2023年リニューアル!シマノルアーマチックS86MLはコスパ最強の万能ロッド

ルアーマチックは2023年にリニューアルされてデザインが変更になりました。この記事の写真に写っている深緑色のロッドは旧モデルですが性能に大きな差はありません

現代の釣りにおいて初心者が突き当たる壁。それは道具の選択です。とにかく選択肢が多い。

釣りたい「魚種」とその魚を「釣る方法」によって細かいジャンル分けがされ、そのジャンルごとに専用の道具が存在します。そして毎年のように新製品が登場している状況。釣り竿というカテゴリひとつをとっても膨大な数。

その結果、釣具屋の釣り竿売り場は飽和状態に。同じような顔をした釣り竿が売り場を埋め尽くし、何を選べばいいのやら初心者にはさっぱり分からない。

「釣りを始めたい」ただそれだけなのに選択肢が多すぎる!壁が高すぎる!ついでに言うと値段も高すぎる!なんであんな棒切れが数万円もするのか!

そんな釣り初心者のあなたのために、これ一本であらゆる釣りに対応できる万能釣り竿、万能ロッドを紹介します。コストパフォーマンスを最優先にしつつクオリティにも妥協しない一本を。

  1. おすすめ万能ロッドはシマノのルアーマチックS86ML
    1. 使い込んだからこそ分かるおすすめの1本
    2. ルアーマチックの中でもS86MLが万能
    3. 2023年に満を持してリニューアル
  2. ルアーマチックS86MLならこんな魚が釣れる
    1. 本来はルアーでシーバスを釣るためのロッドだけど
    2. ルアーマチックS86MLで釣れる魚
  3. ルアーマチックS86MLならこんな釣りができる
    1. ルアーマチックS86MLでできるエサ釣り
    2. ルアーマチックS86MLでできるルアー釣り
    3. 本来はそれぞれ専用の竿を使うほうがいいけど
    4. 軽い仕掛けを使うライトゲームには不向き
    5. ルアーの重量上限もやや低めの設定
  4. ルアーマチックS86MLのおすすめポイント
    1. たぶん日本一売れているロッド
    2. 最強のコストパフォーマンス
    3. 大手メーカーシマノの製品だからサポートが安心
    4. 2ピースロッドで壊れにくい
    5. 2ピースロッドだからお手入れカンタン
    6. 短かくて軽いから扱いやすい
    7. 釣り竿の基準を作るための一本目として最適
    8. この竿が壊れるまで使い倒せば初心者卒業だ!
    9. リール付きのセットならシエナコンボ
  5. ルアーマチックS86MLとベストマッチするリールはセドナ
    1. ルアーマチック×セドナ=ベストマッチ!
    2. シマノのリール以外も取付けできる
    3. ルアーマチックはSiCガイドじゃないけどPEラインOK
  6. モバイルモデル「ルアーマチックMB」が2020年に新発売
  7. ルアーマチックは初心者の味方
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おすすめ万能ロッドはシマノのルアーマチックS86ML

使い込んだからこそ分かるおすすめの1本

この記事にたどり着いたということは釣り初心者の方とお見受けします。

釣り竿を買いたいと思い立ちネットで調べる過程で『おすすめ釣り竿ランキングベスト20』とか『人気ロッドランキングベスト30』とかいう記事をたくさん見てきたことでしょう。

そして「何本もおすすめされて結局なにを選んだらいいんだ?」と混乱したに違いない。そもそもあのランキングって何基準なのか?誰目線なのか?私から言わせればあんなのはアクセス数稼ぎのための中身空っぽ記事です。何の役にも立たない。むしろ害。

そこで私は本当におすすめしたい釣り竿を厳選して「たった1本だけ」紹介します。私が実際に買って使い込んできたからこそ分かる、万能でコストパフォーマンス最強の1本だけを紹介したい。

なお、この記事で紹介する竿は海釣りで使う竿を想定しています。

その中でも防波堤や釣り公園でやる「堤防釣り(波止釣り)」で釣れる魚が主なターゲット。その他の場所で使えないわけではないですが、そこをふまえてお読みください。

想定するフィールドは堤防や海釣り公園など

また、この記事中では都合上「竿」と「ロッド」という呼び名を混在させています。しかしどちらも「釣り竿」のことです。エサ釣り用の釣り竿は「竿」と呼び、ルアー釣り用の釣り竿は「ロッド」と呼ぶ。そんな解釈をしてもらえれば結構です。

ルアーマチックの中でもS86MLが万能

まずはそのおすすめの1本を最初に紹介しておきます。

それは日本の最大手釣具メーカーであるシマノの「ルアーマチックS86ML」。

ルアーマチックは名前から分かる通りルアー専用ロッド。そしてルアー入門者がターゲットです。シマノから発売されている竿、ロッドの中では最も安いシリーズのひとつ。

シリーズの中にはそれぞれ違った長さや硬さなど10種類以上のバリーエーションがあり、自分がやろうとしている釣りに合わせてその中から適切なものを選ぶことになります。

ルアーマチックのバリエーション
豊富なバリエーションがあるけど1本だけ選びたい

いやちょっと待て?結局10種類以上のうちから1本を選ばないといけない?しかもルアー専用の竿ですと?エサ釣りには使えない?それじゃあ万能といえないのでは?

そんな疑問はごもっとも。それはそれで事実です。

でもその中から「S86ML」という製品を選べば、ルアー釣りエサ釣りも含めて1本で数多くの釣りがこなせるのもまた事実です。

その万能さ、そしてなぜ初心者におすすめしたいのか説明しましょう。

2023年に満を持してリニューアル

ルアーマチックは2023年にリニューアルされました。

10年ほどの長い期間においてブリティッシュグリーン色の現行モデルが売られ続けられました。2023年5月時点では旧モデルも手に入る可能性があります。旧モデルはミニクーパーみたいなカラーリングでおしゃれ(と私は思います)。

2023年モデルはブラックがベースの落ち着いたデザイン。

海用のルアー推奨モデルはライトブルーグレーの差し色、ブラックバス推奨モデルはチャコールブラック、ニジマスなどのトラウト推奨モデルはオフホワイトと、釣りをする場所によって色分けがされています。ルアーフィッシングデビューをする初心者が選びやすいようにしたという配慮がうかがえます。

デザイン面のリニューアルが主ですがスペックの変化があるようです。S86MLを例にします。

ルアーマチック23の新旧変更点
  • 自重が20グラムほど軽くなった(145g→123g)
  • 適合ルアーウェイトの上限が4g上がった(28g→32g)
  • リールシートの形状が変更になった

自重が15%ほど軽くなり扱えるルアーの幅が広がっています。これはグレードアップといえます。

デザイン以外で確認できるのは、リールを取り付けるリールシートの形状が変更になっていること。旧モデルはいかにも安物ロッドという感じの汎用的なfujiのリールシートだったので、ロッドと一体化してみえるスマートなデザインへ変更になったのは改善ポイントです。

もう一点、カタログ上の表記ではリールシートの位置が旧タイプの261mmから362mmになっていてグリップが長くなったように見えます。しかし旧タイプのどこを測っても261mmにはならずおおおそ360mmになるため、ずっと誤表記のまま売られ続けられていたか途中でマイナーチェンジがあったんじゃないかと思われます。

どちらも手に入り選択できるタイミングなら、新旧どちらを選んでもいいと思います。他のロッドとかぶらない個性的な旧タイプのカラーがいいなら旧タイプでいいし、落ち着いたタイプのカラーを選んでもいいし。在庫をはけさせるためか、旧タイプがかなりお得な価格になっているタイミングも出てきました。

いずれにせよ安い方を選んでも損はしません。

ルアーマチックS86MLならこんな魚が釣れる

本来はルアーでシーバスを釣るためのロッドだけど

ルアーマチックS86MLはシリーズの中でも「シーバスロッド」という位置づけです。

シーバスというのはスズキのこと。ルアーでスズキを釣る場合はそれをシーバスと呼びます。

シーバスというと70~80センチにもなる大型の魚。今のところそんな大きな魚を釣るつもりはないからそんなロッドを使うのは大げさじゃない?なんて思うかもしれませんが、S86MLは比較的柔らかくできているため小さい魚にも対応できるのです。

ルアーマチックS86MLで釣れる魚

ではルアーマチックS86MLで釣れる魚をリストアップしてみましょう。私が実際にこの竿で釣ってきた魚たちです。

ルアーマチックで実際に釣れた魚
  • チヌ(a.k.a.クロダイ)
  • タチウオ
  • ハマチ(a.k.a.ブリ)
  • サゴシ(a.k.a.サワラ)
  • サバ
  • アジ
  • イワシ
  • サヨリ
  • グレ(a.k.a.メジナ)
  • アナゴ
  • ガシラ(a.k.a.カサゴ)
  • キス
  • ハゼ
  • カワハギ

書きだしたらきりがないので、今日はこれぐらいにしといたるわ!

10センチに満たないアジから1メートルを超えるタチウオまで幅広く釣れます。

今までこのロッドで釣れた最も引きが強い魚は60センチ前後のブリ。つまり関東でいうところのワラサ、関西でいうところのメジロ。特に折れるとかガイドが破損するとかといったこともなく、なんとか最後まで頑張ってくれました。ただ余裕とはいえずギリギリかもしれません。50センチぐらいの青物なら問題ないのですが。

でも肝心のシーバスが釣れていないのでは?という疑問は心にそっとしまって鍵をかけてください。釣れたら開けに行きます。

ルアーマチックS86MLで釣り上げたマアジ
ルアーマチックS86MLで釣り上げたマアジ

なお、釣り竿のパッケージにはその竿で釣れる対象魚が書いてあることがあります。しかしこれは目安でしかありません。

このような表記は例として参考に
このような表記はあくまで例として参考に

その竿で釣りやすいかどうかは別にして、対象魚の記載がないからといって釣れないわけではない。

釣り公園などの管理釣り場のルールに反しない限り、その他の場所でも周りに迷惑をかけない限り、何を使ってどう狙うかなんて自由でいいんです。バカにするやつがいたら笑わせておけばいいさ!

ただ、ブリに近い大型青物なんかを狙うには厳しいと言わざるを得ません。いくらでも自由に魚を走らせられる場所ならいいですが、多少でも混みあった釣り場ではやり取りに時間がかかったりして周りに迷惑をかける可能性があります。大物には専用のタックルを検討した方がいいでしょう。

ルアーマチックS86MLならこんな釣りができる

ルアーマチックS86MLはその名の通りルアーで釣りをすることを前提にしたロッドです。でもエサ釣りにだって使えます。

これはルアーロッドの中でも比較的柔らかめだからできること。28グラムまでのルアーに対応しているので、8号ぐらいまでのオモリがついたエサ釣り仕掛けなら問題なく投げられます。

ルアーマチックS86MLでできるエサ釣り

どんなエサ釣りに対応できるかリストアップしてみましょう。

ルアーマチックS86MLで出来るエサ釣り
  • 堤防でアジやサバなどを釣るサビキ釣り
  • テンヤを使ったタチウオの引き釣り
  • 砂浜でキスなどを狙うちょい投げ釣り
  • テトラの隙間などで根魚を狙う穴釣り
  • 堤防の際などで根魚をねらう探り釣り
  • アサリなどをエサにしたカワハギ釣り
  • 魚の切り身などをエサにしたアナゴ釣り
  • 生きた小魚をエサにしたのませ釣り
  • ハゼ用天秤を投げるハゼ釣り

これはほんの一部でしかありません。もっといろいろなエサ釣りに使えるポテンシャルがあります。

ルアーマチックS86MLで」タチウオテンヤを投げて釣れたタチウオ
ルアーマチックS86MLでタチウオテンヤを投げて釣れたタチウオ

堤防からのエサ釣りには磯竿という4メートル程度の長い竿が主に使われます。その竿の長さゆえエサ釣りに多い1メートルを超えるような長い仕掛けを扱いやすくなっています。その点において短いルアーロッドが使いにくいことも確かですが。

堤防では足元付近、堤防の壁際がポイントになることがあります。壁に貝類や甲殻類、多毛類などのエサが住み着き、それを魚が狙うためです。その場合はルアーマチックS86MLの短さがむしろ武器になります。

アサリをエサに壁際を狙いルアーマチックS86MLで釣ったカワハギ

ルアーマチックS86MLでできるルアー釣り

本来はルアーロッドなので、もちろんルアー釣りができます。ではどんなルアー釣りができるでしょうか?こちらもリストアップしてみます。

ルアーマチックで出来るルアーフィッシング
  • シーバス用の各種ルアーを使ったシーバスフィッシング
  • ワインド用のワームを使ったタチウオワインド
  • 28グラムまでのメタルジグを使って青物などを釣るライトショアジギング
  • 専用のサビキ仕掛けとメタルジグを使ったジグサビキ
  • エギを使ってアオリイカなどを狙うエギング

6グラムから28グラムまでのあらゆるルアーを投げることができるので、これ以外にもいろいろなルアーフィッシングにも対応します。

ルアーマチックS86MLでメタルジグを投げて釣れたタチウオ
ルアーマチックS86MLでメタルジグを投げて釣れたタチウオ

本来はそれぞれ専用の竿を使うほうがいいけど

基本的にエサ釣りは餌釣り用の竿、ルアー釣りはルアーロッドを使うのが理想です。それぞれの特性があって、得手不得手があるので。

その釣り方専用のものをつかったほうが釣りあげられる確率が多少なりとも高まるのは事実。そしてその釣り自体をより楽しめるのは確かなこと。

でも使いやすい使いにくいなんて感覚は、ある程度釣りに慣れないと分からないこと。

それを分かるようになるまでの踏み台…という表現はちょっと乱暴かもしれませんが、使い倒して釣り竿の何たるかを知るのに最適な釣り竿といえます。

初めてのゲームでオールマイティなキャラを使うタイプの人、そんな人に向いているかもしれません。ストIIでリュウやケンを選んだあなたに合うかも。知らんけど。

軽い仕掛けを使うライトゲームには不向き

突然ですがごめんなさい。怒られる前にここで謝っておきます。

万能ロッドとしてこのロッドを紹介してきましたが、これはさすがにむずかしいという釣りもあります。それは軽い仕掛けを使った釣り全般。ルアーの分野でライトゲームと呼ばれる釣りです。

たとえばそれはワームでアジやメバルを釣るアジングやメバリングなど。淡水だとニジマスなどを釣るエリアトラウト、つまり管釣り。これらは1グラム程度のごく軽いルアーを使う釣りです。

ここでさっきもお見せした対象魚の表を再度ご覧ください。S86MLではなく少しライトなS70ULについていたラベルですが、ルアーマチックシリーズを横断して対象魚が確認できます。

一番右がS86MLの対象魚。見ての通り、トラウトとメバル・アジには★マークがついていないことが分かります。

アジングやエリアトラウトをルアーマチックS86MLでやるのは絶対無理…なんてことは言いません。でもルアーを動かしている感覚がゼロだったり、やってて楽しくないはず。釣れたとしても「釣った感」が皆無。S86MLではロッドが長すぎるし硬すぎるのです。

品番にある86という数字は8フィート6インチという長さのことで、約2.59メートル。フィートとかインチとか普段は使わない単位ですが、ルアーフィッシングはアメリカ基準なので重さもオンス(oz)とかポンド(lb)が使われたりします。面倒ですが慣れてください。

MLという文字列はミディアムライトの略で、中間よりちょっと柔らかいぐらいのニュアンス。ちなみに頭のSはスピニングリール用という意味。

ライトゲームなら長さは5~7フィート、硬さはUL(ウルトラライト)が適しています。やはり86MLは長すぎるし硬すぎる。

でも!

初心者を取りこぼさないルアーマチックには、ちゃんとライトゲームを対象にしたラインナップがあります。これなんてエリアトラウトにはぴったり。

ルアーの重量上限もやや低めの設定

逆に重いルアーを投げるのも一定の限界があります。

青物などを狙うメタルジグは鉛やタングステンが素材となっており、30~40グラム台がレギュラーサイズ。そしてルアーマチックS86MLの対応ルアーは28グラムまで。20グラム前後のルアーを投げるのが一番マッチしていると思います。

30グラムのメタルジグを投げられないこともないですが、バランスが悪くてあまり飛ばせないし、ロッドが折れないかヒヤヒヤします。

しかし!

初心者の味方ルアーマチックには、重いメタルジグを投げられるショアジギングを対象にしたラインナップがあります。

ルアーマチックS86MLのおすすめポイント

たぶん日本一売れているロッド

このブログでは、私のおすすめとしてことあるごとにルアーマチックを紹介しています。

結果として2019年は年間約400本、2020年は約350本と、ほぼ一日一本のペースでAmazonから買われていきました。コロナ禍で釣り人気が高まったとされる2020年の5月は、わずか一か月で100本以上も売れた人気ぶり。その人気のせいか、2020年の大半は長期的に欠品していて手に入りにくい状態でした。

そしてAmazonのロッド・釣り竿売れ筋ランキングでも、在庫がある状態なら上位に入っています。

これは日本一売れているロッドといっても過言ではないでしょう。

こういったよく売れている製品にはネガティブな口コミも多くなるのが常です。しかしAmazonのレビューを見て分かる通り、ルアーマチックに関してはほとんど見かけません。釣り具の最大手メーカー製品で品質が安定している証拠といえます。

買ったばかりで折れたというレビューは、運悪く初期不良に当たってしまったか、あるいは扱いが悪かったものと思われます。確かに折れるときは嘘みたいに簡単に折れますが、それはルアーマチックに限ったことではありません。

最強のコストパフォーマンス

このロッドが持つ最大の魅力、それはやはり低価格だということ。

多少変動しますが、Amazonなら最安時で6,000円台前半になっているはずです。

これより安いロッドとなると、よく分からない謎メーカーのものか、釣り具店のオリジナルブランドのものしかありません。

Amazonでもこれより安い中国製らしきロッドがたくさん売られていますが、あの手のものは酷い品質のものも混じるのでおすすめしません。

安いならそれでいいという割り切った選択も良いと思いますが、初心者だからこそ大手メーカーの製品を選ぶべきと私は断言します。

なぜ初心者こそ大手メーカーがいいのか?なぜ無銘メーカーの安物じゃダメなの?

大手メーカーシマノの製品だからサポートが安心

初心者だと適切なロッドの扱い方や、これ以上力をかけたら折れるという限界点が分からないはず。

その結果どうなるかというとロッドを壊すことにつながります。ガイドが曲がったりポキッと折れたり。これは仕方ない。たぶんどんな達人だろうと初心者のときは何度もやらかしてるはずです。釣りをやる以上誰もが通る道。

買い替えるのはもったいないし修理して使いたい。その時、よく分からないメーカーのロッドだと部品がなくて修理が出来ない場合があります。そのロッド自体の製造が終わっていればさらに難しく、有り合わせのパーツなどでなんとかするしかありません。

その点、大手メーカーのシマノかつ現役の製品であれば間違いなく修理やパーツ交換が可能です。これだったら買い替えたほうが安くつくなんていう壊れ方もあるでしょうが、長く大切に使えるにこしたことはありません。

基本は釣具屋に持ち込んでの修理依頼となりますが、国内にシマノの製品を扱っていないなんていう釣具屋はまずありません。つまりこれは全国網のサポート体制が整っているということ。

また、シマノやダイワなどの大手メーカーであればどこにどんなパーツが使われているかという情報が公開されていてサイトで確認できます。

たとえば、S86MLのパーツ価格表を見てみましょう。

これを見ると、ロッド先端のトップガイドに「CCFOT7S-1.8」というサイズのガイドが使われていることが分かります。この部品そのものを釣具屋で注文することができますし、1.8という竿先端の直径サイズが分かれば、それに合ったガイドを選び自分で交換、カスタマイズすることも可能です。

2ピースロッドで壊れにくい

幼少の頃に釣りをしていて、また釣りを再開しようとしてる子育て世代の方。1980年代生まれぐらいのあなたです。

その頃にバスフィッシングをしていたなら別ですが、エサ釣りをしていたなら「振り出し竿」を使っていたはずです。4~5本に分割され短く収納された竿本体を、ラジオのアンテナみたいにスルスルと伸ばすあのタイプの竿です。

実はこの振り出し竿、昔に比べて折れやすくなっています。うっかりするとこんな風にポキっとカンタンに。

穂先が折れた竿
振り出し竿はうっかり折りやすい

これは竿の本体に使われている主な材質が、グラスファイバーからカーボンファイバーに変わったからです。

材質が変わったぶん軽くなったり感度がよくなったりなどのメリットはありますが、グラスよりカーボンが折れやすいのは事実。特に伸ばしたり縮めたりしているときによく折れます。そして私自身、何本も折ってきています。なんなら今まで買った振り出し竿はすべて一回折ってます。

そして比較的新しい製品であるルアーマチックS86MLもやはりカーボンが主な材質。じゃあやっぱり折れやすいじゃないか!

一般的に高いロッドほどカーボンの含有率が高く、扱いが悪いと折れやすい可能性があります。もちろん素材の配合などで折れにくい工夫がされている高級ロッドもあるので、一概には言えませんが。

でもさっきから書いてるようにルアーマチックは安さが魅力のロッド。だからカーボン含有率は今どき高くも低くもないレベル。これも折れにくい要因となります。

そしてルアーマチックは振り出し竿ではなく2ピースに分かれたロッド。おおよそ2.6メートルのロッドが半分に切られた状態になっていて、使用時はそれを差し込んで繋ぎ合わせるだけ。ガイドの向きをひとつひとつ気にする必要もないしめっちゃスピーディーに準備可能。

ルアーマチックの並継ぎ部分
使用時は2ピースに分かれたロッドを繋ぐだけ

延ばしたり縮めたりする作業が必要ないので、うっかり折ってしまう可能性が格段に低くなります。いやほんとに。もちろん無茶な扱いをすれば折れますが、そしたらさっき書いたように釣具屋に持ち込んで修理依頼かパーツ取り寄せをかければいい。

ルアーマチックを含めて、2ピースのルアーロッドは何本も持ってますが、今までうっかり折ってしまったことはありません。2ピースであることのデメリットは、収納や持ち運び時にかさばることぐらいでしょうか。

なお、ルアーマチックには専用の竿袋が付属していますが、不織布でできたペナペナの竿袋です。おそらく長持ちしないので、安全な持ち運びを考えればロッドケースを買った方がいいでしょう。

破損を防ぐため、ケースの周囲がプラスチックの板でガードされているセミハードタイプがおすすめ。ルアーマチックS86MLは全長259センチなので、バラして2ピースにした長さは約130センチ。多少長さに余裕を持った140センチ以上のケースが最低条件です。

2ピースロッドだからお手入れカンタン

釣りが終わったら、ロッドは海水、魚の粘液やウロコなどで汚れてしまっているはずです。

そのまま1回や2回ぐらい放っておいても直ちに影響があるわけではありませんが、毎回しっかり洗ってきれいメンテナンスにしてあげることで、格段に長持ちするようになります。

メンテナンスといっても、基本はロッドの表面やガイドにこびりついた汚れを水で洗い流すだけ。水道水をびゃーっとかけるだけでも何もやらないよりずっとまし。

この場合、振り出し竿だと穂先のカバーを外して、ロッドのお尻にある栓を抜いて、ちょっとずつ竿を伸ばしたりしながら…手間をかけて水洗いする必要があります。ここで竿を壊すことも多いし、縮めて収納した状態だと乾きにくい。乾きが不十分だと生乾きの悪臭も発生しがち。

その点、2ピースロッドならロッドを2つに分解してそのまま水をかけるだけ!汚れがひどければ指やブラシでこすりましょう。あとは乾かせば完了。振り出し竿みたいに他のパーツと重なっている部分がないからすぐに乾く。ほんとこれだけなのでお手入れがカンタンです。

短かくて軽いから扱いやすい

ルアーマチックS86MLの長さは品番が示すとおり8フィート6インチ。1フィートは約30センチ、1インチは約2.5センチなのでだいたい2.6メートルの長さ。

これは長過ぎることもなく短すぎることもない絶妙な長さです。釣りに慣れていない人や、子供、女性でも仕掛けをキャストしやすい長さだと言えます。

こちらは身長150センチ前後の子どもにルアーマチックS86MLを持たせているところですが、ちょうどいいバランスです。

子どもや体格が小さな人でも問題なく扱える
子どもや体格が小さな人でも問題なく扱える

そしてルアーマチックS86MLの重さは145グラム。大体スマホと同じぐらいの重さと考えれば想像がつくでしょう。

数字だけ見ると「え?わりと重くない?」と感じるかもしれないですが、実際釣り場で持ってみると非常に軽くて使い勝手がいいです。他の釣り竿と比べてみても軽く感じるはず。5,000円台の安いロッドなのにこんなに軽くていいのでしょうかっていうぐらい軽い。

この長さと軽さ、子供用のロッドとして使わせるのにも最適です。

釣り竿の基準を作るための一本目として最適

初めての釣り竿はどんなものを選んだらいいという問いに対して、ベテランの釣り人は回答が両極端になりがち。

どうせ壊すんだからワゴンセールで売っているような安物の釣具セットでいいという人もいれば、初心者だからこそ高くて高性能な釣り竿にすべきという人も。

でも正直言って安物釣り具セットは壊れやすい。

かといっていきなり高級ロッドを買っても最初からその価値や意味を理解できない。宝の持ち腐れになる。最初の一本という条件なら、私はどちらもおすすめできません。

だからこそ私は安物でも高級でもない、ちょうどいいルアーマチックS86MLを1本目の竿としておすすめします。

”釣りのベテラン”から言わせれば「6,000円程度の釣り竿などおもちゃ同然の安物」といってバカにされるかもしれません。しかし初心者にとっては高い買い物です。6,000円の釣り竿だってしっかり魚が釣れます。胸を張りましょう!

安いタックルをバカにして「すぐ壊れる」とか「使い捨てw」とか言っちゃう残念な人もいますが、そういう人は間違いなくこのロッドを使ったことがないでしょう。言わせておけ!

この竿が壊れるまで使い倒せば初心者卒業だ!

この竿でいろいろな釣り場に行っていろいろな釣りをしてとことん使い倒せばいい。その頃にはルアーマチックS86MLにも何かしらの不満がでてきて、この次に買う2本目の竿に何が必要か、自ずと分かるようになっているはずです。

たとえばルアーマチックを通してショアジギングが好きになったとします。そしたらもうちょっとグリップが長いほうがいいなと気づくかもしれません。ジギングは脇にグリップの端を挟んでジグをしゃくったほうが楽なんですが、ルアーマチックはちょっと短いからです。そしたらあなた好みのショアジギング用のロッドを検討すればいいし、ショアジギング用のロッドはグリップが長めに出来ている意味も理解できるはず。

そこに至るまでの基準づくりとなる1本目の釣り竿。釣りをマスターしていくまでじっくり付き合ってくれる文字通りの相棒。それに最適なのがアーマチックS86MLなのです。

なおS86MLが売り切れだったりする場合、86MLより15センチだけ長いS90MLも同じく万能に使えます。重量もほとんど変わらず、それほど使用感に違いはありません。

少し長い分だけ仕掛けの遠投距離が延びるというメリットもあります。

S86MLより少し短くて柔らかいS80Lも万能ロッドといえます。

扱えるルアーの重量が21グラムまでとなるためルアーの選択肢は狭くなりますが、より柔らかい竿のためサビキ釣りなどのエサ釣りにはこっちのほうが合っているかもしれません。

ルアーマチックS86MLが売り切れだけどなるべく早く同じようなロッドが欲しいんだ!というあなたにはダイワのルアーニストシリーズも選択肢に入れてください。ほとんど同じスペックです。

ルアーの専門メーカーであるメジャークラフトも、同様のスペックの入門用ロッドを発売しています。こちらもコストパフォーマンスが高いモデルです。

リール付きのセットならシエナコンボ

2022年には、ルアーマチックS86MLと同等のスペックを持ったロッドにリールがセットになったシエナコンボが発売されました。

セットで実売1万円を切る価格になっているので、まず最初に選ぶ釣り具としておすすめです。初めからロッドのスペックに合ったリールが用意されているので、リールを選ぶのが面倒だという人にもおすすめの間違いないセットです。

ルアーマチックS86MLとベストマッチするリールはセドナ

このロッドに最適なリールも紹介します。これも私が実際にルアーマチックと組み合わせて使っているリールです。

ルアーマチック×セドナ=ベストマッチ!

それは同じくシマノから発売されているセドナ。

ルアーマチックS86MLとベストマッチするセドナ2500
ルアーマチックS86MLとベストマッチするセドナ2500

位置づけ的にはルアーマチックと同じく初心者用のエントリーモデルです。これも釣りの種類に合わせた豊富なラインナップがありますが、ルアーマチックS86MLに最適なサイズが2500。

ラインを巻き替えさえすれば、これ1台でエサ釣りもルアー釣りも可能。ナイロンラインなら3号、PEラインなら0.8号~1号がぴったり。いろいろな釣りに使い回せます。

エサ釣りをせずルアーをがっつりやっていくんだというならPEライン専用といえる2500Sがベスト。

品番の後ろにあるSはシャロースプールのS。スプールの溝が浅いので、細くてかさの少ないPEラインを無駄なく手軽に巻くことができます。

こちらもコストパフォーマンスを重視するならPEラインはシマノのピットブルがおすすめ。

位置づけとしては廉価版のラインになりますが、50センチぐらいの青物であれば問題なく釣り上げることができます。

シマノのリール以外も取付けできる

ここではシマノのロッドにシマノのリールをおすすめしましたが、同じメーカーじゃないと取り付けができないというわけではありません。シマノのロッドでも、ダイワやアブガルシアのリールを取り付けて使うことが可能です。

ロッド側にあるリール取り付け用のパーツをリールシート、リール側にあるT字型のパーツをリールフットと呼びます。ロッド側にあるリールシートは、国内メーカーのロッドであればfujiというロッド用パーツメーカーのリールシートが採用されていることがほとんど。

それに対してリール側にあるリールフットの形状は共通規格が無くメーカー独自のもの。共通規格が無いということは、大手釣り具メーカーのティムコが明言しています。

とはいえ、なんとなくの共通規格はあるようで取付け自体はメーカーを超えて可能。例えばアブガルシアのリールフットは肉厚だったりちょっと相性の悪い場合もありますが許容範囲です。

ということをふまえて、あえてシマノではないリールかつコストパフォーマンスのリールを選ぶならレブロスがおすすめ。

2020年のモデルなので、少し古いセドナより基本的な性能の向上を感じられるはず。そもそも値段の差もありますが。

予備のスプールがついてくるアブガルシアのカーディナルシリーズもおすすめです。ルアー用を想定しているならカーディナル3のSTXがいいでしょう。

ガタつきの少ないねじ込み式ハンドルのリールでは、どのメーカーから選んでも一番安いモデルだと思われます。

ルアーマチックはSiCガイドじゃないけどPEラインOK

ルアーマチックはトップガイドがSiCガイドではありません。だから「PEラインを使うと削れて溝ができるよ」とアドバイスしてくれる釣り経験者がいるかもしれません。

でもあまり心配する必要はないです。

SiCガイドは厳密にいうとSiCリングというリング、つまりラインが通る輪っかの材質のことです。放熱性の高さ、滑りの良さ、強い硬さを兼ね備えていて、PEラインを使うにおいて半ば常識となっているのがSiC。

ではルアーマチックはどんなリングが使われているかというと、ぶっちゃけハードリングという「昔からあるごく普通のリング」で、具体的にはfuji(釣り竿のガイドNo.1メーカー)のOリングが使われているようです。

しかし私は5年以上このロッドでPEラインを使ってきて、溝ができているとか削れているとかいう兆候は無し。週に10日釣り場に通う猛者ならまだしも、週末だけ釣りに行く程度なら気にする必要はないでしょう。

仮に削れたとしてもトップガイドなら交換が容易ですし、それぐらい使い込んだころには次に使いたいロッドが明確に決まっているはず。もし削れてガタがきたとしたら、それはガイドの交換か買い替えの時期。その時期を知る目安になるかもしれません。

どういう原因にしろトップガイドが破損するとラインにダメージを与えます。ラインで削れて溝ができるより、うっかりぶつけて一部が欠けるといった可能性も高いです。そうなった場合はPEラインが毛羽立ってくるとか兆候があるはずなので、ラインとガイドのダメージはこまめにチェックしましょう。

モバイルモデル「ルアーマチックMB」が2020年に新発売

最初にルアーマチックが登場したのが2010年前後。

数年もすれば新モデルに切り替わる釣具業界ですが、ルアーマチックは同じ仕様のまま10年ほど販売され続けてきました。さすがにそろそろ新モデルに切り替わるかシリーズ自体廃止かと思っていたところ、2020年にまさかの新バリエーション登場。驚くと同時に、愛用者としては素直に嬉しい。

新しく発売されたのはよりコンパクトに収納できて持ち運びに便利なルアーマチックのモバイルロッド。その名も「ルアーマチックMB」。

4ピースに分解できるロッドなので、収納時サイズは従来の更に半分。もちろんS86MLもラインナップされていて、収納時は70センチ程度とめっちゃコンパクト。バイクやチャリンコ移動でも邪魔にならないモバイル仕様です。車のラゲッジに1本常備しておくのもいいですね。

なお、ルアーマチックMBが発売された段階で既存のルアーマチックが生産終了となったという情報をちらほらみかけます。しかしそれは正しくありません。おそらくは新型コロナによる生産体制の影響で、既存のルアーマチックが品薄になり売り切れ続出していたタイミングがありました。だからそう考えたのだと思います。しかし2020年以降もずっと並行してカタログに掲載されていました。シマノの公式サイトからは確かに消えていましたが、あれは単純なミスだったと思われます。悲しいかな廉価モデルの情報は粗末に扱われがち…

新しいバリエーションが増えたという解釈でいいと思います。

2023年春の段階でルアーマチックMBはまだ緑色の旧デザインですが、順当にいけばそのうち23年モデルのブラックをベースにした新デザインにリニューアルすると予想されます。

ルアーマチックは初心者の味方

私がルアーマチックS86MLを万能ロッドとして初心者におすすめしたい理由、分かっていただけたでしょうか?

自分で使ってきて満足しているからこそ人におすすめしたいのです。特に初心者が選ぶ一本目として。これからも初心者の味方、釣りの入り口としての役割を果たしてくれるはずです。

このロッドのコストパフォーマンスは本当に高い。価格帯が釣具屋のプライベートブランドと競合するせいか、店頭で見かけることがほとんどありません。たぶんこっちのほうが安くて売れちゃうから?

なのでネットでお買い上げになることをおすすめします。

この竿で良き釣りライフを始めてください!きっと楽しい世界が待っています。