左利きには左利き用出刃包丁を!最初の一本はこれがおすすめ

唐突ですいませんが皆さんに知っておいて欲しいことがあります。

世の中のありとあらゆる工業製品は右利き用に最適化されてるんです!右利きの人知ってますか?意識したことありますか?ないでしょう?

例えば駅の自動改札です。

それが何だ思うでしょうがこれは明確に右利き用として設計されています。切符の投入口、最近だとICカードをタッチするところ。あれって進行方向右側にあるじゃないですか?左利きだとね、左手で切符を持って体の前で腕をクロスさせる感じで投入口に入れないといけないんです。おいおい仮面ライダー電王の変身ポーズかよっていう。じゃあ右で持てよという提案は申し訳ないが聞き入れない。

まだあるぞ。例えば毛筆。

小学校三年ぐらいになったら習字の授業が始まりますよね。左手で筆を運ぶことに当初からずっと違和感を感じてたんです。とめ、はね、はらい。それをやろうとすると、どうやっても見本どおりにいかない。体をひねって手首を可動範囲ギリギリまで動かしても難しい。あるとき気づいたんです。「あ、これって右利き用に出来てるんや。左手でやるのは無理あるやん。」なんで先生教えてくれへんかったん?じゃあ右で筆を持てって?それが簡単に出来れば苦労しませんよ!

このように左利きは生き辛いのです。地味に。それは釣りにおいても同じ。そして釣った魚を料理するにおいても。

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釣りにも利き手の壁が待っていた

左利きゆえの壁

申し遅れました。お察しの通り私は左利きです。主に左手で物を操って数十年生きてきました。お箸を持つのも字を書くのも左。そして釣竿を持つのも左。ついでに言うならサッカーボールを蹴るのも左足。

右利き優勢の世の中にあって左利き人生はハードルの連続です。冒頭で書いた以外に左利きならではのハードルを紹介しましょう。

食べ放題なんかのお店にある、スープを掬うときに使う先のとがったお玉があるじゃないですか。あれは右手で持ってとがったほうから注げばスムーズに器に入りますが、左手で持つと丸いほうから注ぐことになります。ゆえにスープがダバーッとダダ漏れになります。

学生時代の経験ですが、左から字を書く英語や算数のテストを回答し終える頃には小指側の手が真っ黒になります。

右利きの人は知らないでしょうけど急須でお茶を注ぐのにも一苦労するんです。

まだ言っていいっすか?

最近だとセブンイレブンのコーヒーサーバ。あれのカップを置くところにある透明カバーは左手でカバーを開けて右手でカップを取り出し易いようになってるんですよ。左利きは右手でカバーを開けてその下から左手をクロスさせてカップを取り出すことになります。いっつもこぼしそうになる。

逆に左利きで良かったこと?

作文を書くとき手が汚れないのと野球で一塁に走るとき一歩分有利なことぐらいかな?

あと「なんか賢そう」って思われるみたいだけど全然そんなことないから。関係ないから。あれは幻想だから。

この記事にたどり着いた人はおそらく左利きが大半を占めているだろうから分かってもらえますよね?

魚のさばき方も右利き優先

釣りを再開してから自分で料理もするようになり、そこにまた新たな利き手の壁が立ちはだかりました。

それまでろくに包丁なんて握ったことがなかったんで、魚のさばき方を本やネットで調べるわけじゃないですか。そしたら当然のように見本の写真は全て右手で包丁を握っているわけで。もう全部写真が逆なわけですよ。包丁の刃の入れ方から魚の向きまで。

最初こそ苦労しましたが、そこは左利きに生まれてウン十年の経験を活かし脳内補完で乗り越えました。自然と身につけた脳内で画像を反転させるテクニックです。

出刃包丁ならなんでもいいと思ってた

釣りを続けるうち、徐々に魚の扱いにも慣れてきて「ちゃんとした包丁を使えばもっと楽できれいにさばけるのでは?」と思い始めました。

なんせそれまでは両刃のいわゆる三徳包丁のみでやってきたので切れ味がイマイチだったわけです。力を入れないと刃が入らないことがあり危険なことも。魚をさばくといえば出刃包丁。このところ週末は料理を頑張ってるしそろそろ自分へのご褒美をあげてもいいんじゃない?ということでリーズナブルかつ評価も高いこの包丁を注文しました。

よし注文完了。あとは届くのを待つだけ。早速今週末釣りに行って使っちゃおう。しかし改めて商品写真を見ているとある記憶が蘇りました。

そういえば「小刀」で苦労した記憶が

今もやってるのかどうか知りませんが、私が小学生のときは高学年になると小刀を購入させられ、それを使って鉛筆を削りなさいという指導がありました。これがどうにも使い難かった。

今思えばたぶんあれも右利き用だったんだろう。小刀って片方にだけ刃がついてて出刃包丁も同じ構造なんだよな。ん?ということはもしや出刃包丁も?

あわてて調べたらやっぱりそういうことらしい。

恥ずかしながら和包丁、片刃包丁に右用左用があることをこのとき初めて知りました。急いでさっきの注文をキャンセル。また選びなおしやん…

出刃包丁に右利き用と左利き用があるのはナゼか?

無理矢理左手で使えるんちゃうやろか?

「そうは言っても頑張れば右利き用の出刃包丁も左手で使えるんちゃうの?今まで右利き用の道具をやむを得ず左手で使ったことも度々あるわけやし。」

そんな風に思っていた時期が私にもありました。

もちろん全く使えないことはないです。でも使いにくいことは確か。ここでその理由についてイラストを交えて説明したいと思います。

右利き用の出刃包丁を左手で使うとどうなるか

ザックリとデフォルメしたうえ、柄は面倒なので省略した右利き用の出刃包丁がこちらです。

通常の出刃包丁は、商品写真でも右に刃先を向けて刃が見える状態で撮影されていると思います。実際使うときは右手に持って左方向に刃を進めますので180度クルリンパします。

ではこの包丁で魚をおろしてみましょう。なお、以降のイラストで菱餅のように見えるものは赤身の魚ということでご理解ください。

刃の角度に合わせて包丁を持ち、左に切り進めていきます。骨から身を削ぎ取るように切れるはずです。これが右利き用の出刃包丁を右手で使う場合。

ではこの右利き用の出刃包丁を左手に持ち替えて同様に魚をおろしてみましょう。右手のときと同じ角度で包丁を持って右に切り進めていきます。

あらあら。右手で持ったときより刃の角度が付いてしまうので、身を削ぎ取るというより無理矢理はがし取る感じになりますね。おやおや、身がつぶれそうで悶絶していますよ(心の声を聞きましょう)。これでは身がグズグズになっちゃいますね。

そこで私はひらめきました。角度を右手のときと同じような鋭角にするなら刃をペタッと寝かせればいいのでは?こんな風に。

上手くいくと思いきや、これだと刃と骨の接地面積が大きいのでスムーズに刃を進められません。魚の皮を包丁で剥ぐときに刃を寝かせて行なう”外引き”というテクニックではこのように刃を進めますが、身をおろすのには向いてない。

絶対無理というわけではないけど、やっぱり右利き用の出刃包丁を左手で使うのは色々と問題が出てきそうです。

左利き用の出刃包丁を左手で使う

やっぱり左利きは左利き用の出刃包丁を左手で使えばベストパフォーマンスを発揮できるはず。だからこそ左利き用の包丁が存在しているのだ。

ということでこちらが左利き用の出刃包丁になります。こちらも切る時は刃を180度クルリンパ。

右手のときと同様に刃の角度に合わせて包丁を持ち、右に刃を進めていきましょう。

これなら刃の接地面積も少ないし鋭角に刃が入る。ということはスムーズに切れる!そう!これでいいんだよ!やっぱり左利きは左利き用の出刃包丁を使うべきだったのだ。

というわけで出刃包丁をはじめとする和包丁、つまり片刃包丁を使う場合は利き手に合わせた側に刃がついている必要があるのです。左利き専用の包丁が必要な理由をご理解いただけただでしょうか?

初めての左利き用の包丁として選んだのはこの一本!

左利き用は選択肢が少なくて高い

左利き用包丁の必要性が理解できたところで、改めて主要ECサイトで「左用」「左利き」などのキーワードで包丁を探します。なるほど確かに左用と謳った商品があるし刃のつき方が逆だわ。

しかし右用に比べると圧倒的に選択肢が少なくてちょっと高い。サイズバリエーションもほとんどない。まあこれって、”左利き用商品あるある”で慣れっこではあるんですけね。確か野球のグローブとかもそうでした。

選んだのは貝印の「関孫六 碧寿  出刃 (左用) 150mm」

そんな中、メーカー品で一番リーズナブルなこの左利き用包丁が目に付きました。

貝印の関孫六。

なんか聞いたことあるな。右用より500円ほど高いけど3,000円程度でお手ごろ。包丁にしちゃ安い部類だろうけど貝印(KAI)は刃物の一流メーカーだし問題ないでしょう。ほんとはもうちょっと刃渡りが短い100mmぐらいの鯵切りとか小出刃が欲しいところだけど仕方がない。たった500円差で左用が用意されてるだけ有り難いと考えよう。

よっしゃ初めての出刃包丁はこれに決めた。

同じシリーズで左用の刺身包丁もあるみたいです。

出刃包丁と刺身包丁があればたいがいの魚処理は事足りるはず。余裕ができたらこれも買おう。

めっちゃ切れる!小魚処理の効率アップ!

これが左利き用出刃包丁だ!

届いたら早速パッケージを開封。危険防止のためかすごく開けにくいパッケージなのね。キッチンバサミで無理矢理パッケージを切り取ってこじあけました。

取り出してしばし眺めます。右利き用に慣れた人には違和感があるかもしれませんね。

開封したてのような体で書いてますが、この写真の包丁にはウロコが付いちゃってますね。はい、これは1回使用した後です。小アジのウロコがついてます。使用感バリバリ出てるやん。ちゃんと洗ったつもりなんだけど。

柄は木ではなく樹脂製です。木だとカビ生やしちゃいそうだしこのほうがええわ。持ちにくさも感じないし。

今まで使っていた三徳包丁とは違って刃にずっしりとした重量感があります。

刃の材質はステンレス

刃は「モリブデンバナジウム鋼」というものが素材として利用されているようです。これは医療用のメスにも使われている素材らしい。ぶっちゃけ、包丁の素材としては一番安い部類のようです。

3,000円程度の入門用出刃包丁なのでいわゆる”ハガネ”タイプではなく”ステンレス”タイプの素材。ステンレスなのでもちろん錆びにくいのがメリット。

デメリットはハガネに比べると切れ味が劣るのと、硬いので研ぎににくいということがあるらしいのですが、これは両方使わないと実感できないんじゃないかと思われます。私にはまだ分かりません。研ぎにくいとされていますが、問題なく研げてますし。

釣竿やリールと同じように上のグレードを追いかけていくとキリがないので、今の私にはこれぐらいのグレードが丁度いいのではないでしょうか。物足りなくなったらステップアップすればいい。これはそこに至るまでの基準となる包丁になるでしょう。

実際にアジとサバをさばいてみる

商品が届いた数日後に神戸周辺へサビキ釣行。

なかなか群れの密度が高く、10センチ未満の豆アジ、それよりちょっと大きい小アジ、25センチぐらいの中サバ。これらが大漁で3桁越え。

アジとサバは魚をさばくということにおいて基本中の基本だから、この包丁で最初にさばくのにうってつけでしょう。やってみよう。

大き目のサバも力いらずでラクラク

最初はサバから。

こないだまで15センチもない小サバだったのにもう25センチ程度。どう料理するかは置いといてとりあえず三枚におろして冷凍しておこう。

まずは頭を落とします。サイズが大きくなったんで中骨も太く硬くなってるけど、この包丁ならストンと落ちる。

続いて背中から刃先を入れて三枚おろし。刃先がスッと身に入ります。安物三徳包丁だとこれができなかったので切れ目ができるまでギコギコやってましたが、さすが出刃包丁です。力を入れずに三枚おろしができました。

小アジの刺身もきちんと処理できる

続いて小アジ。

ちょうどiPhone5sと同じぐらいの大きさだったので12~13センチってとこですかね。これは刺身でいただきたいと思います。

頭を落としてお腹をキレイにする過程までは三徳包丁とたいして使い勝手は違わない感じ。

続いて三枚おろしというか大名おろしで身を骨から外していきましょう。頭側からスッと包丁が入って骨から身をそぎ取るような感じで真っ直ぐスイっと刃が進みます。なるほどこの重量感は安定感にも繋がるのか。重いけど軽い、そんな感じ。

三徳包丁では難しかった腹骨のすきとり処理もこの出刃包丁なら可能でした。三徳包丁に比べて刃先が薄いからできるのでしょう。

以前のブログで小アジの刺身は大変だからおすすめしないと書きましたが撤回します。

ちゃんとした包丁なら出来ます!まあ小さいし数もそろえる必要があるので大変なことに変わりはないですが、それに報いる美味さがあります。アジは小さくともアジの味。刺身にしてから冷蔵庫でキンっと冷やしてビールと一緒にいただくと最高です!ああ、また食いてえ。

追記(16/09/07):
というわけで勢い余って記事にしました。

もっと早く買っておけばよかった

うん、いいな出刃包丁。もっと早くから導入しておくべきでした。

たかが小魚に出刃包丁なんて必要か?と思ってたけど、ラクに使えるから結果として作業の効率化、時間の短縮に繋がりました。味オンチだからよく分からないけど、切れ味がよければ断面も綺麗で味もいいはず。数をこなす小魚だからこそ、それを美味しく味わうにはちゃんとした道具が必要かもしれない。

砥石も必須です!

包丁は切れ味が落ちたらその都度砥いで使うものです。と、出刃包丁を使うようになってから痛感しました。砥ぐには砥石が必要。

砥石で研ぐなんて大げさなと思うかもしれませんが、カッターナイフだって切れなくなったら刃を折って尖らせてから使うでしょ?いっしょですよ。

三徳包丁にはスティック型のシャープナーを使ってたけどちゃんと砥石で砥ぐべきだと思い、この砥石を購入しました。

砥石を使うのは初めてだし身近な人が使っているのも見たことがなかったので自分が上手く砥げるものかと不安でしたが、それなりにちゃんとした切れ味のある包丁に仕上がりました。包丁研ぎの解説には必ずセオリーとして書かれていますが、刃と砥石の角度を一定に保つのが大事ですね。

調子にのって元々使っていたなまくら三徳包丁を砥いでみたら切れるのなんの。もしかして出刃包丁いらなかったんじゃないかと思うぐらい。いや今までが切れなさ過ぎたのか。当たり前のことだったのかもしれないけど、包丁って砥ぎながら使うもんなんだな。

包丁を研ぐという作業は精神を集中させる作業で、砥いでいると不思議と心が落ち着いてきます。メンタル的にもいいかもしれない。

ノンウォッシュのジーンズを履きながら色落ちさせて育てていくみたいに、包丁も自分で砥ぐにつれ自分なりの刃がついてきてだんだん愛着が湧いてきました。

左利きと釣り

頑張ろう左利き

曲がりなりに2年ほど魚料理をしてきましたが、左利きの包丁があることを恥ずかしながらつい最近知ったので記事にまとめてみました。案外知らない人多いんじゃないでしょうか?

左利きの包丁があるとは知らずに右利き用の包丁を使っていて扱いにくさを感じてる左利きの人、今から魚料理を始めようとしている左利きの人、左利きの人に包丁のプレゼントを検討している人。そんな方々への参考になればと思います。

冒頭でも書きましたけど、ほんと左利きって子供の頃から地味に苦労してるんですよ。根本的に困るわけではなく、工夫でその場をしのげる地味な困難だから気づいてもらいにくい。左利きの皆さん、これからも共に小さな壁を乗り越えていきましょう。

リールを巻くのはどっち?竿を持つのは?

釣りで利き手というと、どっちの手で竿を持つとか、どっちの手でリールのハンドルを回すとかいう話題がでてきます。これに関しては皆さん結構こだわりがあって意見がぶつかるという場面をネット上で何回か見てきました。慣れて快適ならどっちでもいいんじゃない?というのが個人的なスタンスです。

ちなみに私は竿を左手で操作してリールは右巻きです。スピニングリールだろうが両軸リールだろうが右巻き。竿さばききが肝心だから利き手ですべきとかいうことじゃなくて成り行きで自然とそうなってました。

だってほら、店頭に並んでるリールってどういうわけだかほとんど右ハンドルに設定されてるじゃないですか?多くのリールは左右どっちでも付け替えられる仕様なのにも関わらず。なので何も考えずに子供の頃から右ハンドルでした。なんでそうなってるんでしょうね?