祝アニメ化!放課後ていぼう日誌に登場する釣りを釣り人が解説

スポンサーリンク

小坂泰之先生の「放課後ていぼう日誌」がアニメ化されます。放送開始は2020年の4月。

今までほとんど釣りなんてしてこなかったけど、この漫画やアニメがきっかけで釣りに興味を持ち始めた人も多いんじゃないかと思います。もしかしてあなたもそうじゃないですか?ほんと楽しそうに釣りをしてますもんね、ていぼう部の4人。

漫画の中でもわかりやすく説明はされてはいますが、いざ同じようにしようとなると釣りはちょっとハードルが高いかもしれません。具体的にどんな道具を選んだらいいのか、どんな釣り場にいつ行けばいいのか、経験者がいないとなかなか分からないことが多いはず。

そこで日ごろから釣りをしている私が、放課後ていぼう日誌に登場したそれぞれの釣りについて解説していきたいと思います。これをきっかけに釣り場へ足を運んでみませんか?

放課後ていぼう日誌の釣りはどんなタイプの釣り?

2019年12月現在、5巻まで単行本が出ている放課後ていぼう日誌。

いよいよ2020年の4月からアニメ化ということで期待が高まります。

実はこの10年ほど釣りをする人の数がどんどん減り続けています。一時期のバス釣りブームが落ち着いたという要因が大きいとは思うのですが、釣り業界は縮小傾向。

しかし、この作品をきっかけに再び釣りが盛り上がり、釣りに興味を持つ人が増えてほしいと思っています。そして水産物や自然、環境問題にも関心をもってもらえたらなと。

おっさんの趣味というイメージが強いかもしれませんが、釣りは老若男女ができる間口の広い趣味です。

大まかにはファミリーフィッシング

ところで、ていぼう部がやっている釣りってどんな釣りでしょうか?大雑把にカテゴリ分けすることができます。まずはそこから説明していきます。

現在の釣りは、昔に比べてカテゴリ分けが細かく複雑になっています。

同じ魚を狙うにしてもエサで狙うかルアーで狙うかの選択があったりして、狙い方それぞれがひとつのカテゴリとして成立しています。例えばアジなんて魚は、サビキ仕掛けというエサ釣りの仕掛けで簡単に釣ることができます。しかし一方でアジをルアーで釣るという「アジング」という釣り方があり、その釣り専用の竿として「アジングロッド」というものが売られていたり。

また、釣りをする場所によってカテゴリ分けされる側面もあり、堤防釣り(波止釣り)、磯釣り、渓流釣りなど様々な呼び名があります。

道具やテクニックによるカテゴリ分けもあり、フカセ釣り、投げ釣り、落とし込み釣りなど、数え始めればきりがありません。

では放課後ていぼう日誌でていぼう部がやっている釣りってなんだろう?

それをあえてカテゴリ分けするならば「ファミリーフィッシング」という位置づけにしていいかもしれません。堤防を主なフィールドにしているので、堤防釣りと呼んでもいいのですが、それを超えていろいろな場所で釣りをしているのでファミリーフィッシングのほうがしっくりきます。

とはいえ、おそらく「どんな釣りでもやる」というコンセプトがあると思われるので、カテゴリ分けをすること自体が野暮かもしれませんね。

「手軽で美味しい」釣り

ファミリーフィッシングは特定の釣り方を指す言葉というより、「初心者でも手軽にできる釣りを総称したもの」という表現が適切かと思います。誰でも手軽にできて、かつ釣れた魚は食べられるものばかり。いわゆるキャッチ&イートってやつ。

放課後ていぼう日誌のエピソードでも、最後は「釣った人が責任を持って調理し食べる」というシーンで終わるものが多いですよね。個人的にあのていぼう部のポリシーには共感できます。

釣ったら自分で手を下して食べる

それに加えて、ファミリーフィッシングはひとつのジャンルにこだわらずいろいろな釣りを楽しもうという側面もあります。

釣りって一つの魚種を狙うにも本当にいろいろな釣り方があって間口の広いものなんです。そして今もなお新しい釣り方がどんどん開発されています。人類が釣りを初めてもう何千年も経つというのに!

これから釣りを始めるにはぴったり

その名の通り、家族誰でも、子どもからお年寄りまでみんな楽しめるのがファミリーフィッシング。

荒波が打ちつける磯。激しい波に揺られる船。釣りに対してそんなハードなイメージがあるかもしれません。しかしファミリーフィッシングは安全で手軽な釣り。初心者にも最適です。

だから放課後ていぼう日誌はこれから釣りを始めようとする人に最適な入門書ともいえます。堤防はあなたを待っているぞ!釣りは楽しいぞ!魚は美味しいぞ!

堤防はあなたを待っている

それでは単行本の巻ごとに、エピーソード内で登場した釣りを解説していきます。気になる釣りがあったらチャレンジを!

放課後ていぼう日誌「1巻」の釣りを解説

まずは1巻から。

田舎の港町に引っ越してきた陽渚がていぼう部から様々な洗礼を受けつつ、だんだんと釣りに興味をもっていく過程が描かれています。

れぽーと01「疑似餌を使ったタコ釣り」

偶然堤防で出会った黒岩部長に、陽渚ちゃんが半ばだまされるようにタコを釣り上げるエピソード。

タコって海底に仕掛けた蛸壺でとるイメージがあるかもしれませんが、実は堤防から釣りで簡単に狙えるターゲットなんです。都会の海にも当たり前に生息しています。

黒岩部長が使っていたのは、エサがついた針ではなくタコジグなどと呼ばれる疑似餌。ゴム製のヒラヒラした飾りがついた、タコ専用のルアーみたいなもの。

タコみたいな形をしてますね。一見ふざけて適当に作られたようにも見えるこんな疑似餌で釣れるんですよ、タコって。魚介類の中では頭がいいほうなのに。

堤防の壁や隙間などすぐ真下にいることも多いので、部長のように竿を使わず手釣りをすることもできます。

最近はタコエギなどと呼ばれるエビを模したルアーでタコを狙うことを「オクトパッシング」と呼んだりして人気の釣りになっています。

タコは海底や壁などに張り付いてなかなかはがれないことがあるので、強い竿や太い糸を使うのが一般的です。タコ専用の竿なんてのも当たり前に存在します。

れぽーと12で陽渚ちゃんがよく分からないままアジ釣りに持っていってしまった硬い竿もタコ用の竿でしたね。堤防では暑い時期に盛んになる釣りなので、タコ釣りは夏の風物詩というイメージです。

れぽーと03「アジゴのサビキ釣り」

陽渚ちゃんが釣りの楽しさを理解して、ていぼう部への入部を決断をするエピソード。

サビキでアジゴ、つまり小さなアジを釣るのですが、ここで使わているのがサビキという仕掛けです。ゴムやカワハギの魚皮などで作られた疑似餌が複数の針に付けられた仕掛けです。

疑似餌は小さなエビやシラスを模したもの。これを撒き餌の煙幕の中に落とし込んで、一度にたくさんの小魚をまとめて釣ることができます。

撒き餌はアミエビと呼ばれるごく小さなエビ。漫画の中では夏海ちゃんが手で直接混ぜてますが、本当に臭くてなかなかにおいが取れないので普通はそんなことしません。通称「レンガ」と呼ばれるアミエビを凍らせたものを溶かして使うのが定番ですが、最近ではチューブ入りで手が汚れないものもいろいろと発売されています。これなんてフルーツの匂いがしますからね。

初心者向けの釣りとして海釣りでは大定番の釣りで、タイミングさえあればめちゃくちゃ簡単に魚が釣れます。しかもたくさん。鯉のぼりのように。

初夏 サビキで鈴なりにつれたアジ

アジを始めとしてサバやイワシなど何らかの魚が高い確率で釣れるので、初めてやる釣りとしては大変オススメ。

ていぼう部が釣ったような10センチ未満の小さな豆アジは全国的に初夏のターゲット。内臓とエラだけぶりゅっと取って、あとは小麦粉や片栗粉をまぶして丸揚げにすると頭ごと食べられてめちゃ美味いおつまみやおかずになります。

もちろん漫画の中で陽渚ちゃんのお母さんが作ってくれたように南蛮漬けにするのも最高です。

れぽーと06-07「ソフトルアーを使ったマゴチ釣り」

マゴチって釣りをしない人には全然馴染みのない魚ですよね。普通に食卓に上がることもないし、外食で積極的に食べるという魚でもないでしょう。でもフグに匹敵するぐらい上品な旨味がある白身の魚です。

ていぼう部はこの魚をルアーで狙います。

ルアーフィッシング業界では、マゴチやヒラメなど海の底にいて平べったい魚を「フラットフィッシュ」と呼びます。そのフラットフィッシュをサーフからソフトルアーをキャストして狙うわけです。

あっ、すいません。

ルアー業界ではあらゆる言葉を英語もどき、言い換えればルー大柴語に変換します。要は平べったい魚を砂浜から柔らかいルアーを投げて狙うということです。私も最初は違和感がありましたが慣れましたし、そのほうが結局うまく伝わるというのも理解しました。いやほんとに。

こういった、ジグヘッドという針がついたオモリのようなものに、ゴム製のソフトルアーを取り付けます。

ソフトルアーというのはこういうゴム製のイモムシみたいなやつ。いわゆるワームってやつ。めちゃくちゃ沢山のカラーバリエーションがあります。

こんなオモチャみたいなものの組み合わせで魚が釣れるのか?と思うかもしれませんが、釣れるんですよね。ルアーフィッシングの進化は目覚ましいです。

放課後ていぼう日誌「2巻」の釣りを解説

顧問の先生が登場する2巻。

ゆるキャン△の「グビ姉」こと鳥羽先生的な酒乱キャラによって、お話の幅が広がります。釣り以外にも潮干狩りや釣り用ウェア選びなどのエピソードが収録されています。

れぽーと12「アジゴのサビキ釣り」

以前大漁だったことに気を良くして「適当にやっても釣れる」と挑んだサビキ釣りですが、針が大きすぎたり、竿が合わなかったりしたことでうまく行かなかったというエピソード。

これ、小魚を狙うシチュエーションとしてめっちゃリアルです。小さな魚を釣るには針のサイズってすごく大事。

れぽーと13「穴釣り」

九州地方でいうところのガラカブ、あるいはアラカブ。関西ではガシラ、正式名はカサゴ。

これは堤防で釣れた20センチ強のカサゴ

個人的には堤防の癒し系。よく見ればとても愛嬌のある顔つきをしていて、ウルトラ怪獣ガラモンのモデルになったことでも知られています。

堤防ではなにかとよく釣れるので釣り人にはおなじみの魚なんですが、一般的にはあまり知名度がある魚とはいえないでしょう。海底の岩やテトラポッドなどの隙間に隠れているので、アジやサバみたいに網でガサーっと獲れる魚でもありません。だからあまり安く売られていないのです。だからといって高級魚とも言えませんが、この魚が手軽に手に入るのは釣り人の特権といえます。

堤防だとコンクリートの継ぎ目とかテトラポッドの隙間とかに潜んでいるので、作品中と同じようなブラクリ仕掛けで狙うこともありますし、胴突き仕掛けという針がたくさんついた仕掛けでも狙うことができます。

白身の魚なので、刺し身にしても煮付けにしても本当に美味しい魚です。

アラカブの刺身を肝あえで

とてもいい出汁が出るので、丸ごと煮込んで味噌汁の出汁と具にするのも最高です。背中から切れ目をいれて丸ごと唐揚げにするのもたまりません!

と、ここで少し頭の片隅に置いておいてほしいことがあります。カサゴをはじめとする根魚と呼ばれる魚たちは成長が遅い魚とされています。20センチ程度になるまで何年もかかったり。

そのため、資源保護の観点からたとえば15センチ以下のサイズが小さいものや産卵が近いと思われる個体はなるべくリリースするというのが釣り人の間では暗黙のルールとなっています。実は上にのせた写真のカサゴのうち一匹は卵をもった個体でした。針を飲んで弱らせてしまったのでやむなく持ち帰りましたが、本来このようにお腹がパンパンになって卵が漏れ出てくるような個体はリリースすることが望まれます。

放課後ていぼう日誌でも3巻のアオサギが出てくる回でこのことに触れられています。ただ、魚のリリースに関しては個人の自由だとも思います。初めて釣れた一匹なら小さくても持ち帰りたいですよね。分かるぞ。でも釣りに慣れたらちょっと考えてもらいたいなと思います。

あと、穴釣りは狭い場所に仕掛けを落としていくので、必然的に根掛かりが発生しやすい釣りです。針はまだしもオモリは鉛でできているので、根掛かりで海に残すと環境負荷が大きい材質だといえます。単純に毒性があるし。個人的にはあんまり積極的にやりたくない釣りという印象です。根掛かりしない岸壁ギリギリに仕掛けを落とすだけでも根魚の居場所を狙えますので、そういうスタイルもありだし、私はもっぱらそのやり方です。

特別編「エギを使ったアオリイカ釣り」

連載に先立って読み切りで掲載された幻の1話目。ネットで最後まで読むことができます。

今とちょっと絵のタッチが違ってますね。

エギというルアーで釣るのですが、このエギは昔から漁具として存在していたものです。漢字で書くと「餌木」。その名の通り、本来は木でできていてエビを模した疑似餌となります。今は大体樹脂製ですが。

これはエギではなくサビキに掛かった小魚に喰らいついたアオリイカ

ルアーフィッシングの一種としてそのエギを投げて使う「エギング」と呼ばれている釣りがあり、その主な対象魚がこのアオリイカ。釣り自体の人気もさることながら、そのもちっとして甘みのある身の美味しさが人気の理由です。

エギは工芸品のように美しいデザインのものも多いので、コレクション的な要素もあり女性にも人気がある釣りです。

放課後ていぼう日誌「3巻」の釣りを解説

3巻では春から少し季節が進んで梅雨を迎えます。

全体を通してみるとあまり釣りをしていない巻ではありますが、安全対策や放置ゴミなど、釣りをする上では避けて通れない問題を取り上げています。とはいえ重くなく、そして説教臭くならないのがこの漫画のいいところですね。

れぽーと14-15「テナガエビ釣り」

天候がすぐれない中、ていぼう部は近所の川にある橋の下でテナガエビ釣りをします。

テナガエビ釣りは全国的に梅雨どきの風物詩的な釣りとなっており、海に近い汽水域の川でのんびりとできる手軽な釣りです。とはいえ意外と難しい釣りで、私も初めて挑戦したときは陽渚ちゃんと同じように悶絶したくなるほどテナガエビに弄ばれました。アタリはあるけど掛からないのです。その様子はこちらでご覧ください。

ただ、コツさえつかめばどんどん釣りあげることができます。かわいいですよ、テナガエビ。

釣れたテナガエビはエアーポンプを使って生かしたままキープする

しっかりしたエビの旨味があるので、漫画の中のように定番の素揚げにしても美味しいですし、アヒージョにしても美味!

ダイソーの100円スキレットを使ったアヒージョ

小さめのエビだからこそ、頭から丸ごとかじってエビの旨味を堪能することができるのです。

放課後ていぼう日誌「4巻」の釣りを解説

そして4巻。

季節的には梅雨が明けて夏本番間近という頃合いでしょうか。

れぽーと20「延べ竿を使ったアジ釣り」

おいおいまたアジ釣りかよと思うかもしれませんが、アジは釣り人にとって本当に馴染みの深い魚なんです。

このエピソードのように、延べ竿で一本釣りみたいなこともできますし、この漫画で何度も出てくるサビキ釣りも定番。また、小さなソフトルアーを使ったアジングという狙い方も人気。

冬場は狙いにくくなりますが、ほぼ一年中堤防から釣れることも人気の理由。

また、そもそもの味の良さと、どんな料理にでも対応できる万能さもあります。刺身、塩焼き、たたき、なめろう、天ぷら、煮付け、一夜干し、などなど。

ていぼう部はいろんな食べ方でアジを堪能していますね。私自身、魚の中で何が一番美味しいかと問われれば、迷わずアジと答えます。

アジフライにしたり。

アジフライ

サクサクアジフライ

漬けを丼にしたり。

アジの漬け丼

ウマウマ漬け丼

刺し身にしたり。

プリプリ刺身

素人が刺し身なんて作れるのかと思う人がいるかもしれませんが、釣りをすれば刺し身はとても身近で手軽な魚の食べ方になります。

たいがいの魚は刺し身で食べられる!あなたの知らない美味い刺身はまだまだある!

なお、堤防から釣れるアジは主に2種類存在します。それはマアジとマルアジ。一般的にアジといえばマアジのことを指し、マアジのほうが美味しいとされています。ある特徴を知れば容易に見分けることが出来るので、チャレンジしてみてください。

れぽーと23「バリ釣り」

ていぼう部ではここで釣れた魚のことを「バリ」と呼んでいましたが、全国で通じる正式な名前は「アイゴ」です。

ではバリとは何かというと、ストレートに「小便」のことを指します。つまりおしっこのように臭い魚だと。それに加えて棘に毒があり、刺されるとかなり痛いので何かと雑に扱われがち。なんて不憫な魚なんでしょう。

でも作中のように釣れたらすぐ内蔵を処理しさえすればその臭みはありません。できるだけ内蔵を破かないよう丁寧に。そうすれば刺し身だろうが塩焼きだろうが煮付けだろうが美味しくいただけます。稀ですが、魚売り場で売られていることもあります。

近所のスーパーでたたき売りされていたアイゴ

主に磯釣りのターゲットですが、堤防でも釣れることがあります。

アイゴはどちらかというと暖かい海に多く生息する魚ですが、近年は地球温暖化の影響で海水温も上がり、その数を増やしているようです。それによる海藻の食害が問題となってきています。

ちなみに私はアイゴの棘に刺されて毒を受けたことがありますが、暫くの間ジンジンと痛みが続いて非常に厄介です。この毒は熱に弱いので、刺された個所を熱めのお湯につけたりすると緩和できます。お湯がなければ、直射日光で熱せされた車のボンネットとかを触っておけばマシになるので覚えておくように。

れぽーと24「キス釣り」

砂浜からの釣りとして大定番のキス釣り。

1000円の釣りセットで釣り上げたシロギス

夏場はピンギスと呼ばれる小さなキスが波打ち際付近で釣れたりするので、あまり遠投できない初心者でも簡単に釣ることができます。

陽渚ちゃんが使おうとしている疑似餌はマゴチ釣りにも使ったソフトルアーの一種といえるもので、より生のエサに近づけたものです。人工餌とも呼ばれます。

ブルベリーの匂いがつけてありまるで駄菓子のようで「人間でも食べられるんじゃないかな?」と頭が錯覚を起こしそうになります。長期保存ができるので、釣りがしたいと思い立ったらいつでも使えるというメリットがあります。

ただ魚の食いつきについては生きたエサにはかなわないというデメリットがあります。そこをいかにしてカバーするのかという課題と、その解決の糸口を陽渚ちゃんが見つけたところで、次巻へと続きます。

放課後ていぼう日誌「5巻」の釣りを解説

5巻でいよいよ夏を迎えます。

夏から秋は本格的な海釣りシーズン。夏休みにも入りましたしワクワクしますね。

れぽーと26「キス釣り」

前巻からの持ち越しで引き続き人工餌を使ったキス釣り。なにかを学んでなにかを確信した陽渚ちゃんのリベンジマッチとなります。

”人工餌は自分で動かない”という当たり前なんだけど大事なことに気がついて、常に仕掛けを動かして魚にアピールするという作戦で挑みます。これはつまりルアー釣りと同じ考え。釣り糸を介して無生物に命を吹き込むのだ。

これで勝利間違いなし!と思いきや、そう簡単にいかないのが釣りの難しさであり面白いところ。「これがだめならどうすればいい?」という、次の一手を考えて試し続けることで正解に近づき、それが釣果に結びつきます。今回は魚が小さいから餌を短くするという正解を見つけて、見事キスゲットとなりました。

最後に黒岩部長が同じようなことを言ってますが、自分自身の考えで試行錯誤を繰り返しながら結果に結びつくという過程は釣りの醍醐味だと思います。そうして釣り上げた魚はたとえ小さかろうが、数が釣れなかろうが、バカにされようが特別なもの。こうして釣りの沼にはまっていくのです。

なおこのエピーソードで使われた人工餌は、マルキューという釣り餌メーカーから発売されているパワーイソメがモデルになっています。

れぽーと29「ジギングサビキ」

得意のサビキ釣りをしようとしたものの撒き餌を忘れて、急遽初挑戦となったジギングサビキ。ジグサビキとも呼ばれるルアー釣りの一種です。

撒き餌なしでサビキをしても釣れるときは問題なく釣れるんですが、より攻めた手法のジギングサビキのほうがアピール力があります。撒き餌の変わりにジグをきらめかせて魚の興味をひくからです。そのジグに大物が食いつく可能性もあります。

ジグというのは正式にはメタルジグと呼ばれるルアーで、基本的には鉛の素材でできた硬いルアー。

より比重の重い素材としてタングステン製のものもあります。

小魚を食べるフィッシュイーター系の魚ならなんでも釣れる可能性があり、堤防など陸からジグを投げて魚を狙う釣りをショアジギングといいます。船釣りでもポピュラーなルアーで、その場合はオフショアジギング。こんな餌とは程遠い金属の板に食いつくなんて、最初は私も信じられませんでしたね。

ジギングサビキは、ジグとサビキを別々に買って自分好みの仕掛けにすることもできますが、最初は漫画に出てくるようなセットになったものを買うのがいいでしょう。

海底まで沈ませる都合上、ジグは根がかりしやすくて失くすことが多いのでスペアの用意は必須。

れぽーと30「泳がせ釣り」

陽渚ちゃんがジギングサビキで釣り上げたアジを生きたまま針にかけて、ヒラメを狙う黒岩部長。

ここでは泳がせ釣りと呼んでいますが、時と場所によって「のませ釣り」とか「食わせ釣り」とか呼ばれます。ちなみに関西でポピュラーなのはのませ釣り。

漫画の中では海底にいるヒラメを狙うので、オモリをつけて海底付近にアジを泳がせていますが、海面に近い表層を狙う場合は大きなウキをつけてアジを泳がせます。例えばこんな仕掛けで。

私は自分で仕掛けを組みますが、市販もされています。

表層付近を狙うと何が釣れるのかというと、ブリが代表格。

これはサイズ的にブリとは呼べないサイズですが

泳がせる餌にアジを選ぶのにも理由があります。手に入りやすいということもありますが、イワシなどに比べて生命力が強く弱りにくいのがひとつの理由。横に泳いで暴れるサバと比べると比較的素直に泳ぐから仕掛けが絡まりにくいのも選ばれる理由。

これで座布団ヒラメを狙おうとするも釣れたのはエイでした。釣りをしていると意外と掛かるエイですが、ヘビー級のパワーで引くので、中途半端な仕掛けだとすぐ切れます。しっかり釣り上げたということはちゃんとそれを想定した強い竿やリール、仕掛けを用意していたということですね。さすが部長。

釣りについて知っておいてほしいこと

この漫画がきっかけで釣りを始めたいと思った人がいたら、釣り人としてはとても嬉しい。仲間が増えるのはいいこと。でも釣りに行く前に知っておいてほしいことがあります。

自分のゴミは自分で持ち帰る

自分で出したゴミは必ず自分で持ち帰りましょう。ゴミの放置が酷く、釣りが禁止になった釣り場が全国にたくさんあります。

釣り場近くの駐車場に不法投棄されたゴミの山

上の写真は関西にある某有名釣り場の駐車場。山のようにゴミが積まれていますが、ここはゴミ捨て場として提供されれているスペースではありません。しいていうなら人が通行するスペース。

ゴミが集めてあるから「ここはゴミ捨て場でいいのかな?」と思ってか、あるいは本当のことは分かっていながらそうするのか、どこの釣り場でもゴミの山ができていることが多々あります。

釣り場を守るためにも絶対にこんなことをしてはいけません。

釣り公園など有料の釣り場なら堂々とそこのゴミ箱を使えばいい。しかし誰しもが使う公園の一角で釣りができるようなスペースは「釣りをさせてもらっている」という意識を持つべきだと思います。例えそこにゴミ箱があったとしてもそこは釣り用のゴミ箱ではないはずです。持ち帰りを徹底しましょう。

釣り場での暗黙の了解やマナー

実際に釣り場へ行ったとします。

よっぽどマイナーな釣り場でない限り、先行して釣りをしている人がいるでしょう。釣り場では基本的に先行者優先という暗黙のルールがあります。だから先行者の邪魔になるような釣り方をするのはご法度。逆の立場で考えてみてください。頑張って早く来て釣り場を確保したのに、あとから来たヤツに邪魔をされて自分の釣りができなくなったら腹も立ちますよね。

ちょっと狭いなという場所であれば「横で釣っていいですか?」など挨拶をこころがけたいものです。そこで打ち解ければ多少迷惑がかかってもお互い様って雰囲気になりますし、貴重な情報も提供してくれるかもしれません。

混雑した釣り場ではあいさつをこころがけよう

これは褒められたもんじゃないですが、その地域の地元の釣り人が半ばその釣り場を支配しているような状態になっていることもあります。釣りをしてたら「そこは自分の場所だからどけ」と言われたり、場所を詰められてプレッシャーをかけられたり。残念ながらそんな超ローカルルールがはびこっていることが。まあそんなところにはそもそも近づかないほうがいいですね。

ポイント探しは自分の力で

これだけSNSが普及した時代ですから、ネット上で自分の釣果を発信することは当たり前になっています。羨ましくなるほどのいい釣果を見れば、「どこのポイントで釣ったんだろう?」と気になるのは仕方がない。私だって同じです。

有名な釣り場や釣り公園などは、画像の背景を見ただけで分かる場合もありますし、発信者自らがどこで釣ったか明言していることも多いでしょう。しかしあえてポイントの名前を出さずに釣果情報を発信している場合はそれなりの理由があるはずです。

人知れずよく釣れるポイントや、人が少なく快適な釣りができるポイント。情報で溢れかえった今、それは非常に少ない貴重な場所です。そこにたどり着いて釣りができるまで、いろいろな苦労や試行錯誤を重ねたはず。そんな場所をたやすく教えるかというと、やはり隠したくなるというのが正直なところです。私もそう。

なので、ネットで安易にポイントを聞き出そうとするのはNG。聞かれたほうも困るはずです。聞くとしても、ある程度コミュニケーションの段階を踏んだうえで空気を読みたいところ。

Googleマップの航空写真なんかで海岸の様子を探れるので、ある程度目星をつけて自分でポイントを探すのも釣りの楽しみです。とはいえもう都会には残されていないというのが現実ですが…

釣れる魚や時期は地域によってぜんぜん違う

放課後ていぼう日誌は九州地方が舞台のようです。比較的暖かい地域のはず。

狭いとはいえ広い日本、地域によって気候が異なります。海も、地形や近くを流れる海流によってその地方それぞれ違った特性をもっています。だから同じ魚でも釣れる時期が違ったり、そもそも地域によって生息している魚も全く違ったりします。

例えば放課後ていぼう日誌の2巻にアオリイカを釣るエピソードが収録されています。しかしアオリイカは東京湾や大阪湾など大都市圏の堤防から釣れるターゲットではありません。ていぼう日誌の舞台となっている港町ではブリなどの青物が回遊してこないと嘆く夏海のセリフが5巻にありました。

あなたが住んでいる地域のどこでいつ何が釣れるか。ネット上に情報は転がってますし、釣具屋の店員さんなんかに聞いてみるのもおすすめです。でも最後に信じられるのは自分の足で釣り場に行き、自分の目で確かめたものだけ。

聖地巡礼は十分に配慮していきましょう

放課後ていぼう日誌の舞台は、モデルとなっている地域が実在しているようです。

おそらく普段は静かな港町はず。ちょっと調べれば特定できるので聖地巡礼的なこともしたいでしょう。その際は地元の釣り人や地域の住民に迷惑がかからないよう配慮が必要です。

原作者の小坂先生からもお願いのツイートがありました。

私も聖地巡礼をしてみたいものですが、九州となると相当遠くて断念せざるを得ません。

新しい釣り漫画とこれからの展開

新しい釣り漫画が続々登場している

今回紹介した放課後ていぼう日誌をはじめとして、ここ数年で新しい釣り漫画がどんどん増えています。こちらの記事で紹介していますので、放課後ていぼう日誌を知って釣りに興味を持った方はぜひご覧ください。

これがきっかけで釣りに興味をもったり、自然環境や水産資源にも関心が集まるようになればいいな。いち釣り人としてそう思います。

放課後ていぼう日誌のこれから

放課後ていぼう日誌については一つ気にかかることがあります。

物語としては春に高校へ入学してから季節を追って釣りをしているじゃないですか?5巻で夏休みが始まってそのうち秋を迎えるわけです。多くの釣りは秋に本番を迎えるので、どんな釣りをするのか非常に楽しみであります。

しかしいずれ冬がきます。

冬には冬の釣りがあるのですが、基本的には釣りのオフシーズン。そうこうしているうちにまた春が巡ってくれば黒岩部長が卒業となるわけです。ここでこの作品としては一区切りする可能性もあるんじゃないかと。

まだまだいろいろな釣りはあるし、またもう1シーズンを繰り返してもいいんだろうけど、10巻あたりで終わる構想もあるんじゃないかなと思っています。それはそれで作品として美しいし、そうなったらそうなったで仕方ないかなと思ったり。また新たなていぼう部メンバーを迎えて続いてもいいと思ったり。

いずれにせよ、私はこの作品を応援していきたいと思います。