私が釣りをする一番の目的は「釣れた魚を美味しく食べるため」。それに他なりません。
当初は「とにかく魚を釣りたい」というぼんやりした目的でした。それが1年ほど経ったぐらいから「美味しく食べたい」という目的がだんだん明確に。
普段料理をしない人にとっては包丁を握ること自体に抵抗があるんじゃないでしょうか?ましてや自分で釣ってきた魚を自分で料理するなんて無理無理!私もかつてはそうでした。
そんな風に考えているあなたへ、特に大阪湾岸の地域へ住むあなたへこの記事をお送りします。
自分で釣った魚を自分で料理しよう
料理経験が無くても大丈夫です
私が20年ぶりの釣りを再開して早や10年。
今ではもう「晩御飯の食卓にこのメニューを加える」という明確なイメージを持って釣りに出掛けます。それは例えば「タチウオの刺身」だったり。
例えばアジの南蛮漬けだったり。
今は小魚を中心にだいたいの魚なら捌けるようになりました。魚種ごとの適切な料理方法も頭にはいってます。
しかし最初からそうだったかというと、元々はカレーライスぐらいしか作れない程度の料理スキルでした。学生時代の家庭科からまるで成長してないレベル。
練習材料は山ほど手に入る
だから「包丁もろくに握ったことないんだけど」というあなたでも大丈夫。
美味しく魚を食べたいと言う意思さえあれば必ず出来るようになります。失敗しても大丈夫。例えばサビキ釣りなら練習台になる魚が山ほど釣れます。
自分で釣った魚は自分で料理してこそ釣り人…なんて頭の固いことは言いませんけど、どうせ釣るなら料理できたほうが絶対いい。
世界がちょっとだけ広がる
大げさかもしれませんが料理が出来るようになることで、少なからず自分の世界が広がります。いままで気にも留めなかったスーパーの食品売り場が違って見えてくるはず。とくに魚売場が。
釣った魚を自分で料理するようになれば、知らず知らずのうちに魚の目効き能力もついてきます。少なくとも新鮮さの判定力はかなり高まってくるはずです。活きている最も新鮮な状態を知ってるんだから。
釣った魚の持ち帰り方
クーラーボックスで潮氷を作る
釣った魚を美味しく安全に食べるために必要なのは、とにかく冷やして持ち帰ること。
クーラーボックスには板氷や凍らせたペットボトルなどを入れておき、釣り場についたらそれが浸かるぐらいの海水をいれて「潮氷」を作りましょう。塩分を含んだ海水を入れることで氷点以下の温度を作り出すことができます。小魚であればこの超冷たい水に入れることで即死させる「氷締め」をすることで最高の鮮度保持対策ができます。
具体的は方法をこの記事で解説しています。
大き目の魚であれば血抜きをしておくとより鮮度が保てます。鮮度が落ちやすいサバなんかの青魚であればその場で内臓を抜いてから潮氷に漬けるというのも有効です。
冷やすことで鮮度保持と食中毒予防に
アジサバイワシなどの青魚を生で食べるのであれば寄生虫(アニサキス)による中毒のリスクも少なからず存在します。寄生虫がついてるか否かは水質と関係ありません。なるべく冷やして家に持ち帰り、寄生虫が居る可能性がある内臓だけは出来るだけ早く取り除いておくことで中毒の可能性はぐっと下がります。 青魚は寄生虫の他にヒスタミン中毒のリスクもあります。火を通せば大丈夫だと思ってるかもしれませんが、ヒスタミンは熱で消えません。
また魚の表皮には食中毒の原因菌がついていることがあるので、真水で綺麗に洗うことも重要です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
過度に心配する必要はありませんが、簡単に出来るのであれば予防するに越したことはありません。
大阪湾で釣れた魚って食べても大丈夫なのか?
大阪湾は汚い海
「大阪湾」と聞いて思いつくイメージの一つに「汚い海」というものがあると思います。
大阪湾でも須磨方面や和歌山に近い場所であれば別なんですが、奥まった南港や西宮あたりの海は率直に言って汚く見えることが多いはずです。暑い時期なんて赤茶色に濁ってたりすることもしばしば。赤潮とは違う赤茶色。抹茶色になっていることも。
写真だとちょっと分かり難いかもしれませんがこんな感じ。
これは南芦屋浜から見た初夏の大阪湾です。沖合いにボートが走っていますが、現地で見ればその波しぶきすら濁って汚く見えるという。
その濁りの原因について私も知りたいんですが、未だ確固たる資料が見つけれず。なのでここでそのことについての推測や明言は避けます。赤色の植物プランクトンや藻類が大量発生するせいとも言われていますが「じゃあそのプランクトンが増える原因って何?」って疑問も出てきます。
水質はともかく見た目で汚いか綺麗かと問われれば汚いと言わざるを得ません。残念ながらこれは事実。
何も今に始まったことではない
「海を埋め立てた関西空港や神戸空港ができてから潮の流れが悪くなり赤茶色になった」という人がいますが、大阪湾の赤茶色はそれよりずっと以前から問題視されていたようです。
下のリンク内にある「大阪市周辺の水質汚濁について/2-大阪湾に及ぼす汚水の影響について-」という1958年(昭和33年)に書かれた資料。関空建設が着工されるより30年も前の資料ですが、既に”赤茶色”を問題視する記述が出てきます。
沿岸の埋め立てや人工島が大阪湾の環境になんらかの影響をあたえたのは間違いないですが、なんでもかんでもそれのせいにしちゃいけません。
で「汚い海」で釣った魚は食べても大丈夫?
そんな淀んで濁った海で釣った魚は食べられるのか?どうなのか?有害物質とか含まれてない?お腹痛くならないのか?と、いろいろな不安が出てくると思います。少なくとも私はそうでした。
食べて大丈夫なのかどうかは専門家ではないので残念ながら保証できません。しかし私は食べています。ときには火を通さず生のまま刺身でも食べてます。
そして今まで何百匹と食べてきましたが体調不良をきたしたことはありません。
このことから、健康上の視点かつ個人的な見解で言えば「食べても大丈夫」です。特にサビキで釣れる主な回遊魚、アジ、サバ、イワシはその海の沿岸に居着いているわけではなく文字通り回遊しているので気にしなくていいかなと思います。それと汚い海にすむ魚は寄生虫がいるという認識の人がいるかもしれませんがそれ間違い。寄生虫は汚い海でも綺麗な海でも関係なく魚に寄生します。
有害物質がどうとかより、食中毒予防のためにする釣ったあとの鮮度保持のほうがよっぽど大事。
釣る魚によっては十分に元がとれてお得!
「高級魚が簡単に手に入ることがある」それが釣り
料理が出来ることで「スーパーの食品売り場が違って見えてくる」と書きましたが、特に目が行くようになるのはその価格。自分の釣った魚は果たして市場価値がどれぐらいあるのか気になるはず。
アジサバイワシなんかの青魚は網で大量に獲れるからか、買ったほうが絶対に安くつくのでがっかりすると思います。そういう目で見ないほうがいい。
しかし中には「こんないい値段するの?」という魚も。ガシラやメバルなんかの根魚はそんなにごっそり獲れないので高くなる傾向があります。
そんな中、秋の大阪湾で簡単に釣れて美味しい魚がびっくりする値段で売られていることがあります。詳しくはこちらの記事を参照あれ。
自分で釣ることによって元がとれる高級魚も簡単にゲットできることがあるのが釣りの面白いところ。
このブログの料理関連記事を紹介
このブログで魚料理について書いた記事を紹介します。私にとっての料理スキル成長記録でもあります。
初めての魚レシピ本はこれがオススメ
まずオススメの魚レシピ本から。
いくつか魚レシピ本を読んできましたが、魚の捌き方についての説明はこれが一番分かりやすかった。特にアジサバイワシのレシピが多いのもあり、釣りと料理初心者向けの最初の一冊としてオススメです。
アジの種類や調理方法を知ろう
ファミリーフィッシングと言えばサビキ釣り、サビキ釣りのメインターゲットといえばアジです。アジといっても大阪湾で釣れるアジには主に2種類が存在し、それぞれ味や最適な料理方法が異なります。
そしてそのアジを刺身にする。刺身って大きな魚じゃないとできないと思ってませんか?素人ができるもんじゃないと思ってませんか?アジは小さくても刺し身が美味しいし、調理も意外とカンタンですよ!
その刺身をアレンジしてカルパッチョにも。スパイスとか調味料持ってないし味付けにも自信ない?ええねん。市販品を使えばええねん。油と混ぜてかけるだけや!
一日で食べきれないのであれば干物にしちゃいましょう。塩水に漬けて乾かすだけだ!
嫌われがちな外道も食べてみよう
ターゲットを決めてエサや仕掛けを選んでも見当違いの魚が釣れることがあります。そのような魚を「外道」あるいは「餌取り」と呼びます。
サバはサビキでよく釣れる魚ですがあまり歓迎されません。小さいサイズだと脂が少なく身がパサパサなのがその理由です。そんなサバでもいろいろ食べ方がある。
そのサバは”あたる”魚として知られているけど、その理由や対処方法を知っていればそれほど恐れる必要はありません。
大阪湾でも奥まった汚い海でよく釣れるサッパ。釣ったそばから捨てる人が多い魚だけど、酢漬けにすれば美味い。
サッパとは対照的に比較的水がきれいな須磨より西辺でよく釣れるスズメダイ。これも捨てる人が多いけど初夏や冬は脂がのっていて美味。
刺身は自分好みの味わい方を
釣りたての魚を刺身で食べられるのは釣り人の特権だけど、時間の経過によって味や食感が変わっていきます。それが好きに選べるのもまた釣り人の特権。
魚料理をするために必要な道具は?
包丁は出刃包丁を使ったほうがいい
今や魚は切り身を買ってきて料理するものなのかもしれません。
それはそれでいいと思います。手軽でいいし何も間違ってないです。でも自分で捌いて切り身にしたほうが安上がりなのは確実。手間を惜しまなければ。
捌くにはもちろん包丁が必要です。まずはちゃんと切れる包丁であればいわゆる三徳包丁でもいいと思います。
でもできることなら出刃包丁を使って欲しい。まずは安いものでもいいので。
切れ味もよく身を潰すことなく捌けるからです。それは美味しさにつながる。
左利きは左利き用出刃包丁を
魚を捌くのには出刃包丁が最適だけど、左利きは必ず左利き用の出刃包丁を選びましょう。片側にしか刃がついていない、いわゆる片刃包丁だからというのが理由です。
左利きの人が左手を使って右利き用の包丁を使うのはちょっと無理があります。なぜ知っているのかって?それは私が左利きだからです!
ウロコ落としはペットボトルの蓋で代用できるけど
ちゃんとしたウロコ取りがあるのならそれを使うに越したことはありません。
なければ包丁の先でこそげとることも出来ますし、ペットボトルの蓋で代用することもできます。あまりおすすめしませんが。
刺身で食べるならウロコ落としは避けて通れません。
とにかく包丁大事
まな板はちゃんとしたものがあるに越したことがないですが、普段使っているやつで十分。骨抜きもあればいいですが必須では無いです。
やはりそれなりにちゃんとした包丁を使うことが大事。鋭い切れ味は美味しさにもつながりますし、スパッと切れたほうが余計な力が必要ないので結局ケガの可能性も下がります。
この機会にぜひ出刃包丁の導入を検討してほしいです。そして砥石も使ってシャキーンと鋭い切れ味を保ちましょう。
自分で釣った魚は買うより数倍美味い!
自分で釣り場を選んで道具を用意し、自分で仕掛けを投入して釣り上げた魚。スーパーで買う魚と何が違うんだといわれれば答えに困りますが、まな板にのるまでの過程は全く違います。
どういうわけだか自分で釣った魚のほうが美味く感じる。これは断言できます。買ってきた魚だとあまり食べてくれない子どもも、自分が釣った魚だと美味い美味いとバクバク食べてくれるのがその証拠。
この記事を読んでくれたあなたが釣り人なのかどうかは分かりませんが「食べることが好き」というのであればぜひ釣りに挑戦してほしいと思います。
こだわらなければ釣りも料理も簡単ですよ!