ウロコ取り器の代用品として「ペットボトルキャップが使えるよ」というアドバイスをよく見かけます。確かにペットボトルキャップでウロコを取ることは可能。私も初心者のころはやってました。
その経験を通し声を大にして言いたいことがある。ペットボトルキャップをウロコ取りに使ってはいけない!一部の魚を除いて。
ペットボトルキャップでのウロコ取りは怪我の原因になる
魚のトゲでケガをするから
いつか必ず指を刺す
なぜウロコ取りにペットボトルキャップを使ってはいけないか?それはこんなネガティブな要因があるからです。
魚のトゲで指を刺して怪我をするから
ここで断言します。
お金もかからず手軽だからといろんな魚でそれをやっているとそのうち間違いなく怪我をします。魚のヒレやトゲの位置を把握してない初心者ならなおさら。
なかなか血が止まらないし、魚によってはジンジン痛むし、雑菌が入ったら化膿して大変です。
ペットボトルで安全にウロコ取りできる魚は少ない
安易に勧めるべきではない
裏ワザとかマル秘テクとかいう軽々しい見出しをつけてお役立ち情報として紹介しているメディアがたくさんあります。そして特定の魚種なら安全にウロコ取りが出来るのは確かなこと。でもそんな魚はごく一部。
ペットボトルの蓋でウロコ取りをすると怪我をする可能性が高い。これもまた確かなこと。
でも「ミノカサゴとかハリセンボンとかトゲトゲした魚がいるのは知ってるけど、釣りで釣れるような魚ってそんなにトゲトゲしてる?」
そう疑問に思ったあなた。少しだけお時間をください。
ほとんどの魚は鋭いトゲを持っている
分かりやすいガシラのトゲでも怪我する
ほとんどの魚にはトゲがある
ほとんどの魚は鋭いトゲを持っています。
実例を見ていきましょう。いずれも特に珍しい魚ではなく、海釣りをしていれば頻繁に出会うありふれた魚です。
ガシラのトゲを見てみよう
まずは「一般的には認知度が低いけど釣人にはよく知られている魚」の代表格であるガシラから。ガシラは関西地方での呼び名で、標準和名は「カサゴ」。
トゲトゲの位置を図示したのでまずはこちらをご覧ください。

見た目がトゲトゲなので、こいつは危ない魚だと直感的に分かるはず。背ビレにびっしり並んだ鋭いトゲ、エラ蓋に仕込まれた極太のトゲ、目の間に点在する角のようなトゲ。
ガシラは煮付けが定番で、身がしまった白身は刺し身にも最高です。いずれの料理をするにしても細かいウロコを取る必要があります。ウロコを取る必要がないのは揚げ物にするときぐらい。
注意してても必ず怪我をする
トゲだらけなのはひと目で分かるし注意してウロコ取りするだろうから怪我なんてするわけない。そう思うじゃないですか?でもやっぱり刺しちゃうんです。私なんてもう何十何百匹とさばいてきた経験があるのに。
このトゲは無毒ということになっていますが、ひとたび刺してしまうと脈に合わせてしばらくジンジンと痛みます。刺さないにこしたことはない。
定番の魚にもトゲがある
みんな大好きなアジも鋭いトゲが
次はアジを例に。日本近海で釣れるアジは何種類か存在しますが、その中でも最も人気が高いマアジを例にします。
アジを食べたことがないという人は稀でしょうし、さばく前の全身の姿を知っている人も多いはず。鯛のように目立つものではありませんが透明なウロコがあるので、刺身などにして食べるときは取る必要があります。
そのアジの全身をご覧ください。まずはあえてトゲを図示しません。

アジは尾に近い位置に「ゼイゴ」という硬いウロコ状のものが並んでいることがよく知られていると思います。料理本などでもこのゼイゴを包丁で削ぎ取るという手順を含むのが一般的です。これも油断してると手を切ることがあって危ないのですが、みんな知ってて気をつける部位だと思います。
アジのお尻にある鋭いトゲ
しかしマアジってもう一箇所に凶悪なトゲがあります。背ビレにもそれなりに鋭いトゲがあるんですが、もっともっと危険で目立たないトゲがこれ。

少し見えにくいですが、尻ビレの前に数本の鋭いトゲが仕込まれています。
この棘が凶悪。目立たない位置にあったり閉じた状態になっていたりして刺さりやすい。油断してるんで深く刺さりやすい。そして刺さると痛い。
ウロコ取りではない下処理をしているときもよく刺します。釣り上げて針から外すときも注意しましょう。
キャップでウロコ取りをしているときに怪我をしやすい理由
魚と指が近いと怪我をしやすい
ペットボトルを使うと魚との距離が取れない
なぜウロコ取りをしているときに刺さりやすいのか?怪我をしやすいのか?
最も大きな要因は魚と指先の位置が近いこと。小さなペットボトルキャップを握ってウロコを取る以上避けられません。
もうひとつは尾から頭に向けて動かすという動作。多くのトゲは尾の方向に先を向けています。だから頭に向かって動かしてると必然的に刺さってしまう。
市販のウロコ取りを使おう
ウロコ取り器なら柄が長いから怪我をしにくい
じゃあどうやって怪我を回避すればいいんだ?という疑問の答え。
それはもうシンプルに「ケチらんと市販のウロコ取り器を使おう」です。柄が長いから魚との距離がとれるしトゲからも離れる。柄のついたウロコ取り器の構造は必然的なものというのがわかるはず。
ペットボトルキャップでのウロコ取りを推奨する記事の中には「ヒレが危ないからウロコ取りをする前にハサミで切り取りましょう」と丁寧に注意喚起してくれるものもありますが、そんな面倒で不確実な対策をするなら普通にウロコ取り器を使った方がいいです。
また、ヒレの根元など細かいところはペットボトルキャップで綺麗にウロコを取るのが難しい。その点からいってもウロコ取り器を使うのがおすすめ。
だからもうやめようペットボトルキャップでのウロコ取り。
高い道具ではないし百均でも買える
調理器具メーカーの製品を買ってもそんなに高いものではありません。
それでも買うのはもったいないと思うなら、ダイソーなどの100均で売ってるウロコ取りでも十分使えます。小魚はもちろん、50センチを超えるような鯛でもちゃんとウロコ取りができます。安全に。
そしてもちろん包丁でウロコ取りをすることもできます。ただし硬いウロコの魚だと切れ味が落ちてしまう原因にもなるので、そこは留意しておきましょう。私は包丁でウロコ取りをする際は、魚を捌くのとは別の包丁でやるようにしています。
ペットボトルキャップでウロコ取りをしても問題ない魚
イワシ類
中にはペットボトルキャップでも問題ない魚がいます。トゲのような部位がなくヒレも柔らかいタイプの魚たちです。
サビキ釣りをしているとアジなどと混ざってよく釣れるイワシ。厳密にはマイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシの三種類が主なイワシ類として釣れます。
これらはそもそも大きさが小さいこととヒレが柔らかいこともあってペットボトルキャップでウロコ取りをしても怪我をすることはありません。

それどころか指でこすっただけでごそっとウロコが取れるようになっています。ペットボトルでウロコ取りをしてもいいですが、身まで傷つけないよう優しくこすりましょう。
ニジマス
淡水釣りで食べられる魚として人気のあるニジマス。
観光施設の釣り堀などでもお馴染みなので、初心者も処理をする機会が多いと思います。このニジマスもヒレが柔らかいのでペットボトルキャップでウロコ取りをしてOK。イワシと比較すれば皮が強いのでしっかりこすっても身が傷つきません。

釣り堀で釣れるニジマスはもれなく養殖魚。養殖魚の場合、他の魚と擦れてヒレがすり減って溶けているように見えたりしますが、ニジマスはそれが顕著です。ヒレのトゲは全く気にしないでいいでしょう。
そもそもウロコを取る理由ってなに?
そもそもなぜ魚のウロコを取る理由があるのでしょうか?取らないで魚を食べたらどうなる?
最低限の調理道具は揃えておきたい
ペットボトルキャップはウロコ取り器の代用になることはなるけど、怪我をするからおすすめできません。
ご家庭で丸のままの魚を調理する機会は減っているので、なかなか専用の道具を揃える機会もありませんが、安いものでいいのでウロコ取りは買っておいたほうがいいと思います。これからも釣りを続けて魚を食べ続けるのなら。
その他にも釣った魚を調理するにあたって用意しておきたい道具をまとめています。合わせて参考にしていただければと思います。