それに合ったガイドを選び自分で交換、より高性能なものにグレードアップも可能です。
2ピースロッドで壊れにくい
振り出し竿は折れやすい
エサ釣り竿は振り出し竿が主流。4~5本に分割された竿本体を、ラジオのアンテナみたいにスルスルと伸ばすあのタイプの竿です。
この振り出し竿は丁寧に扱わないと簡単に折れます。うっかりするとこんな風に。
ルアーマチックはトラブルの少ない2ピース構造
一方、ルアーマチックは振り出し竿ではなく2ピースに分かれたロッド。
おおよそ2.6メートルのロッドが半分に切られた状態になっていて、使用時はそれを差し込んで繋ぎ合わせるだけ。ガイドの向きをひとつひとつ気にする必要もなくスピーディーに準備可能。
延ばしたり縮めたりする作業が必要ないので、うっかり折ってしまう可能性が格段に低くなります。
ルアーマチックを含めて、2ピースのルアーロッドは何本も持ってますが、今までうっかり折ってしまったことはありません。2ピースであることのデメリットは、収納や持ち運び時にかさばることぐらい。
2ピースロッドだから準備もお手入れもカンタン
繋げるだけで準備完了
振り出し竿は竿を伸ばしながらガイドをひとつひとつ向きを揃えて固定する準備作業が必要です。面倒だし、使っているうちにガイドの固定が緩んだりも。
その点2ピースのロッドなら2本を繋げるだけ。ガイドも最初から固定されているのであっという間に準備が終わってすぐに釣りが始められます。
お手入れは水で汚れを洗い流すだけ
釣りが終わったら、ロッドは海水、魚の粘液やウロコなどで汚れています。この汚れを毎回しっかり洗ってきれいにしてあげることで、格段に長持ちします。
2ピースロッドならロッドを2つに分解してそのまま水をかけるだけ。あとは乾かせば完了。
振り出し竿だと穂先のカバーを外して、ロッドのお尻にある栓を抜いて水抜きの用意をし、ちょっとずつ竿を伸ばしたりしながら…手間をかけて水洗いする必要があります。ここで竿を壊すことは多いし、縮めて収納した状態だと乾きにくい。乾きが不十分だと生乾きの悪臭も発生。
短かくて軽いから扱いやすい
ルアーマチックS86MLの長さは品番が示すとおり8フィート6インチ。1フィートは約30センチ、1インチは約2.5センチなので約2.6メートルの長さ。
体の小さい子どもや女性にも
2.6メートルという長さは長過ぎず短すぎず絶妙な長さ。釣りに慣れていない人や、子供、女性でも仕掛けをキャストしやすい長さです。
こちらは身長150センチ前後の子どもにルアーマチックS86MLを持たせているところですが、難なく使えてちょうどいいバランスです。
スマホ程度の重さ
そしてルアーマチックS86MLの重さは145グラム。スマホとぐらいの重さです。
数字だけ見ると重そうですが、釣り場で持ってみると非常に軽くて使い勝手がいい。もちろん高価格帯のロッドに比べたら重いのですが、5,000円台のロッドとしては驚くほどの軽さ。
この長さと軽さ、子供用のロッドとして使わせるのにも最適なんです。
ルアーマチックS86MLで釣れる魚
1本でルアー釣りにもエサ釣りにも幅広く対応できるルアーマチックS86ML。このロッドで釣れる魚、このロッドでできる釣りを詳しく別の記事にまとめました。
幅広い釣り方に対応し、いろいろな魚を釣ることが出来るロッドに間違いありません。
釣り竿の基準を作るための一本目として
安物は壊れやすいし高級品は宝の持ち腐れになる
経験者の意見はバラバラ
初めての釣り竿はどんなものを選んだらいいという問いに対して、釣り経験者の回答は両極端になりがち。
どうせ壊すんだからワゴンセールで売っているような安物の釣具セットでいいという人もいれば、初心者だからこそ高くて高性能な釣り竿にすべきという人も。
でも正直言って安物釣り具セットは壊れやすい。
かといっていきなり高級ロッドを買っても最初からその価値を理解できず宝の持ち腐れになる。最初の一本という条件なら、私はどちらもおすすめできません。
だからこそ私は安物でも高級でもなく”ちょうどいい”ルアーマチックS86MLを1本目の竿としておすすめします。
自称ベテランに耳を貸すな!
”釣りのベテラン”から言わせれば「6,000円程度の釣り竿などおもちゃ同然の安物」といってバカにされるかもしれません。しかし初心者にとっては高い買い物です。6,000円の釣り竿だってしっかり魚が釣れます。胸を張りましょう!
安いタックルをバカにして「すぐ壊れる」とか「使い捨てw」とか言っちゃう残念な人もいますが、そういう人は間違いなくこのロッドを使ったことがないでしょう。言わせておけ!
この竿が壊れるまで使い倒せば初心者卒業だ!
必ず不満を感じるときが来る
この竿でいろいろな釣り場に行っていろいろな釣りをしてとことん使い倒せばいい。その頃にはルアーマチックS86MLにも何かしらの不満がでてきて、この次に買う2本目の竿に何が必要か、自ずと分かるようになっているはずです。
たとえばルアーマチックを通してショアジギングが好きになったとします。そしたらもうちょっとグリップが長いほうがいいなと気づくかもしれません。ジギングは脇にグリップの端を挟んでジグをしゃくったほうが楽なんですが、ルアーマチックはちょっと短いからです。そしたらあなた好みのショアジギング用のロッドを検討すればいいし、ショアジギング用のロッドはグリップが長めに出来ている意味も理解できるはず。
釣りの基準を作るための1本に
そこに至るまでの基準づくりとなる1本目の釣り竿。釣りをマスターしていくまでじっくり付き合ってくれる文字通りの相棒。それに最適なのがアーマチックS86MLなのです。
スペックが近い他の選択肢も
なおS86MLが売り切れだったりする場合、86MLより15センチだけ長いS90MLも同じく万能に使えます。重量もほとんど変わらず、それほど使用感に違いはありません。
少し長い分だけ仕掛けの遠投距離が延びるというメリットもあります。
S86MLより少し短くて柔らかいS80Lも万能ロッドといえます。
扱えるルアーの重量が21グラムまでとなるためルアーの選択肢は狭くなりますが、より柔らかい竿のためサビキ釣りなどのエサ釣りにはこっちのほうが合っているかもしれません。
ルアーマチックS86MLが売り切れだけどなるべく早く同じようなロッドが欲しいんだ!というあなたにはダイワのルアーニストシリーズも選択肢に入れてください。ほとんど同じスペックです。
ルアーの専門メーカーであるメジャークラフトも、同様のスペックの入門用ロッドを発売しています。こちらもコストパフォーマンスが高いモデルです。
リール付きのセットならシエナコンボ
リール選びが面倒ならセット商品を
2022年には、ルアーマチックS86MLと同等のスペックを持ったロッドにリールがセットになったシエナコンボが発売されました。
セットで実売1万円を切る価格になっているので、まず最初に選ぶ釣り具としておすすめです。初めからロッドのスペックに合ったリールが用意されているので、リールを選ぶのが面倒だという人にもおすすめの間違いないセットです。
ルアーマチックS86MLとベストマッチするリールはセドナ
このロッドに最適なリールも紹介します。これも私が実際にルアーマチックと組み合わせて使っているリールです。
ルアーマチック×セドナ=ベストマッチ!
それは同じくシマノから発売されているセドナ。
位置づけ的にはルアーマチックと同じく初心者用のエントリーモデルです。これも釣りの種類に合わせた豊富なラインナップがありますが、ルアーマチックS86MLに最適なサイズが2500。
ラインを巻き替えさえすれば、これ1台でエサ釣りもルアー釣りも可能。ナイロンラインなら3号、PEラインなら0.8号~1号がぴったり。いろいろな釣りに使い回せます。
エサ釣りをせずルアーをがっつりやっていくんだというならPEライン専用といえる2500Sがベスト。
品番の後ろにあるSはシャロースプールのS。スプールの溝が浅いので、細くてかさの少ないPEラインを無駄なく手軽に巻くことができます。
こちらもコストパフォーマンスを重視するならPEラインはシマノのピットブルがおすすめ。
位置づけとしては廉価版のラインになりますが、50センチぐらいの青物であれば問題なく釣り上げることができます。
シマノのリール以外も取付けできる
ここではシマノのロッドにシマノのリールをおすすめしましたが、同じメーカーじゃないと取り付けができないというわけではありません。シマノのロッドでも、ダイワやアブガルシアのリールを取り付けて使うことが可能です。
ロッド側にあるリール取り付け用のパーツをリールシート、リール側にあるT字型のパーツをリールフットと呼びます。ロッド側にあるリールシートは、国内メーカーのロッドであればfujiというロッド用パーツメーカーのリールシートが採用されていることがほとんど。
それに対してリール側にあるリールフットの形状は共通規格が無くメーカー独自のもの。共通規格が無いということは、大手釣り具メーカーのティムコが明言しています。
とはいえ、なんとなくの共通規格はあるようで取付け自体はメーカーを超えて可能。例えばアブガルシアのリールフットは肉厚だったりちょっと相性の悪い場合もありますが許容範囲です。
ということをふまえて、あえてシマノではないリールかつコストパフォーマンスのリールを選ぶならレブロスがおすすめ。
2020年のモデルなので、少し古いセドナより基本的な性能の向上を感じられるはず。そもそも値段の差もありますが。
予備のスプールがついてくるアブガルシアのカーディナルシリーズもおすすめです。ルアー用を想定しているならカーディナル3のSTXがいいでしょう。
ガタつきの少ないねじ込み式ハンドルのリールでは、どのメーカーから選んでも一番安いモデルだと思われます。
ルアーマチックはSiCガイドじゃないけどPEラインOK
PEラインにSiCは常識だけど
ルアーマチックはトップガイドがSiCガイドではありません。だから「PEラインを使うと削れて溝ができるよ」とアドバイスしてくれる釣り経験者がいるかもしれません。
でもあまり心配する必要はないです。
SiCガイドは厳密にいうとSiCリングというリングが使われたガイド。リングとはラインが通る輪っかの材質のことです。放熱性の高さ、滑りの良さ、強い硬さを兼ね備えていて、PEラインを使うにおいて半ば常識となっているのがSiC。
普通のリングでも問題なし
ではルアーマチックはどんなリングが使われているかというと、ぶっちゃけハードリングという「昔からあるごく普通のリング」で、具体的にはfuji(釣り竿のガイドNo.1メーカー)のOリングが使われているようです。
しかし私は5年以上このロッドでPEラインを使ってきて、溝ができているとか削れているとかいう兆候は無し。週に10日釣り場に通う猛者ならまだしも、週末だけ釣りに行く程度なら気にする必要はないでしょう。
壊れたら買い替えのチャンス
仮に削れたとしてもトップガイドなら交換が容易です。これを機にSiCガイドに変えてみるのもあり。1,000円程度手に入ります。
でもそれぐらい使い込んだころには次に使いたいロッドが明確に決まっているはず。もし削れてガタがきたとしたら、それはガイドの交換か買い替えの時期。その時期を知る目安になるかもしれません。
どういう原因にしろトップガイドが破損するとラインにダメージを与えます。ラインで削れて溝ができるより、うっかりぶつけて一部が欠けるといった可能性も高いです。そうなった場合はPEラインが毛羽立ってくるとか兆候があるはずなので、ラインとガイドのダメージはこまめにチェックしましょう。
ルアーマチックは初心者の味方
私がルアーマチックS86MLを万能ロッドとして初心者におすすめしたい理由、分かっていただけたでしょうか?
自分で使ってきて満足しているからこそ人におすすめしたいのです。特に初心者が選ぶ一本目として。これからも初心者の味方、釣りの入り口としての役割を果たしてくれるはずです。
このロッドのコストパフォーマンスは本当に高い。価格帯が釣具屋のプライベートブランドと競合するせいか、店頭で見かけることがほとんどありません。たぶんこっちのほうが安くて売れちゃうから?
なのでネットでお買い上げになることをおすすめします。
この竿で良き釣りライフを始めてください!きっと楽しい世界が待っています。