マアジとマルアジの違いは何?見分け方をマスターしよう

サビキ釣りのメインターゲットと言えばアジ。

唐揚げや南蛮漬け、刺身、塩焼き。どう料理しても美味しいのがその理由です。同じくサビキで釣れるイワシやサバより美味しいと思われるのが一般的。私も釣りで釣れる魚の中では一番好きな味。

そんなアジですが、釣りを始めてしばらく経ってからふと気付いたことがありました。

家に帰ってさあ処理するぞとアジを手で掴むと、どうも身が柔らかいアジと身が締まったアジが混在している。「傷んで身が柔らかくなったのかな?」と思いつつ改めて魚を見比べると、身が柔らかいアジと身が締まったアジとでちょっと見た目が違う。

そう、実はサビキで釣れるアジは主にこの2種類存在するのです。

  • マアジ
  • マルアジ

その違い、その見分け方を紹介します。違いを知れば適切な調理方法も分かります。

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混同されがちなマアジとマルアジ

釣果情報では区別無く”アジ”と記載されがち

釣具屋や釣り情報サイトが配信する釣果情報を見ると、マアジとマルアジをひっくるめて”アジ”と表記していることがほとんどです。

これはサビキで釣れる代表的なターゲットであるイワシとサバでも同じことがいえます。日本近海で釣れるイワシは以下3種。

  • カタクチイワシ
  • ウルメイワシ
  • マイワシ

サバは2種。

  • マサバ
  • ゴマサバ

これだけ種類がいるにも関わらず、単に「イワシ」「サバ」とまとめて表記されることが多い。よくよく見ればそれぞれ特徴があるし、旬も異なったりするのに。

マアジとマルアジは体形からついた別名がある

世間一般でアジと呼ばれるアジ。それは「マアジ」のことを指します。

そしてそのマアジは魚屋やスーパーだと「ヒラアジ」として売られていることがあります。輪切りにした断面図で見た場合において、マルアジ(丸アジ)より体高が高く平べったいのでヒラアジ(平アジ)というわけですね。少なくとも関西ではその名前で売られているのを見かけます。

マアジとマルアジは体色からついた別名がある

一方でマアジは「黄アジ」と呼ばれることがあります。「赤アジ」と呼ぶことも。対してマルアジは「青アジ」と呼ばれることが多い。

後述しますがこれらは体の色からつけられた俗称です。

色に関して言うとマアジは大きく2タイプに分別され、回遊型のマアジで背中が黒っぽいものが「黒アジ」、居付き型で黄色っぽいのが「黄アジ」。これらは種類が違うわけではなくてどちらも同じマアジです。同じ種でも生活パターンが違うので見た目が異なってくるというわけです。

人間でも体育会系と文科系では見た目が異なる場合が多いのと同じかもしれません。

体形と体色の分類でまとめるとこうなる

というわけでアジは形と色で呼び名が変わる場合があるということがお分かりいただけたと思います。

平、丸、黄、赤、青、黒…

もう訳分かんないですね。その地方や業界において異なるとは思いますが、自分の認識でまとめると下の図のようになります。

マルアジに比べてマアジの方がいろいろな呼び名で呼ばれて重宝されている感があります。マルアジより愛されている気配が。この理由はのちほど。

マアジの呼び名は他にもある

マアジの中でも、居付き型(瀬付き型)の黄アジは産地名などの呼称がつけられてブランドアジとして売られていたりします。関アジなどが特に有名です。

夏の大阪湾で船や沖提から釣れる黄アジは「メクリアジ」と呼ばれ珍重されています。脂がのりまくっていて手で簡単に皮がめくれるから”メクリアジ”と呼ばれる説も。

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どこの地方でも幻のアジとか黄金のアジとか上手いこと付加価値つけて売ってるなと思います。

ついでに書いておきますと、40センチを超える大型のマアジは大阪湾などで「鬼アジ」と呼ばれることがあります。鬼のようにでかいということでしょうか。これは船釣りのターゲット。

そしてややこしいことに標準和名が「オニアジ」という、マアジとは別種のアジも存在します。レアな魚ですが、一度だけ波止から釣り上げたことがあるので写真を載せておきます。

神戸で釣れたオニアジ

神戸で釣れたオニアジ

側面にゼイゴがあるのはアジっぽいのですが、カツオのような雰囲気も混じっている不思議な魚でした。同じくカツオのように身が赤っぽく見た目はイマイチなのですが味自体は悪くありませんでした。一般的なアジと比べてゼイゴがのこぎりのように強力で皮下にまで食い込んでいます。これが鬼アジと呼ばれるゆえんなのかも。

マアジとマルアジはここで見分ける

一見すると同じ魚にしか見えないマアジとマルアジ。

注意して魚体を見ると簡単に区別をすることが出来ます。釣り場で新鮮なうちに見分けるのに適した方法、そして持ち帰って調理するときに台所で見分けるのに適した方法などがあります。

尾びれの付け根にある小さなヒレ「しょうりき」を探そう

サビキでアジが釣れた!これはマアジかマルアジどっちだろう?という、生きたアジを見分けるタイミングがあるでしょう。その際に確実に目視で区別する方法があります。

尾びれの付け根あたりに注目してください。

10センチ程度の豆アジだと小さくて分かり難いかもしれませんが、飛行機の垂直尾翼のような、イカのエンペラのような、はたまたペットボトルロケットの羽のような、小さな小さなヒレが尾びれの直前に1対(上下一枚ずつ)見えるかもしれません。この小さなヒレは「小離鰭(しょうりき)」と呼ばれるヒレです。

この小さなヒレ、小離鰭があるということは…そのアジはマルアジです。

イラストにして位置や形状を表すとこんな感じになります。

こちらは実際に釣ったマルアジ。これは30センチほどのマルアジなのではっきり見えますが、豆アジだとちょっと分かりにくいかもしれません。

マルアジの小離鰭

マルアジの小離鰭

上のマルアジと同じぐらいのサイズのマアジがこちら。

マアジには小離鰭がない

マアジには小離鰭がない

小離鰭がないので、マアジだと断定できます。

小離鰭はサバやマグロ、カツオなどの青魚によく見られる特徴的なヒレ。サバやマグロは上下に何対もあってノコギリの刃のように見えるヒレです。

参考までにこれはサバの小離鰭。

ノコギリの刃のようなサバの小離鰭

ノコギリの刃のようなサバの小離鰭

下側の小離鰭しか見えませんが、実際には下の小離鰭と対になるように上側にも並んでいます。

鮮度が落ちるとヒレがだんだん傷んでバサバサになってきますので、釣りたての状態が最もはっきり見えるはず。豆アジだと僅か数ミリの小さなヒレなので初見だと分かりにくいかもしれませんが、これがマアジとマルアジを見分けるもっとも簡単で確実な方法です。

身の色や質感で見分けよう

マアジは白っぽく締まった弾力のある身ですが、マルアジはやや黒ずんでいて水分が多く柔らかい身という傾向があります。両方のアジを同時に処理する機会があれば明確に違いが分かると思います。

では実際の写真を見てみましょう。

こちらは10センチぐらいのマアジとマルアジを三枚におろした半身です。

上がマアジで下がマルアジ。

白っぽいマアジに対してマルアジの身は黒っぽく見えるのが分かると思います。これは身が傷んでるというわけではなく血合いの色や大きさが要因になっている黒っぽさです。

さらに指で押してみると弾力のあるマアジに対してマルアジは柔らかく感じるはずです。マルアジは水っぽくてグズグズになりやすい。

冒頭にも書きましたが、当初の私はマアジとマルアジについて体形や色に違いがあるとは知っていたものの身の質にこれほど違いがあるとは知らず。単に鮮度が落ちたから黒ずんで柔らかいのだと思い込んでいました。

体の色で見分けられるのか?

先ほど体の色が黄色いのが黄アジことマアジ、青いのが青アジことマアジと書きました。どの部分の色かというと主に背中の色です。

「じゃあ釣り上げたアジで背中が黄色かったらマアジやな!」と即座に判断できるかというと必ずしもそうじゃありません。マルアジであっても釣りたてで活きのいい状態なら背中が黄色っぽかったりします。

これは釣り上げた直後、生きている状態のマルアジ。体長10センチぐらいでしょうか。

尾びれ付近に小離鰭があるのでこれははっきりマルアジだと判別できます。この写真をみて「背中は何色?」と問われたならば、普通は黄金色とか黄色っぽいと判断しますよね?なんでこれを青アジって呼ぶのか疑問に思うぐらい青い要素がありません。

傾向としてマルアジはマアジより青っぽいことが多いのは確かですが、個体差なのか季節によるものなのか、はっきり青いと感じることは少ないです。私の経験として。

次にこの写真をみてマアジがマルアジか判断してみてください。

これは夕方に釣り上げて下処理をしてから一晩経ったアジです。釣れ始めの時期なので5センチぐらいの豆アジサイズ。このアジの背中は青や緑に見えると思います。じゃあマルアジやな!と思いきやすべてマアジです。

せっかくなので同じサイズの両者を並べて見比べてみましょう。こちらは釣り上げて半日経ったマアジとマルアジを並べたところ。

上がマアジで下がマルアジ。

光源や角度にもよると思いますが、明確に色の差があるかと聞かれたら「いや、どうだろう?」ってレベルです。じっくり見比べるならまだしも、あたふたしながら釣り場で見分けるのは難しい。なので体の色による判断は当てにしないほうがいいかも。

何十匹も釣っていると、ぱっと見た感じの雰囲気で判断がつくようにはなるんですけど。

ゼイゴの形状でも見分けられるけど…

色と同じく、マアジとマルアジの見分け方として有名なのが「ゼイゴのカーブで見分ける」という方法。マアジのほうがゼイゴのカーブがきつかったりカーブが体の前方にあったりします。

先ほどの比較写真をもう1回貼ります。上がマアジで下がマルアジ。

いずれも尾びれからまっすぐ伸びるゼイゴが体の中間付近でカーブを描いているのが分かります。

マルアジはカーブの位置が尾びれ寄りですね。一方のマアジはカーブの位置が体の中心付近です。カーブの角度もやや急な感じ。腹びれの先がカーブの始点に接近しているか否かで見分けることもできます。

このようにマアジとマルアジを並べて比較すればゼイゴの形状に差があることがはっきり分かります。でもどちらか片方だけ見て判別しろと言われたらある程度の経験が無いと難しい。やっぱり小離鰭があるかないかの違いを確認するのが確実で簡単だといえます。

釣れる時間帯やタナが異なることも

夏の時期の日中、炎天下の下でもアジが釣れ続けることがありますが、そのアジはたいがいマルアジです。マアジは朝夕まずめ、つまり日の出日の入りの時間帯に集中してよく釣れる傾向があります。

釣れるタナも違っていて、表層から中層付近はマルアジ、底層付近でマアジが掛かる傾向が多いです。なのでマアジを釣りたいなら海面近くに居るマルアジをかわして仕掛けを沈める必要があり、重めのドンブリカゴを使って早く沈めるとか、大きな針を使って小さなサイズは掛からないようにするなどの工夫が有効。

また、サイズでいえばマルアジの方が大きくなる傾向があります。波止から30センチを超えるような大きいアジが釣れて喜んだのもつかの間、どちらかというと残念なマルアジだったりします。

この傾向は季節や釣り場によって異なる場合があるので、あくまで一例としてとらえてください。

マアジとマルアジ その食味の違い

そもそもなぜマアジとマルアジを見分ける必要があるのかと言いますと、身の質が異なるからです。それによって味や適切な調理方法も変わってきます。どうせならちゃんと把握して出来るだけ美味しく食べたいですよね。

小アジに限定するならマアジの勝利

味覚は人それぞれと理解しつつ、あえて私の主観で言わせてもらいます。

5センチぐらいの豆アジから20センチぐらいまでの小アジに限っていうなら、マアジのほうが確実に美味しいです。

身の質がまるで違っていて、マルアジは水分が多くてグズグズな身なのに対してマアジは身が締まっていて弾力があります。この身の締まりは調理のし易さにも関係してきます。例えば三枚におろすというのであればマルアジは身が柔らかすぎて皮を剥ぐ頃にはボロボロになっているのに対し、マアジならしっかり身が残っていて皮を剥ぐ時も「ジャキッ!」という音と共に気持ちよく綺麗に剥けます。

見た目にも黒っぽい身のマルアジに対して白っぽいマアジの身のほうが美味しそうに見えます。そして実際に味もいい。例えば刺身で食べるとしたらマアジのほうが歯ごたえも旨みも勝っています。小アジの段階で素材そのものを味わうのであれば完全に「マアジ>マルアジ」の構図。

と言いますか、サビキで釣れるアジサバイワシの青魚御三家において、マアジだけが小型でも例外的にしっかり締まった身をもっています。またマアジの旬は春から夏といわれていますが、それ以外の季節でもサイズを問わず一年中安定して美味しい。

小アジの刺身については詳しくまとめております。

こちらは17センチ程度の小さなマアジを刺し身にしたもの。盛り付け難しい…でも美味い!

季節や調理方法によってはマルアジにも軍配が

ではマルアジはどうやってもマアジに劣るのかといえば必ずしもそうではなく。

魚には旬があり、季節やサイズが違えば身の質も変わってきます。残念ながら私は口にしたことがないのですが、旬のマルアジ、つまり夏場のまともなサイズのマルアジであれば脂がのっていて刺身でも大変美味しいそうです。

夏ではなく秋の入り口とも言える時期に私も30センチサイズのマルアジを釣って刺身で食べたことがあります。これは十分に美味しいといえるものでした。旬を過ぎたせいか脂はあまりのっていなかったのですが、歯ごたえと旨みがしっかりありました。

マルアジは加工食品として利用されることが多い

マルアジは干物に加工されることが多く、身の水分が多いマルアジも干すことで旨みが凝縮されるのかと思われます。なるほどマルアジの特徴を活かす利にかなった調理方法です。 小型または旬でないマルアジは塩や酢で締めたり、漬けにするなど何らかの加工する調理が向いてるんじゃないでしょうか。

しかし丸ごと唐揚げにしちゃうとそれほど差は感じないです。ゆえに南蛮漬けにするならどっちでもいいと思います。

違いを知れば美味しく食べられる

誤解しないでいただきたいのですが、「マアジに比べてマルアジは不味いよ~価値がないよ~」と言いたいがためにこの記事を書いたわけではありません。

ほとんどの魚にいえることですが、その魚によって食べるのに適した時期があり、より美味しく食べるための調理方法があります。 一般的に不味いと思われている魚でも、適切な時期と調理方法を知った上で食べれば美味しいことがあります。これまでにいくつかそんな記事を書いてきました。

例えばスズメダイ。

基本は嫌われ者のサッパも。

そして小サバ…はあまり美味しくないけど無理矢理食べてる感が無きにしも。

ショアジギングの定番外道であるエソも。

もしマアジもマルアジも同じ種類のアジという魚だと認識している人がいたとして、小さなマルアジを食べたとします。その結果「小さいアジってあんまり美味しくないんだな」という固定観念を持ってしまうとしたら非常に残念だと思うのです。同じ小アジでもマアジなら刺身にしようが揚げようがどうやったって美味しいのに。

また世間的な味の評価としても「マアジ>マルアジ」の図式で語られていることが多い。しかしサイズや時期によっては必ずしもそうじゃないんだよということも言いたい。そのために、マアジとマルアジの違いを知ってもらうために、この記事を書きました。

今度小アジが釣れたらそれがマアジがマルアジかよく観察してみてください。マアジなら小さくとも持って帰って食べてみましょう。可能なら頑張っていちど刺身にして。味は保証します!

小マルアジは…リリースしてもいいんじゃないかな…。大きくなって、そして美味しくなって帰っておいで!できれば30センチぐらいになってね!