メクリアジを求めて…大阪湾で狙う初夏の極上アジ

メクリアジ

海釣りを始めて早や8年。いろいろな魚を食べてきました。

その結果としてたどり着いた一つの答えがあります。それは「一番美味しい魚は何か」という問いの答え。とりわけ誰でもかんたんに釣れる魚の中で一番美味しい魚は何だろうか?私の出した結論はこれです。

一番美味しい魚…それはマアジ!

「アジなんて下魚だろ?」と軽く見ている人もいるでしょう。しかし高級魚だからといって値段に比例して美味しいわけではない。大衆魚だろうが美味いもんは美味いのです。

そんなマアジですが、わが大阪湾には「メクリアジ」と呼ばれる至高の、いや究極のマアジが存在するという。これは自分で釣って食べて確かめないといけません。

これはメクリアジを求めて大阪湾を奔走した初夏の記録と考察です。

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そもそもメクリアジとはどんなマアジなのか?

メクリアジの定義を整理する

関西の釣り界隈でメクリアジという言葉をよく聞くようになりました。どうやら船で釣れたり沖堤防や釣り公園でも釣れる魚らしい。

でもメクリアジって結局どんな魚なのでしょう?その定義がいまいち定かではありません。最初にいったん整理しておきましょう。

まず大前提として知っておくべきことがひとつ。メクリアジは大阪湾、その中でも明石海峡周辺や神戸沖などの北部で用いられるマアジの地方名だということ。そのマアジの中でも「ある特徴」を持ったマアジのことを指します。メクリアジという独立した種のアジがいるわけではありません。

メクリアジについてネットで調べる限りでは『高級料亭におろされて市場に出回ることは”ないそうです”』など、伝聞調で書かれた不鮮明な情報も多い。また、渡船屋や海釣り公園は最近になってから「メクリアジ」という名称を使い始めたようなふしもある。これはちょっと匂うぞ。

そんな中、ネットで検索して出てきた信頼度の高い情報がひとつありました。かつては釣りサンデー、今はビッグフィッシングでお馴染み、関西釣り界の重鎮今井さん。その今井さんが2012年に書かれた記事の内容を引用します。

毎年、初夏になると大阪湾に入ってくるマアジなんですが、いわゆる瀬付きタイプと呼ばれている奴です。大きくても30㎝まで、体高が高く、各ヒレが黄色くて、全身が黄金色に輝いて見えるため、黄アジとも呼ばれます。このマアジは、3枚に下ろしたあと手で皮をめくってから刺身にするため、明石周辺ではメクリとかメクリアジと呼ばれているのです。マアジの産卵は春ですから、産卵を終え、すっかり体力を回復した初夏のころが一番美味しいといわれています。刺身にするためにお腹を開いたとき、腹腔に真っ白い脂がべっとりへばりついているようなアジは、間違いなく絶品です。

出典:関西の沖釣り名人 今井浩次の「今日も釣り気分」|関西最大級の釣り情報サイト「関西釣り百選」

重要なキーワードは、瀬付き、黄アジ、皮を手でめくれるからメクリアジ、お腹に脂肪がべっとりなど。すでにメクリアジを知っている人にとっての認識と相違ないでしょう。関アジなど、日本各地で黄金アジと呼ばれブランド化されたマアジと同じタイプであることが推測されます。

メクリアジについて分かっている確からしい情報を今の段階でまとめます。

メクリアジと呼ばれるアジの特徴
  • 6月から7月の初夏に大阪湾で獲れたり釣れたりするマアジ
  • 黄色っぽくて体高が高いなど外見に「瀬付きアジ」の特徴がある
  • 普通のマアジと比較して脂がのっている
  • 腹腔内に内臓脂肪のような脂の塊がくっついている
  • 船から釣れるターゲットとして以前から認識されていた

こんなところでしょうか。実際釣ってみることでこの情報について確証が得られるかもしれませんし、追加できる情報が出てくるかもしれません。

美味しいマアジであることは確か

少なくとも船釣りでは昔からメクリアジという存在が認識されてたのは確か。しかし波止から釣れる対象魚として注目され出したのは最近になってからという可能性が高い。

情報ソースのひとつとしてここ十年ぐらいの武庫川一文字における初夏の釣果を調べたのですが、メクリアジとおなじ20センチ程度のマアジは昔から豆アジに交じってぼちぼち釣れてたようです。ただ、釣果がまとまってきてメクリアジという名称が使われるようになったのは平成末期ぐらいから。

たぶんメクリアジという名称を使ったほうが分かりやすいしインパクトがあって集客できるから使うようになったのでしょう。かくいう私もそれに惹かれたわけで。

なんにしろどうやら通常のマアジとはちょっと違う特別なマアジが大阪湾で釣れるわけです。そしてそれは美味しいということもほぼ確実。マアジこそ最高の魚と言うからには自分で釣って確かめないといけません!

というわけで実際に狙って確かめてきました。それぞれ、船、沖提、地続きの波止での釣行です。

5/21 船から神戸沖のメクリアジを狙う

2022年の5月後半に船からメクリアジを狙いました。

須磨から出港する純栄丸
須磨から出港する純栄丸

4月中旬ぐらいから「メクリアジ」狙いの便が出ている須磨の純栄丸さんに乗船。メクリアジ狙いの船としては有名どころです。4月というのは波止で釣れるよりずっと早いタイミング。

※2022年5月現在ホームページの更新が止まっていて古い情報が掲載されているようです 料金なども現状と異なっているので不明な点は直接問い合わせすることをおすすめします

当日、この船から狙った主なポイントは以下の3か所。いずれも須磨からそう遠くない神戸市沖。

出船場所からほど近い須磨沖、神戸空港西側にある誘導灯周り、北側にある空港連絡橋の橋脚周り。マーカー付きのPEラインで測ったところ、どのポイントも水深は15~20メートル程度と浅め。おかげで波止釣りの延長線という感覚で釣りができました。

神戸空港周辺のポイントでアジを釣る

5/21の午後0時。赤くてレトロな旧和田岬灯台付近から出航した船は僅か数分で最初のポイントに。

まだ灯台がはっきり見える程度に近い須磨沖です。何の変哲もないポイントに見えましたが、終了間際にもここに寄ったのでおそらく海底に瀬があるなど周囲の地形に比べて変化がある実績ポイントなのでしょう。結果的にここでは船内ほとんど釣果なし。

続いて向かったのは神戸空港西側にある誘導灯の周り。

神戸空港西側の誘導灯
神戸空港西側の誘導灯

誘導灯を支える4本の柱がそのまま延長線上に広がって海底まで続いていると思われます。いわゆるストラクチャーなので魚が居付きやすいポイント。

ここでようやく最初の釣果にめぐまれました。上がってきたのは30センチ近い丸々としたマアジ。

誘導灯下で釣れた30センチ近いマアジ
誘導灯下で釣れた30センチ近いマアジ(締めて血抜き処理済)

波止で釣れたらガッツポーズするであろう良サイズ。厳密には27~28センチというところ。ここではアタリが途絶えるたびに次々と違う柱へ船を移動してくれて、2時間ほどの間コンスタントに釣果が伸びました。

午後3時を過ぎて向かったのが神戸空港北側にある連絡橋の橋脚。

ポートアイランドと空港を結ぶ連絡橋
ポートアイランドと空港を結ぶ連絡橋

ここでもすぐに釣果がありましたが、サイズが一回り下がった20センチ弱の群れになったようです。

全部のヒレがピンと立ったきれいなマアジ
全部のヒレがピンと立ったきれいなマアジ

余談ですが、このサイズのマアジが一番均整のとれたプロポーションで美しいと思う。これ以上大きくても小さくてもいけない。分かる?分からない?真面目にマアジのこと考えてる?

ここでもポロポロと拾えたものの、次第にアタリが遠のいていき終了時間も迫ってきました。最後にもう一度須磨沖のポイントで竿を出すものの釣果は出せず午後5時帰港。結果16匹。取り込み時のポロリ多数。

実は生まれて初めての船釣りだったのですが、悪くない釣果だったのではないでしょうか。なかなか船釣りに踏み出す機会がなかったのでお誘いいただきありがとうございました!新しい扉がひらきました(ギィ~

美味い!けどまだポテンシャルを秘めてるのではないか?

さて、メクリアジ便で釣れたマアジなのだからこのマアジもメクリアジに違いない。どう食べる?そりゃまずは刺身やろ?ということで数匹分をまとめて刺身にしました。

4~5匹分ぐらいの刺し身
4~5匹分ぐらいの刺身

釣りを再開して数年経ちましたが、魚の扱いもなかなかこなれてきたもんです。

さばいているときの感触で分かっていましたが、なかなか脂がのっています。血合いが白濁してピンク色になっていることからも脂の強さがうかがえます。そして美味い!確かに美味い!しっかり美味しいマアジだ。ご飯がすすむ。

しかし実はもう過去にしっかり脂ののったメクリアジを食べたことがあり、それには及ばない脂のりであることも確かでした。あの指先で溶ける、舌の上で溶ける脂ののりではない。まだポテンシャルがある。まだ変身を2回残している。なぜだ?

先ほど引用した今井さんの記事に『マアジの産卵は春ですから、産卵を終え、すっかり体力を回復した初夏のころが一番美味しいといわれています』とありました。一方で今回釣ったマアジにはもれなく白子か真子が入っていたことから産卵前だと思われます。ここから産卵を終え季節がさらに進むことにより体力を回復し、初夏に脂のりがピークになるのだろうと推測されます。早すぎたんだ…

念のため書いておきますが、私自身は脂のり至上主義者ではありません。なので脂がのってようがのってなかろうがマアジは美味い。脂がどうあれそれぞれの味わいが楽しめる。そういうスタンスです。ツバスだって工夫して食べれば美味いと思う派。

今回のマアジは漬け丼にもしたのですが、脂が強すぎてタレが十分に染み込まずイマイチでした。これは脂控えめなアジのほうが適切といえます。適材適所。

なにはともあれ、もう少し夏に近づいたマアジも狙わねば。

7/5 武庫川一文字で夕マズメのメクリアジを狙う

梅雨らしい梅雨、梅雨過ぎる梅雨が続く2020年の初夏のこと。(船で狙った時と時系列が前後しています)

武庫川一文字でメクリアジの釣果が入り始めました。荒天が続き渡船中止が相次ぐ中、ようやく週末に晴れるタイミングが。ここを逃せばいつ行けるか分からないということで、夕まずめをねらって渡堤することに。

対メクリアジ用アイテムを用意

メクリアジ対策として、ムコイチの大型アジでは定番になっているハヤブサの蓄光スキンを数種用意。

メクリアジの定番らしい蓄光スキンサビキを用意
メクリアジの定番らしい蓄光スキンサビキを用意

これまた定番の鉄製カゴも調達。これで迅速に底まで落としてサバやイワシを避けます。

迅速に底まで落とす鉄カゴ
迅速に底まで落とす鉄カゴ

2020年恒例のサバ地獄とタコ

広い範囲の船着き場を選択できる武庫川渡船。今日はなんとなく2番の位置を選択。

青物やタチウオ狙いで殺伐とするムコイチにおいて2番周辺はのんびりサビキをする高齢のベテランさんが多く、家族連れにもオススメのエリアです。

水潮気味の武庫川一文字
水潮気味の武庫川一文字

さすがに梅雨真っ只中、連日の雨で水は濁っています。南寄りの風のせいか、外側は浮遊物が打ち寄せられていて釣りづらい感じ。

アジの時合いになるであろう夕方までは時間があるので、その間色々な獲物を狙ってみます。

新型コロナによる非常事態宣言解除(この年は新型コロナが流行しはじめた最初の年)ぐらいから大阪湾各地で釣れまくっている小サバは当然ここにも。サビキだと収拾が付かないぐらい釣れるので、適当にジグやジグサビキを投げてぼちぼち楽しめる程度に釣り上げます。どんなルアーにも食ってくるのが楽しい。

時間があるので色々な釣りを試そうと持ってきていたタコジグで堤防のすき間付近の底を叩くと、持ち帰りサイズのタコゲット。

タコジグで釣れたタコ
タコジグで釣れたタコ

人が少ないので周辺のすき間をくまなく探るも後が続かず。

15時を過ぎると少し夕方の気配が出てきたので、ぼちぼちサビキを開始します。しかしやっぱり足元は表層から底までサバ地獄。買ったばかりの蓄光スキンサビキが一瞬で絡んで使用不可に。

足元はそんな感じなのでウキをつけて近投、かけあがり付近のベタ底をねらいます。でもやっぱりサバ。どこ投げてもサバ。2枚目の蓄光サビキが速攻糸くずに。

自分史上最大の波止マアジ

もういいやといつもの安ピンクサビキに変えたところ、サバとは違う直線的で重い引き。足元に見えたのは丸みのある魚影。アジだ!マアジだ!しかもデカイ。

慎重に抜き上げて計測。えっ!デカッ!

自分史上最大のマアジ
自分史上最大のマアジ

27~28センチってところ。体高も高くて厚みがある。波止で釣れるマアジとしてはかなり大きい。この時点では自分史上、我が家史上最大のマアジとなりました。これがメクリアジなのか!?よっしゃどんどんいくぞ!

と意気込むも、全く後が続かず。周りも特に動きはなくサバばかり。どんどん日が傾いて良い雰囲気になってくるも風が強さを増していきます。

そして時合いがくるならこれからだろうという18時前。近づいてくる渡船から「注意報発令のため引き上げ」のアナウンスが。無念。

時合いがくるならこれからだろうってときに
時合いがくるならこれからだろうってときに強制終了

まだ明るい時間に船に乗り込み陸へ帰還。受付付近に寄るも、ほとんど誰も釣果報告をしていないので今日はダメだったのでしょう。仕方ない。

またしてもメクリアジではなかった

本日の釣果は、デカいマアジ1匹、タコ1匹、サバ数匹(リリース多数)、ガシラ数匹、グレ1匹。

持ち帰って早速マアジをさばくと…あれ?特に脂がのってる感じではない。

すっきりしたお腹のマアジ
すっきりしたお腹のマアジ

例の内臓脂肪みたいなものも入ってません。これはメクリアジと言えないよなあ。とはいえマアジであることには変わりないので刺身でいただきました。釣った直後に血抜きをしておいたせいもあり、これはこれでさっぱりした風味が美味しい。やっぱりマアジはどうやっても美味しい。

マアジには大別して2種類のタイプがあり、ひとつは今回狙おうとしているメクリアジのような「瀬付き型」のマアジ。もうひとつが「回遊型」のマアジ。今日釣れたタイプは黄金アジというには黒かったり回遊型の特徴も持っていました。

美味しいけどこれはメクリアジではない。このままでは消化不良です。

7/18 波止から夕マズメのメクリアジを狙う

武庫川一文字での釣行から2週間後の週末。梅雨末期。再び晴れ間が期待できる日が訪れます。

漂流物多数で釣りづらい

しかし増水による障害物が多数漂流してるらしく、前回と同じくムコイチは早い時間の引き上げになるというお知らせが。どうせなら日没前後を狙いたいし、土用の丑の日用にウナギの代用としてアナゴを調達したかったので、渡堤せず地続きの波止から狙うことにします。

やはり明るい時間はサバ地獄。そして漂流物が多くて釣りづらい。右から左へ、木の枝、丸太、ボラの死体、鯉の死体がどんぶらこ。濁った潮と澄んだ潮が頻繁に入れ替わる荒れ具合。

ついにメクリアジが…

こりゃ今日もきついかなと思いながら夕まずめを待ちます。

今年は豆アジをろくに釣っていなかったので、3号ぐらいの小さいサビキを置き竿にして待っていると、日没30分前に強いアタリ。水面に見えたのは20センチ強のマアジ。キタキタ!っと抜き上げるもポロリしてオートリリース。

そうか、これは魚のサイズに対して針が小さすぎるんだ。

慌てて仕掛けのストックから7号のサビキを取り出して交換したところ、次のアタリで取り込みに成功。やっぱりサビキは針のサイズが大事です。底まで沈めたら毎投掛かるペースでしたが、わずか10分足らずで時合いが終了。20センチ強のマアジが全部で7匹。

この日の釣果はマアジ7匹、豆アジ2匹、サバ数匹(リリース多数)、カタクチ&ウルメイワシ数匹、ガシラ数匹。アナゴは釣れず。

波止から釣るにはそこそこサイズのマアジといえますが、前回よりサイズダウンしてしまいました。

20センチ強のマアジ
20センチ強のマアジが7匹

見たところサイズの割には体高が高くて身も厚く小顔。全体的に黄色っぽい気もする。果たしてこいつらが噂のメクリアジなのか?さばいて確かめねば。

結論からいうと、これこそがメクリアジと呼ぶのにふさわしいアジと知るのでした。

実食!メクリアジを刺し身で食べてみた

脂のりがすごい!

改めてもう一度観察してみます。

体高がたかくプロポーションがいい
体高がたかくプロポーションがいい

うーん、普通のマアジといえば普通のマアジ。分からないのでさばいて白黒つけましょう。

(処理中…)

…あっ!これは!当たりじゃないか?

内臓はグロく写ったので自主規制するとして、三枚におろした後に残った骨をご覧ください。

脂肪の塊と白っぽい身
脂肪の塊と白っぽい身

赤丸で囲んだところ、腹腔の終端あたりに脂肪の塊のようなブヨブヨが見えると思います。お腹を開けると同じものが内臓を囲んでいました。そもそも、中骨に残った身が妙に白いのがお分かりいただけるはず。

さばくときもヌルヌル滑ってやりにくかった。これは明らかに脂がのっている証拠。7匹さばいたところ、多少の差はあれどみんなこの状態でした。

刺し身が絶品

これをどう食べるかって?そりゃ刺し身でしょ!

というわけで7匹全部を盛った皿がこちら。

7匹分の刺身 盛り方の汚さは許してください
7匹分の刺身 盛り方の汚さは許してください

ではわさび醤油で食べてみるとしましょう。やっぱり普通のアジと比べたら身が白いしちょっとサシも入ってる。血合いまで白っぽい。

サシが入った身と醤油に浮いた脂
サシが入った身と醤油に浮いた脂

醤油皿に脂が浮いているのが見えますね。では実食!

こ、これは…美味い!

今さら言うまでもなくめっちゃ脂がのってる。普通のマアジとは別次元で脂が口の中でとろける。かといって養殖の魚みたいにくどいこともなくどんどん食べられる。これは最高!

定義はどうあれ、これはもうメクリアジということでいいでしょう。世界よ、これが大阪湾のメクリアジだ!ひれ伏せ!ひざまづけ!命乞いをしろ!(小僧から石を取り戻せ)

今回はすべて生で食べましたが、一夜干しにしたり塩焼きで火を通して食べるのも美味しそうです。夢が広がります。

なお、私は醤油、味醂、酒で作ったタレに刺身を漬けて漬け丼を作るのが好きなんですが、メクリアジで同じことすると脂がタレをはじいてしまい通常の分量では上手く漬かりません。醤油を多めにするか、盛り付けた後で追い醤油をするなどして調整しましょう。

メクリアジを検証する

ということで、どうやらメクリアジらしいマアジを釣って食べることができました。そしてその美味しさにも納得しました。

ここで巷に流れるメクリアジの情報と今回の実体験を合わせて検証してみたいと思います。

沖堤や釣り公園で釣れているのは本当にメクリアジなのか?

武庫川一文字やその近くにある尼崎釣り公園ではメクリアジが釣れているという釣果情報を出しています。これ本当?客引きのためだけにその名前を使ってない?

これに関しては、全てがメクリアジではないけどメクリアジと呼べるアジも釣れているという解釈でいいんじゃないかと思います。メクリアジの定義を「大阪湾で釣れる脂がのったマアジ」とするなら。

大きなアジは釣れるけど、その全てがメクリアジ的な脂のりを持ったマアジかというとそうでもなさそう。船で釣ろうが波止で釣ろうが個体差がある。だけどその中にメクリアジが交じるというのは間違いないでしょう。

「瀬付きのアジ」ということになっているのになんで沖堤や波止に回遊してくるんだろうという疑問もあったりするんですが、それは一旦置いておきましょう。

実は過去にも波止からメクリアジを釣ったことがありました。ちょうど豆アジの時期に妙に脂のりが良くてサイズもいいマアジが釣れたのです。その時はメクリアジという存在を1ミリも知らずに。

豆アジと同じ時期に釣れるメクリアジ
豆アジと同じ時期に釣れたメクリアジ

当時は経験も浅く、例の内臓脂肪も「崩れた白子」だと思ってました。でも今までマアジでは味わったことのない脂に驚いた記憶が鮮烈に残っています。

30センチに近いような波止から釣れるにしては特大サイズのマアジは脂がのっておらず、どちらかというと20~25センチぐらいのサイズの方が脂がのっている傾向にあるようです。サイズがいいほうが脂がのっているイメージがあったのでこれは意外でした。

2020年の大阪湾では初夏以外の季節でも比較的大きなマアジが釣れる機会がちょくちょくありました。それもやはり30センチ近いサイズより20センチ台前半ぐらいのマアジの方が脂のりがいい傾向にありました。

メクリアジは皮がカンタンにめくれるのか?

皮下脂肪が多いから手で皮がカンタンにめくれる。だからメクリアジと呼ばれる、そういうことになっています。

しかし、そもそもマアジは手で皮をめくることができる類の魚です。少なくとも私は10センチ以下の豆アジから30センチ程度のまで手で皮を剥いで刺身にすることも多いです。

むしろメクリアジは脂で手が滑るし、身が柔らかいから手で皮が剥ぎにくいという…メクレナイアジやんっていう。確かに普通のアジよりは剥がれやすいんだけど滑りやすい。結局のところ、手ではなく包丁の背を使って皮を剥ぐ方がかんたんかつ綺麗にできると思います。

一方で目がクリっとしてるからメックリアジと呼ばれ、それが後にメクリアジになったという説もありました。真偽はどうあれこの説は嫌いじゃないです。マアジは目がクリっとしてて可愛いですもんね。

ほんとうに高級料亭におろされているのか?

『漁獲されたメクリアジは高級料亭に降ろされて市場には出回らない』

これもよくあるメクリアジの説明なのですが真偽不明。調べても釣り人発信のソース不明な情報しか見つかりません。貴重な食材のはずなのに釣り界隈以外で聞いたことがないのもやや不自然です。現段階で私が知る限りは眉唾情報と判断するしかありません。

ただ高級料亭にも見合う優れた食材だとは思います。高級料亭なんて行ったことありませんが…

これだけ美味しいアジなら関アジみたいにブランド化して売り出せば人気が出るだろうになと思うんですが、今のところその動きはなさそう。大阪湾名物になれば日本中に誇れる魚になるのになあ。メクリアジって名前もキャッチ―でいいのに。

多くの人にとっては、汚くて死んだような海という認識が強いであろう大阪湾。実は海産資源が豊富で美味しい魚がたくさんいることを知るきっかけになればいいのにと思います。

メクリアジはどうやって釣ればいいのか?

メクリアジはどうやって釣るか?

船なら魚がいる場所に連れて行ってくれたり指定の仕掛けがあったりします。船内での仕掛け販売もあるはず。しかし波止や沖提から釣る場合は自分で考えないといけません。

どうしてもルアーでという方はジグサビキでも狙えると思いますが、効率よく釣るならやはりサビキです。

仕掛けのサイズ、つまり針のが小さいと取り込み時にポロっと抜け落ちる確率が高くなります。小さくとも針は6号以上、基本は8号前後が良さそうです。20センチ程度のアジにはちょっと大きいんじゃない?ぐらいのサイズの方が、フッキングもしっかりしますしバラシも減る傾向です。

時期的に同じぐらいのサイズのサバの猛攻を受けて仕掛けが絡まりやすいので、そういった意味でも「針サイズが大きい=仕掛けのラインが太い」仕掛けが適切です。太いと絡んでもほどきやすく手返しが良くなります。

サビキの素材は基本のピンクスキンでもいけますが、波止では薄暗い日没付近に時合いがくることを考えると、ムコイチで定番になっている蓄光サビキが確かに有効かと思われます。

まだ太陽の光がある時間に釣れるならケイムラ発光する素材も有効でしょう。5月の昼間に船で釣った際はこの仕掛けが最初から最後まで通用しました。

いずれにせよ透明度などその日の海の状況で正解となるサビキが変わる可能性があります。色々な状況に対応できるよう異なる素材を何種類か用意しておくと保険になります。

狙うタナは波止でも船でも底が基本。マアジ釣りのセオリー。サバやイワシなどの外道を避けるため底まで迅速に仕掛けを落とせる、そのタックルで扱える範囲で最大の重さの鉄カゴを使いたいところです。

堤防から狙う場合、群れを追ってポイントを移動する船に比べて釣れるチャンスはずっと小さくなります。早朝や夕方に一瞬だけ通過する群れを狙うイメージ。釣れ続く時間は短いと5分以内ということも。アミエビで足止めするのにも大きな期待はできません。手返しの早さが求められます。

大漁を期待するなら船から狙うほうが確実。堤防で釣るよりお金はかかりますが、結果的にコストパフォーマンスも高くなる可能性もあります。船でもサビキ自体は波止用のものが使えますが、短い船竿でも扱いやすいように6本針を半分にして3本針にするなど工夫すると手返しよく釣れるはず。

メクリアジを狙える季節は初夏だけなのか?

正しくメクリアジの定義に沿うなら「初夏の大阪湾で釣れる脂がのったマアジ」こそがメクリアジなので、初夏だけのターゲットということになります。

とはいえ、そこそこ脂がのった20センチ台のマアジは秋から冬にかけても沖提で釣れます。実際、秋も深まった11月下旬に釣ることができました。

例の白い内臓脂肪も入っていたり。

年末年始付近にかけてもこのタイプのマアジが回遊してくることがあります。40センチ近いサバが混じることも多いので専門に狙ってみてもいいですね。

初夏以外に釣れる脂がのったマアジ。これをメクリアジと呼んでもいいかどうかは別として、美味しいことには間違いありません。だってマアジなんだから。

最近は大阪湾近辺で釣れた良型のマアジであればどの時期に釣れてもメクリアジと呼ぶ傾向がありますが、これにはちょっと違和感を覚えます。初夏に釣れるアジこそをメクリアジと呼んだ方が有難みがあるなと。季節の恵みを享受できる有難みを感じられること、それが釣りの楽しみの一つですから。

初夏の風物詩として

メクリアジを釣って食べたいという目的は達成しました。そしてその味が絶品だということも分かりました。満たされました。

未来永劫釣れ続けるのか分かりませんが、今後もこの時期に狙っていきたいと思います。初夏を感じる味として深く記憶に刻まれていくかもしれません。

もしかしたら数年後、メクリアジの名がブランド化して大人気になってる可能性も否定できません。それはそれで嬉しいこと。でもそれまでは釣り人だけが知る、そして味わえる絶品食材として楽しんでいきましょう。