2022年における大阪湾の波止釣り。特筆すべきことがいくつかありました。
まず悪い話から。
それは今年もタチウオの釣果が極端に悪かったこと。メッカともいえる武庫川一文字では11月初旬に一瞬だけ2桁を超える釣果が出たものの、それ以外はゼロ同然。2020年ぐらいから続いているこの状況ですが、2022年はここ十数年で最悪の状況と言って差し支えないでしょう。
いい話もありました。
それは青物の釣果が極端に良かったこと。タチウオとは対照的に波止からの釣果はここ十数年で最高水準でした。古い記録が無いのでわかりませんが、数十年に一度レベルかもしれません。地続きの波止からルアーを投げるだけでメジロやブリ、サワラが釣れるんだから景気のいい話です。
そしてもう一つあったいい話。
それは誰も予想しなかった波止からのカワハギ爆釣。大阪湾中の波止でコンスタントにカワハギが釣れ、シーズン終盤には20センチを超える良型も混じりました。これもまたここ十数年において初めてのことでした。
この波止カワハギフィーバーは来年以降も続くのか?それは誰にも分かりません。しかしいつその時が来てもいいようにこの2022年の経験を記録し、来たるべきチャンスに活かしたいと思います!
大阪湾の波止がカワハギフィーバーに至るまでの軌跡
この記事は自分自身がどうやって釣ったのかというノウハウを残して、次のチャンスに役立てたいというのが趣旨です。つまり大げさな公開メモです。そして対象は波止釣り。大阪湾でも船釣りでのカワハギ釣りに役立つ情報はございません。そこをご理解のうえお付き合いください。
とその前に、どんな流れで大阪湾がカワハギフィーバーに至ったのか。ざっくりと流れを説明します。
以前から狙える魚ではあったけど
カワハギは2022年以前も大阪湾で釣れる魚ではありました。
しかし明石海峡や紀淡海峡に近い、いわゆる「潮通しのいい」エリアが主なポイントであり、南港や武庫川一文字などの湾奧であえて狙うようなターゲットではありませんでした。ただ湾奧で釣れることはあったし、海面直下をホバリングしながら泳ぐ姿を見ることはありました。でも専門に狙う人はほとんど居なかったはず。
私自身、明石海峡に近い平磯海づり公園やアジュール舞子でちょっとだけやったことがある程度でした。その釣果も特筆すべきものではなく印象に残っていません。
カワハギフィーバーを迎えるまで
そして迎えた2022年。
8月ごろからでしょうか、どうやら大阪湾のあちこちでカワハギが湧いてるらしいぞという話がちらほら聞こえ始めました。しかし手のひらサイズにも程遠い、いわゆる「ワッペンサイズ」であり、そんなちっこい魚を釣ってどうすんのという冷ややかな目で見ていた人も多かったはず。
しかし秋以降もカワハギは湾奧に居付き続けて着実にサイズアップ。相変わらず数釣りもできる。15センチを超えた10月ぐらいから専門に狙う人が増えてきてフィーバーに突入。普段エサ釣りをしないようなルアーマンでも手を出すような状況になりました。
晩秋まで良型が釣れ続いた
サイズアップし続けたカワハギは、終盤の11月になると20センチを超えるような良型に。栄養豊富な湾奧で育ったせいか肝の大きさもパンパンの良コンディション。こんなん船で釣るやつやん!
寄せ集めのわりと適当なタックルで青物狙いの合間やタチウオ釣りまでの時間を使って釣れる。あまり潮が動いてないタイミングでも釣れる。真昼間でも釣れる。サイズのわりには引きも強い。そして美味しい。そりゃみんな狙うよね。
水温の低下とともに数やアタリは減っていきましたが、サイズアップしつつ12月の初冬まで湾奧で釣れ続けたのでした。
以上がおおよその流れです。こういったイレギュラーな魚の釣れ方はその年限定になることも多いですが、数年続いているタチウオの不漁のように幸か不幸か当たり前になることも期待できます。
ふたを開けてみないと分かりませんが、2023年以降も同じ状況が再現される可能性はあります。そのチャンスを期待して今年得たノウハウをまとめていきます。来年は倍以上釣ろうぜ!
釣れるタイミングとポイント
そもそもイレギュラーな釣れ方だったので釣れる時期やポイントを書くことに果たして意味があるのかどうか分かりません。少なくとも2022年はこうだったということでご参考に。
また、私が8月後半から11月まで隔週で通った武庫川一文字での経験をもとにしています。大阪湾の全域で釣れていたカワハギですが、その他の近隣釣り場では状況が異なるかもしれないことをご承知のうえで。
夏の終わりから晩秋まで釣れ続いた
釣れ始めは海水温がその年の最高値から下がり始めたぐらいの時期でした。つまりお盆明けの8月後半ぐらいからです。そして水温に関して特筆すべきことがあります。
上のグラフは神戸港の海水温推移。青線が平年値、赤線が2022年の値。2022年は初夏から明らかに高水温だったことが分かります。温暖化による長いスパンの海水温上昇とはひとまず切り分けて考えたほうがよさそうな、2022年ならではの特異な現象です。
この高水温がカワハギの釣果に繋がった可能性がありそうです。2022年は水温が高いと発生しやすいアイゴの稚魚がサビキでよく釣れました。また、これまで大阪湾で見られなかったカタボシイワシの出現も海水温の上昇が要因とする説が有力です。今後の目安として活用できるかもしれませんね。
10月ぐらいがおそらく数釣りできる最高のタイミングだったと思われ、その後水温が下がるにつれ渋くなっていきました。
例えば10月は武庫川一文字のどこでも釣れており、同じポイントから移動せずに何匹でも釣れる状態でした。しかし水温が下がるにつれ数が減り、11月になるとポイントを探して釣り歩かないと釣果が出にくい状況に。
堤防でも変化のある個所が狙い目
最盛期の10月ぐらいは大阪湾のどこでも釣れていたといって過言ではないでしょう。今では数少なくなってしまった釣りが出来る大阪湾の堤防、そのどこでも釣果がある状況でした。
では堤防のどこで釣れるか。
まず狙うべきはすぐ足もと、垂直護岸の壁際です。その壁においても変化のある個所、ケーソンの継ぎ目などは特に狙い目です。すき間が大きく反対側と繋がって水流があるような割れ目では、移動せずとも一か所で何匹でも釣れることがありました。
釣り公園などであれば支柱の周りなどが狙い目になるでしょう。
2~3ヒロの浅いタナで釣れる
そして堤防でカワハギを狙うにおいて特異なのがタナ、つまり水深でした。最盛期はこれが浅かった。
投げ釣りや船釣りで釣る場合は底を狙うのが基本。しかし堤防の垂直護岸で狙う場合は、意外なことに表層に近いタナが狙い目でした。水温などの状況によって変わる可能性がありますが、海面から2~3ヒロ、つまり海面から3~4メートル程度でアタリが頻発。大阪湾の護岸における足元の水深はだいたい10メートル前後なので、表層から中層ということになります。
カワハギは岩礁や砂地にいるエサを捕食する習性があるということになっています。口から水を吹き付けて砂地をめくりエサを捕食する方法もユニークです。それに準じるなら、船釣りや投げ釣りで底を狙うのがセオリーになっているのも理解できます。胴突き仕掛けをわざわざたるませて底にエサを這わせる釣り方もあるぐらいです。
一方、堤防では垂直護岸の壁面に貝類や甲殻類、ゴカイなどの多毛類が生息しています。カワハギは雑食なのでそれらの多くがエサになり得ます。
ー 本来は水平に広がっている海底のエサ場が堤防では垂直方向に立ち上がっている ー
それがイメージできれば表層付近でも釣れるということに納得できるはず。表層から底まで全層がポイントになり得ます。水温が下がるにしたがってタナが底になる傾向が強いようなので、渋くなってきたら上から下までくまなく探ってみましょう。
ガシラなどのいわゆる根魚も「根」魚と呼ばれるぐらいだから、海底の根(岩礁)に張り付いてるイメージで底を狙いがち。しかし堤防なら表層付近で釣れることもあります。どんな釣りであれ、固定観念をとっぱらって柔軟に考えることが釣果に繋がるのかもしれません。
アタリがないなら釣り歩く
そもそもの個体数が多かったのか、最盛期は一箇所でずっと何時間も釣れ続くようなタイミングがありました。
しかしアタリがないようであれば、表層から底までタナを探る、そして移動しながらポイントを探っていくのが良さそうです。季節が進んで水温が下がるにしたがい、わずか数メートルの距離で釣れる釣れないという場所ムラが大きくなっていきました。
大きな群れで移動するアジやイワシのような回遊魚とは違い、小規模な群れで移動する魚なので、数投してアタリがないようであればさっさと移動しましょう。
狙いのタナに仕掛けを落として誘いをかけつつ数十秒待つ、アタリがなければそれを数回繰り返す、それでもアタリがなければ場所移動。また、必ずしもケーソンの割れ目にこだわる必要はなさそうです。
堤防のカワハギというと撒き餌で寄せながら釣る方法もあるようですが、今期は試しておりません。アタリが少ない状況ならやってみる価値はありそうです。
タックルと仕掛けの選び方
カワハギを釣るタックルについては、とりあえず有り合わせのタックルで間に合います。
もちろんガッツリ真剣にやるなら専用品を揃えるのがベストでしょうけど、今後も安定して釣れるのか分からないターゲットなので投資はしにくいわけで。ここはひとつ、手持ちの道具を組み合わせてみる楽しみ方をしてみましょう。
ロッドは今あるものを試してみよう
カワハギ釣りといえば穂先が柔らかく胴がしっかりした先調子の竿が定番。繊細なアタリを柔らかい穂先でとらえて、カワハギの堅い口を硬い胴でガシッと掛けられるからです。
しかし毎年釣れ続けるかどうか分からないターゲットのために専用ロッドを買うのは躊躇します。そこで私は今持っている以下のロッドでカワハギ釣りを試してみました。
- タチウオの引き釣りに使うMLクラスのルアーロッド
- ライトなルアーフィッシングに使うULクラスのルアーロッド
- ズボ釣りで根魚を釣るときに使う短くて先調子の磯竿
具体的にはこれらの安ロッド。
波止際を狙うためいずれも短めな2メートル台のロッドということが共通していますが、特性はバラバラです。
繊細なアタリをとるならライトなルアーロッドや先調子の磯竿が良かったし、掛けるなら硬めなMLのルアーロッドが良かった。それぞれ一長一短あるなという感じ。ただ、いずれも釣りとして楽しめたし釣果も得られたので正解だと思ってます。
今あなたが用意できるロッドでもまずは釣れると思うので、いろいろ試してみてはいかがでしょうか?全くジャンル違いの道具で試行錯誤する楽しみだってあっていいはず。
ちなみに掛け重視の硬いロッドでも指先にラインを引っ掛ければ竿に頼らずとも小さなアタリがとらえられました。タチウオのウキ釣りでききアワセをやるときに役立つテクニックです。
リールは両軸リールにPEラインがおすすめ
カワハギといえばエサ取り名人の異名をもつ魚。
ガツガツと明確なアタリがでることもありますが、集中していないと何も感じないうちにエサをかすめ取られることがほとんど。それを理解せずシラサエビのチョン掛けで狙っていた時があって、嘘みたいに何の感触もなくエサが取られていて途方に暮れたことがあります。
ここは繊細なアタリを感じ取れるよう、リールには感度のいいPEラインを巻いておくのがベストでしょう。太さは0.8号ぐらいで十分。リーダーは2~3号を数十センチ。胴突き仕掛け自体がショックリーダー代わりになると考えれば、必ずしもリーダーは必要なさそう。
リールはそのラインが巻けるリールならまずはなんでも使えますが、フォール中や狙いのタナに落とした直後にアタリが出ることを想定すると、手返しのいい両軸リールを使うのがおすすめ。
私はまず、ズボ釣りで根魚を狙う時に使うダイワコロネットに3号のフロロカーボンラインを巻いて釣ってみました。ナイロンよりは感度のいいフロロでアタリの感度も良好でした。
ロッドもズボ釣りに使っている先調子の短磯竿だったので、リールもラインもそれをそのままカワハギ釣りに転用したかたちです。
メクリアジのサビキ釣りなど船の小物釣りに使っているベイトリールに0.8号のPEラインでも試してみました。こちらも当然ながら感度良好で手返し良し。
例えばロッドもリールもラインもこんなタイラバ用をそのまま転用できそうですね。
もちろんスピニングリールでは釣れないというわけではないので、まずは今あるものを活用してみるのがいいと思います。
仕掛けは市販の堤防カワハギ仕掛けを
仕掛けは自作とか難しいことを考えずに市販の専用仕掛けを使っちゃいましょう。どこの釣具屋でも置いてるカワハギ専用の胴突き仕掛けです。これで間違いありません。
メバルやガシラがパッケージに描かれているような五目釣り用の胴突き仕掛けでも釣れるとは思いますが、やはりカワハギ専用のハゲ針が使われた仕掛けが確実です。ハゲ針以外も、小さなアタリをとりやすいようハリスが短いのが特徴。極端なものだと2~3センチぐらいしかハリスがとられていません。
針のサイズは、15センチ前後のカワハギが釣れているなら4号、20センチ前後のカワハギが釣れるようなら5号ぐらいを選ぶと針掛かりがよくなりました。カワハギは口が堅く針外しの際に針を折ってしまいがちなので、いくつかスペアを用意しておくと安心です。
オモリは仕掛けに付属していないので、ナスオモリの3号から5号ぐらいを用意。表層付近を狙う前提であればあまり根掛かりの無い釣りなので、軽めのオモリが数個あれば十分です。オモリのかわりにサビキ用のカゴをつけて、アミエビで寄せながら釣るのもあり。
突然のカワハギフィーバーに湧いた2022年の大阪湾。メーカーや釣具屋も需要が予測できておらず、例年は潤沢にあるカワハギ仕掛けに品切れが目立ちました。
手軽さを重視するならエサはアサリを選ぼう
タックルと仕掛けまで選べたので、最後は肝心のエサです。
カワハギの食性は雑食かつ肉食寄りの傾向。シラサエビなどの甲殻類、イソメやマムシなどの多毛類、冷凍エサならオキアミなどなど、いろいろなエサが使えます。他の釣りをして余っているならそれを使えば安上がり。
手軽にやるならむき身アサリがおすすめ
そんなわけで選択肢が多いカワハギのエサ。手軽にやりたいにわかエンジョイ勢はなにを選ぶべきか?
私も色々試しましたが、最終的にこれさえあればいいかと辿り着いたのはアサリです。なにも特別な丸秘エサというわけではなく、カワハギ釣りの定番エサである冷凍のむき身のアサリ。どこの釣具屋でも売ってるはず。
本腰でカワハギ釣りに取り組むのではなく他の釣りの合間にやる釣りという前提で、このようなメリットがありました。
食いの良さだけを考えるならシラサエビなど動きのある活きエサが勝るはず。でも活かすのはそれなりに気を使うし手間がかかるし荷物がかさばるし、余ったら無駄になっちゃいます。
その点、冷凍アサリならクーラーボックスに入れておくだけ。余っても1~2回ぐらいなら再冷凍して次に持ち越せます。メインのターゲットが釣れないなら片手間にカワハギを狙ってみよう、そんな舐めきった態度でも大丈夫。
食材として売ってるアサリもエサにできる
また、釣具屋ではなくてもスーパーで食材として手に入るアサリも釣りエサとして使えます。
まずはパックに水が入った状態で活きたまま売られているアサリ。釣具屋の剥き身アサリと比較して処理の手間を考えるとコスパがいいか微妙ですが、殻を外したら鮮度抜群のむき身になります。
冷凍コーナーの徳用むき身アサリも使えます。私が知る限り完全に生の状態ではなく多少熱が入っているようで、軽く湯通しされているようです。生の柔らかさやドリップがないため食いが落ちる可能性は否めません。
しかし、これを試して釣れたという報告もたくさんある実績エサでもあります。
生のものに比べて形が整ってますしヌメリもない。余ったらみそ汁などに入れてニンゲンのエサにもなります。ただやはり生に勝てない、渋い時などは食われにくいというデメリットもあります。
ワタから食うことを意識した針付けを
しかしこのむき身のアサリ。ちょっと扱いが難しい。
釣りエサとしてポピュラーなゴカイ類やエビ類と全く異なる異質なフォルムなので、多くの人はどうやって針につけたらいいのか迷うはず。私も初めてで正解がよく分かりませんでした。
もちろん書籍やネットには針付けの解説がたくさんあるのでそれを参考にはしました。
それらは水管からつけ始めてベロを通し最後に黒いワタの部分で針先を止めるという解説が大半。一方で、最後にベロで針先を止めるというのもポピュラーらしい。
なるほど、針から外れにくくエサ持ちをよくするためにこうするのだなと。じゃあ、ワタより硬くしっかりとしたベロで針先を止める方がエサ持ちが良さそう。当初はそう判断してその通りにやりました。しかしここで困ったことが2つ。
そういえば生のアサリなんて全体像を見たことが無く、殻に入って水管とベロを出してるところしか見たことありません。身がデロデロになってるのは想定外でしたが、釣りエサとして売ってるアサリはだいたいこういうもんらしい。これは縫うように針を刺すことで小さくまとめて解決。
で、実際にカワハギを釣るわけです。そしたらアタリがあってもなかなか掛けらず打率は3割ぐらい。そんなもんかと思いつつ掛けられなかったエサを見ると、一様に同じような状態になって針に残っている。白くデロデロした部分がだらんとだらしなく垂れ下がってる状態で針に残るのです。
まだエサ自体は残ってるから、さらに縫い刺しをして針に小さくまとめれば釣れるだろうとやってみるのですが、アタリは格段に減りました。一旦捨てて新しいエサを付け直したらアタリ復活。WHYなぜに?
そして気づきました。あいつら(カワハギ)黒いワタの部分ばっかり食うやん。真っ先にそこ食うやん。そんなんやから肝臓が肥大するんやで。
なるほど、針先をワタの位置で止めるという意味が身をもって理解できました。適当に縫い刺ししてもいいから最後はワタで止める。これ大事です。
パンパンの肝を味わい尽くせ!
繊細なアタリに集中してそれを感じる。それを掛けるスリルと快感。サイズに対してパワフルな引き。カワハギは、その釣り自体が楽しいものだということが分かりました。なるほどハマる人がいるのもうなずける。
しかし熱心にカワハギを釣る人の目的は別のところにあるのです。
全ては肝のために
そう、やはりカワハギ自体が抜群に美味しいこと。波止でよく釣れるアジやサバなどの青魚、目白やサゴシなどの青物とは異なる白身の美味しさ。
そしてなんといってもカワハギは肝。ねっとりとした濃厚な旨味の肝。これに尽きます。
もはやこれが本体と言っても過言ではない。いや、過言ではある。しかしカワハギを釣る目的はこれを味わうためという人も多いでしょう。私は完全にそれ。一回食べてトリコ仕掛けになる。
釣ったカワハギの処理
カワハギは血抜きが重要です。それが不十分だと身も肝の色も赤みががった色になってしまします。
私自身、ある程度の大きさ以上であればどんな魚でもピックで脳締めしてからエラを切って血抜きをする手順を踏んでいます。しかしカワハギも同じ手順で処理したところ、明らかに血の抜け方が不十分になるという経験をしました。身の色を見比べれば誰でもはっきり分かるレベルです。
なので、脳締めの前に血抜きをする以下手順で処理したほうが良さそうです。
カワハギのエラは青魚と異なる小さな孔の中にコンパクトな状態で収まっています。ナイフやハサミの刃先をうまく使いましょう。エラ自体は見えにくいですが、刃先で孔の中をザクザクやれば血が出るはずです。
釣った直後なるべく早め元気なうちにエラを切ってやることで、しっかドバドバと血が抜けます。
エラを切ったぐらいでは死なず元気に放血しながら泳ぎますので、血が出なくなるまで数分泳がせたのちに脳締めか、面倒ならそのまま潮氷にいれて氷締めをしましょう。どんな魚でもそうですが、その後調理するまでしっかり冷やして保管するのが鉄則。
なお、内臓というか腸のような臓器がどす黒くて磯臭いので、持ち帰ったらなるべく早く処理した方が良さそうです。現地で処理する人もいるぐらい。あとは肝を取り出す際に苦玉を潰さないように気を付ける。基本、肝を含めた臓器は破かずそして傷つけずに優しく除去しましょう。
濃厚な肝を堪能しよう
カワハギのさばき方についてここでは説明しませんが、皮をはいでから身、肝、頭と分けるのは比較的簡単だと思います。ペリペリと皮をむいていくのはカワハギならではの楽しい作業です。
頭はそのまま食べませんがいい出汁が出ます。頭と顎の接続部分を切断するように切り分けてからエラを取り出して使いましょう。身はそのまま鍋に入れるなども良さそうです。
肝は軽く湯通ししたのち氷水で締めます。そして包丁で細かくたたくか裏ごししてなめらかにしておきましょう。刺し身として身を食べる際、そのまま身に乗せたり醤油やポン酢に溶いたりして食べると最高です。
カワハギといえば薄造りなのですが、しっかり薄く切ろうとすると結構難しいです。自宅で消費するならそこそこ薄けりゃいいんじゃないでしょうか。
また、外側のザラザラした皮の下には透明な薄皮があり、本来の手順ではこれを取り除くことになっています。しかしアジの皮のようにスッキリと剥ける皮ではないので、これもちゃんとしようとするとなかなか難しい。そもそも面倒だし歩留まりも悪くなるし、私はもう諦めて薄皮つきのまま薄造りにしています。多少口に当たりますが問題なく食べられます。
肝に醤油やミソなどで適当な味付けをしてから身とあえる肝和えも最高。
肝和え。これはもう罪の味ですね。現行犯逮捕ですよこんなもん。いくらなんでも旨すぎます。回遊魚では味わえない罪悪感…それがここにある。
カワハギの調理方法は多岐にわたるので、みなさん是非自分好みの調理方法を見つけて堪能してください。キーワードは肝。
湾奥の定番として定着してほしい
2022年、想定外にフィーバーした大阪湾カワハギについて、釣り方から食べ方までを紹介しました。
決してここに書いたことだけが正解ではないので、みなさんそれぞれ工夫して狙って工夫して食べてみてください。釣れるときは簡単に釣れるけど、ハマると奥の深いターゲットだと思います。
果たしてこれは来年2023年以降も続くのでしょうか?
ネガティブにみれば海の状況が変わってしまった結果ともいえるのですが、まずはポジティブに受け入れて新しい湾奥の釣りものとして定着してほしいなと思います。
来年は2倍、いや10倍釣ろうぜ!