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炙れば旨味の大洪水!アジの酢締めレシピ

初心者向け魚料理特集魚種別の魚料理

お酢は好きですか?

私は大好きです。正直言って子供の頃は苦手でしたが、おっさんに近づくにつれて酢を使った料理の美味さが分かるようになってきました。あの酸味と旨味が体中に染み渡るような感覚が好きです。なんとなく「酢は体に良さそう」ってのも不健康なおっさんにとっては高ポイントですね。お酒との相性も抜群。

和洋中あらゆる料理に使われる酢ですが、とりわけ魚とは相性がいい調味料といえます。

酢を使った魚料理といえばまず最初に「締めサバ」を思い浮かべるでしょう。確かに締めサバは美味い。あれは美味い。神様が作ったんじゃないかというぐらい美味い。マジ美味い。

締めサバは「酢締め」という調理方法の一種。魚料理としてはサバ以外でも定番の調理方法で、他にもいろいろな魚で酢締めができます。とりわけ、酢に負けない旨味の強い魚と相性がいい。サバをはじめとした青魚はベストマッチ。青魚は釣りの対象魚としてもポピュラーですね。

そんな青魚の中から、定番のサバではなくアジで酢締めを作ってみたいと思います。

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魚料理における酢の効果

魚料理と酢は相性がいいと書きましたが、それには確固たる理由があります。魚料理ににおける酢の効果をあげてみましょう。

  • 魚の臭みをとる
  • 魚のぬめりをとる
  • 魚の身を締める
  • 魚の殺菌をする
  • 魚の保存期間を伸ばす

臭みがあったり日持ちがしないといった魚のデメリットを解消してくれる調味料、それが酢です。

魚の臭みをとる

魚が魚臭い理由の一つとして大きな要因が、魚の表皮のぬめり。

酢はこのぬめりを凝固させる効果があります。その効果たるや絶大で、ぬめりのある魚の代表格であるアナゴも、酢の力をもってすれば普通の包丁とまな板で目打ちなしにさばけるようになります。

魚の身を締める

酢自体にも身を締める効果がありますが、酢締めは酢で締める前に塩をふりかけて塩締めをする工程があるので、より強く身を締める調理方法といえます。締めて身の水分を抜くことで、身の旨味が凝縮される効果も。また、身がしまった魚は包丁での調理がしやすくなります。

殺菌をして長持ちさせる

酢が持つ殺菌効果で、魚の表皮にいる雑菌を殺菌することができます。これによって魚の保存期間を伸ばすことができます。

もっとも今回紹介するアジの酢締めは、軽く酢締めしたのちに生の食感を生かしたまま食べるので、あまり保存は想定していないのですが。

このように、酢は魚料理に対して非常に相性がいい調味料であることがお分かりいただけたかと思います。

では実際にアジの酢締めを作っていきましょう。

 酢締めにするアジの選び方

なるべく新鮮な中アジ以上を

小さな豆アジでも酢締めにできないことはないですが、せめて15センチぐらいはあった方が食べ甲斐があっていいでしょう。

釣り界隈では、小アジや中アジと呼ばれるサイズです。大阪湾だと秋にはそのサイズのアジが釣れますね。マアジ(ヒラアジ)とマルアジ、どちらでもいけますが、マアジの方が季節を問わず安定して美味しいと思います。

もちろん中アジじゃなくて、30センチを超えるような尺アジ、大アジでも美味しくいただけます。大きいほうが美味しいと思います。

生の食感を生かしたまま酢締めにするので、お店で買う場合はなるべく鮮度がいいものを選びましょう。鮮度の見極め方ですが、よく言わる目やエラではなく私はアジのお腹の銀色の部分をみて判断します。そこが綺麗な虹色の反射を保っていてなおかつ張りがあり、肛門から内容物が出ていなければ新鮮と判断。

パール色のお腹

上の写真は釣りたてなんでお腹がピッカピカ。ピンク、ブルー、シルバーの輝きが眩しい。ルアーで虹色のカラーが施されたものがありますが、これをイミテートしてるんでしょうね。

鮮度が落ちたアジのお腹は輝きが鈍り形が崩れてブヨブヨ、肛門からは血やドリップが滲み出て赤い汁がしたたっているはず。そういうのは、生で食べるのを避けたほうが無難でしょう。

実際に生きたアジを見慣れた釣り人なら、見た目の雰囲気で容易に鮮度が判断できると思います。

必要な調味料と調理道具

酢締めを作るにあたって特別な調味料や道具は必要ありません。どれも普通のご家庭にあるものだと思います。ただし、バーナーがあると美味しさが倍増します!

必要な調味料

調味料はこのふたつだけ。あなたのご家庭にも常備されているはず。

  • 酢(穀物酢か米酢)

酢はいろいろな原材料のものがありますが、ここで使う酢はスタンダードな穀物酢です。

必要な調理道具

必要な道具も基本的なものだけ。
  • 包丁
  • まな板
  • 骨抜き
  • バットやボウル
  • キッチンペーパー

これらに加えてあったらいい道具がこれ。

  • バーナー

いや、バーナーは釣った魚を食べる目的で釣りをするなら必須にしてほしいぐらいの神アイテムです。そんなに高いもんじゃなし買っちゃえ!買うべき!買おう!

バーナーを使う理由は後ほど。では調理を開始しましょう。

アジの酢締めの作り方

アジを3枚におろして下処理をする

まずは基本に従ってアジを3枚におろします。

以後、この記事に出てくるアジの写真はマルアジです。血合いの色が濃いことで分かるかもしれません。ほんとうはマアジが良かったんですが、あいにくマルアジしか無かったので。でもマルアジでも十分美味しいですよ。

見分け方はこちらをご参考に。

まずはさっと水洗いをしましょう。これによってぬめりやくさみを取るとともに、食中毒対策にもなります。

酢締めにして皮ごと味わいたい場合はこの時点でゼイゴを取っておきます。

尾びれにあるゼイゴの終端の下に刃を入れ、刃先をやや上に向けるぐらいの加減でキコキコと刃を進めればきれいに取り除くことができます。

あとで皮を剥ぐのなら皮ごと取り除ける部位です。なので皮をつけたまま炙るなどするならゼイゴは取らなくていいですよ。

ゼイゴをとる

この時点で腹骨(肋骨)もすき取っておいたほうがラクですが、酢締めしたあとでも構いません。

腹骨をすきとる

また、背骨から皮へ平行に伸びる血合い骨も残っていますが、15センチ程度のアジならほとんど気にならないのでそのままでいいと思います。20センチ以上だと骨が太くて口にあたるので必ず抜きましょう。これも酢締めしたあとの方が身がしまって抜きやすくなります。

塩を振って締める

酢締めをする前に軽く塩締めをしていきます。

おろした身は皮目を下にして並べましょう。ザルやバットの上におろした身を並べての身側に塩をパラパラ。ふりかける分量は表面にうっすら塩の粒が見える程度で。

表面にうっすら塩を振る

ここで塩を振ることによって身の水分が抜けます。同時に臭みも抜けていきます。塩を振って置いておく時間は30分程度で十分。水分がしたたり落ちるまで念入りにやらなくても、表面にうっすら汗をかいたように水分が浮いていればOKです。

酢漬けにする前に、これらの水分と塩は洗い流す必要があります。

一般的には流水で洗い流すということになっていますが、私は少量の酢で洗い流します。流水だとなんとなく旨味が流れちゃいそうでもったいない感が。

酢を注ぐならそのまま酢漬けにすればいいのでは?と思いますが、身に浮いた水分は臭みのもとなので、水分と塩分を洗った酢はそのまま捨ててしまったほうがいいでしょう。

酢に漬けて締める

いよいよ酢で締める工程にはいります。酢締めが酢締めになるための重要な工程です。

とはいっても、作業としては身を酢にひたすだけ。それだけ。ひたす時間も軽く20分ぐらいでかまいません。今回作るアジの酢締めは生の風味を生かしたいので、表面がうっすら酢で白くなる程度の時間でオッケーです。この辺りは好みで調整してください。

バットなどに身をならべて酢を注ぎます。

ひたひたに身が浸かるぐらい注ぎたいものですが、もったいないので私は半身ずつ浸して途中で裏返してます。

身側10分、皮側10分。上の写真で身が白くなっていることでお分かりいただけると思いますが、この僅かな漬け時間でもちゃんと酢が身に浸透します。

皮を剥ぐ

5分から10分たったら、酢から取り出して水分を取り除きます。

キッチンペーパーにくるんで、軽く抑えるだけで水分がとれます。キッチンペーパーから身を取り出すと、塩や酢に漬ける前と手に持った感触がかなり違っているのが分かるはずです。身がしまった証拠。

バーナーがない場合はここで皮を剥いだほうがいいでしょう。本来は皮も美味しいのですが、そのままだとちょっと硬くて食べにくいと思います。このあたりはお好みで。

皮を剥ぐ場合、頭側の背びれがある側から引っ張っていくときれいにはぐことができます。

皮の下にある銀色の層がなるべく残るよう、ゆっくり丁寧に剥いでいきます。こんな風に銀色が残れば合格。

あとは食べやすい大きさに切っていくだけで完成です。

しかし!バーナーをお持ちなら、皮を剥ぐ工程をすっ飛ばして次の工程へ!

バーナーがあるなら皮を剥がずに炙れ!

みんな、丸太バーナーは持ったな!!行くぞォ!!

というわけで、熱に耐えられるなんらかの受け皿の上に、皮を上にしたアジの身をおいてください。そしてバーナーを点火。おもむろにアジの皮を炙っていきましょう!

ボボボボボーッ!

パチパチという音とともに皮が焼けていき、同時に食欲をそそる香ばしい匂いが立ち込めていきます。たまりませんね。

皮目に気泡が浮いてきて、うっすら焼け目が付く程度でOKです。炙りの場合、このあと氷水で冷やす工程を入れる場合がありますが、私は旨味が流れそうなのでそのままです。お好みでどうぞ。

ちなみに切り分ける前に炙ると、皮が脆くなって切りにくいので、予め切り分けてから炙るのもおすすめです。

このように炙る工程を入れることで、アジの酢締めの旨味が足し算ではなく掛け算式で増えていきます。酢の旨味、焼けた皮の旨味、焼けた脂の旨味、そしてアジ本来の旨味。それらが三位一体、いや四位一体、醤油をつけて食べれば五位一体で口の中に押し寄せます。そう、これが旨味の洪水や!

シンプルな酢締めも美味しいですが、皮を炙ることで違う世界の扉が開きます!

食べやすい大きさに切り分ける

もう言いたいことは書きました。

つまりバーナーがあるなら炙れということです。酢締めが美味しいのはもちろん、炙ったらもっと美味いということを言いたかったのですよ、私は。

炙るにしろ炙らないにしろ、調理が終わった身は食べやすい大きさに切り分けて盛り付けましょう。美しく切って美しく盛り付けるにこしたことはありませんが、ご家庭で食べるなら適当で構いません。

まずは皮を剥いだノーマルバージョン。

みずみずしさ、シズル感があふれていますね。もちろんこれでも十分美味しい。

そして炙ったバージョン。

どうですか?そそりませんか?この焼き目。熱も酢もあまり通っていないからレアな身。あえて多くは語りません。旨味が強いのでそれに負けないワサビ醤油でお召し上がりください。

さあみんなもじゃんじゃん釣って酢で締めよう!そして炙ろう!

なお今回紹介した工程はサバの酢締めでも有効です。サバを浅く酢締めして炙ったヤツも最高です!25センチ以上のサバが釣れたらぜひお試しください。

酢締めはいいぞ!炙りもいいぞ!いろんな魚で試そう!

酢締めはあらゆる魚で有効な調理方法です。

アジやサバはもちろん、青魚全般と相性バツグン。サビキで釣れるような魚はだいたい酢締めにして美味です。

サバ以外で代表的な酢締めといえばサッパですね。いわゆる岡山名物のママカリ。

外道として雑に扱われがちなサッパですが、梅雨ぐらいの時期には非常に脂乗りがいい個体が釣れることがあり、その酢締めたるやサバの酢締めを凌駕することすらあります。私はサバの酢締めで脂が乗った皮の部分が大好きなのですが、あの部分をずっと食べられる感じ。

もちろん青魚以外にも酢締めは有効です。そもそも酢締めに不向きな魚っていないんじゃないかというぐらい。小鯛の酢締めも美味しいですよね。

釣りをして魚を食べるようになると、刺し身というものがとても身近で手軽な存在になります。でも食べ続けていれば飽きるときも。そんなときはこの記事を思い出して、半身だけでも酢締めにしてみましょう。いつもの魚でも違った味わいをみせてくれるはずです。

そしてバーナーも買おう!ほんとにほんとに。損はさせないから!