釣り初心者が知っておきたいマナーと暗黙のルール

釣り場のマナーとルール

新型コロナに脅かされる日常を手探りで進んで行かざるを得なくなった2020年からの世界。

いわゆる三密が避けられる趣味としてアウトドア系の趣味が人気を博し、釣りを始める人も増えたという話があります。釣り場の込み具合からそれを感じてる人が多いはず。

それに対し、釣り人の中には「釣り人口が増えたら釣り場が混雑して困る」「マナーが悪くなって釣り禁止場所が増える」と言う人もいます。つまり「釣りを始める人が増えるのは迷惑だ」だと。分かる。言いたいことは分かる。でも新規に始める人がいないとその文化は先細ってしまいます。まずは歓迎をしなくては。

しかしながら、新しく始める人が増えることでマナーが悪化するという懸念は確かにあります。とはいえ最初は知らないんだから仕方がない。

そこで釣りを始める前に知っておいてほしいことをまとめます。数ある釣りの中でも不特定多数の人が出入りする比率が高い堤防釣りにおけるマナーを中心に、そして誰も教えてくれない暗黙のルールも解説します。

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曖昧なルールを人に押し付けない

最初にお断りしておきますが、ここに書くことは釣り人の間で”なんとなく共通認識されている”ことばかりであり、確固たる釣り関連組織が決めたルールではありません。

釣りの公的な組織だと日本釣振興会ウェブサイトのルール・マナーに関するコンテンツがありますが、あくまで常識的、基本的な事項であり、現場に即した泥くさいマナーやル―ルは書いてありません。

有料釣り場以外では、そもそも公式ルールなんてものが存在しないのが実際のところ。

今読んでもらっているこの記事で書いていることは、あくまで釣り場において円滑に釣りをするために心がけておきたいことの羅列に過ぎないことをご理解ください。例えば魚のリリースについては数もサイズも曖昧な表現が多々あります。ここに書いていることを押し付けて人を糾弾するなんてことはやめましょう。そんな人いないと思いますが。

釣り界隈のSNSは、わずかな写真と文字から自分の主張に都合のいい想像、いや妄想をはたらかせてルール・マナー違反と決めつけ、集団で特定の個人を叩く流れがたびたび見られます。発信者になんらかのきっかけや落ち度があるにせよ、強い言葉・汚い言葉で個人を追い詰めるのは非常に醜いものです。正義のつもりでもいじめと変わりありません。

また、そもそも法律や条例で禁止されている行為、釣り禁止場所での釣りや立入禁止場所への進入、有料釣り場で決められているようなルール。そういった「当たり前」のルールはあえてここで取り上げません。もちろんそれらは守るという前提で。

自分のゴミは自分で持ち帰ろう

釣りをするといろんなゴミがでます。

糸の切れ端、仕掛けの袋や台紙、エサが入っていた容器、ルアーのパッケージ、飲み物食べ物の残骸。ゴミが出ること自体は仕方ありません。

しかしそれら自分で出してしまったゴミは、原則として自分自身の手で持ち帰りましょう。

釣り場で出たゴミは原則持ち帰る

ここ数年の間で釣りが禁止になった釣り場が全国にたくさんあります。

禁止になった理由が明言されることはほとんどないため真相は分からないのですが、ゴミの放置が原因だと釣り人の間で推測されているケースが多い。その釣り場に通っていた人は、それだけゴミの放置が気になっていたからでしょう。

釣り場近くの駐車場に不法投棄されたゴミの山

上の写真は関西にある有名釣り場の駐車場。テレビでも頻繁に紹介されている場所です。

山のようにゴミが積まれていますが、ここはゴミ捨て場として提供されているスペースではありません。しいていうなら人が通行するためのスペース。

ゴミが集めて置いてあるから「ここはゴミ捨て場でいいのかな?」との思い込みからか、あるいは本当のことは分かっていながらそうするのか、どこの釣り場でもゴミの山ができていることがあります。残念ながら。

何故か「ゴミ放置禁止」などと書かれている注意看板の真下にゴミが積まれやすいという、理解不能な法則もあります。

釣り場を守るためにも絶対にこんなことをしてはいけません。

釣り関係のゴミを捨てるのは有料の釣り場だけにしたい

釣り公園など有料の釣り場でゴミ捨て場があるのなら堂々とそこを使えばいいです。処理費用は何らかの形で料金に含まれているし、そこに雇用が存在しているはずだから。

しかし釣り人以外も使う公園では「釣りをさせてもらっている」という謙虚な意識を持つべき。例えそこにゴミ箱があったとしてもそれは釣り用のゴミ箱ではないはずです。釣り関連のゴミ、特にエサ釣りのゴミはかさばります。そして臭いがきつい。暑い時期にエサ釣りのゴミを放っておくと、あっという間に悪臭が漂うようになります。

車で来てるなら袋にまとめてポンと積んでおくだけ。臭いものを車に持ち込むのに抵抗を感じるのは分かります。置いていきたい気持ちも分かる。でもそういう趣味を選んでしまったんだ、仕方ないと受け入れましょう。

有料釣り場以外で出たゴミは原則持ち帰りを。

釣り人なら持っておきたい 切れ端×糸クズワインダー

釣りをして出るゴミの中で意外と処理しにくいのが釣り糸、ラインです。

体積は小さいくせにまとめにくくて、ゴミ袋に入れるのもちょっとめんどくさい。とはいえ仕掛けを結んだり切れたりするとどうしても出てしまうゴミです。

そこでぜひ釣り場への携行をおすすめしたいグッズがこれ。

無くても釣りはできるけどあったら釣りが快適になる。そんな痒い所に手が届く釣りグッズの数々で名をはせる第一精工。その中でも釣り糸の処理に特化したアイテムがこの切れ端×糸クズワインダー。

第一精工からは何種類かゴミ処理系アイテムが発売されていますが、これが一番汎用性が高いアイテムだと思います。釣り糸用ではありますが、釣り針やスナップなどの小さな金具、ガン玉などもしっかり収納でき、シャッター付きなのでこぼれ出てきません。

構造はシンプル。ケースの中にツメが付いた円盤が入っており、そこに折り曲げた釣り糸を引っ掛けて巻き取る仕組みです。

そしてこの巻き取り作業を実際やってみたら分かると思いますが…なんか気持ちいいんです。カリカリとクリック音を出しながら釣り糸を巻き取るこの作業、ケースに釣り糸を食わせているというか、小動物にエサをあげているかのような。

ああ、もっと与えたい、腹いっぱいにさせてやりたい、落ちている釣り糸はないか?まあ私だけの特殊性癖もしれませんが、ぜひ買って試してみて欲しい。子どもなら喜んでやると思う。

釣具屋でも400円前後で買えるので安いもんです。

これに限らずゴミを収納できる何か、例えばビニール袋一枚でもいいので必ず釣り場に持っていくようにしましょう。

釣り場に存在する暗黙のルールを知ろう

管理者によってその釣り場ごとに決められたルールは、釣り場の立て看板などに明示されています。使う仕掛けを制限されていたり、集魚剤が入った撒き餌が禁止されていたり。有料無料を問わず管理された釣り場なら必ず目を通してきましょう。

一方でどこにも書いてないけど暗黙の了解で守るべきルールも存在します。有料釣り場、無料釣り場問わず。これは初心者にとって厄介な要素です。だって知らないものは知らないんだし。

暗黙のルールの中で、特に他者とのコミュニケーションやトラブル防止に関わるルールを紹介します。せっかく楽しみに来たのに気分が悪くなるのは避けたいですから。

先行者優先の原則を守る

よっぽどマイナーな釣り場でない限り、先に来て釣りをしている人がいるでしょう。

そして釣り場では先行者優先という暗黙のルールがあります。だから先行者の邪魔になるような釣り方をするのはご法度。先に入っていた人に仕掛けにかぶせたりなんてもってのほか。

逆の立場で考えてみてください。

頑張って早く来て釣り場を確保したのに、あとから来た知らないヤツに邪魔をされて自分の釣りができなくなったら。そりゃ腹も立ちますよね。

とはいえ荷物を置いただけの場所取りはトラブルに発展しかねないのでやめるべき。トイレや買い物で一時的にその場を離れる程度は仕方ないにしても、バケツやボロボロの釣り具を置いただけで場所を取っているという主張をし、車で待機なんてのは感心しません。捨てられても知らないよ?

あいさつでコミュニケーションを取る

ちょっと狭いなという場所しか空いていなければ「横で釣っていいですか?」など、釣りを始める前にあいさつをこころがけたいものです。

そこで打ち解ければ多少迷惑がかかってもお互い様って雰囲気になりますし、貴重な情報を提供してくれるかもしれません。エサや釣果のシェアなんかも。

逆の立場で考えても、ちゃんとあいさつしてくれる人なら安心できるはず。同じ魚を狙うなら、目標を同じとする同志とさえ思えてきます。

混雑した釣り場ではあいさつをこころがけよう

ただ、もうスペースに限界があって横に入られると自分の釣りが成り立たなくなるなんてこともあります。譲り合いにも限界がある。そんな場合はたとえ挨拶があっても断っていいし、断られた側も仕方ないと諦める必要がある。私はそう思います。

理不尽なローカルルールもあると知っておく

これは褒められたもんじゃないですが、地元の釣り人が半ばその釣り場を支配して独自のルールを強いているようなこともあります。

極端な話、釣りをしてたら「そこは自分の場所だからどけ」と言われたり、無言で場所を詰められてプレッシャーをかけられたり。ルアーは禁止とされていたり。残念ながらそんな理不尽で受け入れがたいローカルルールがはびこっていることがあります。

かと言ってグレーゾーンな釣り場はローカルルールがあるから釣り場として存続できている側面があるかもしれないので、受け入れられないからといって無理やり正論で押し切るのもおすすめできないです。常識や正しさが良い結果を生むとは限りません。

そんなところにはそもそも近づかないという選択もあるでしょう。対おっさん対応に長けた人ならうまいことコミュニケーションをとって取り入られたり取り込んでしまったりするのもありですが、私は事前に察知して避けます。めんどくさいもの。

もちろん同じ釣り人。優しく受け入れてくれる地元の方もいます。しかし、中には会話の成り立たない宇宙人のような人も紛れ込んでいます。文化の違う宇宙人と仲良くするのは無理なので諦めるのが賢明です。

できるだけ周りの釣りに合わせる

例えばタチウオ釣りが盛んな釣り場。

タチウオはいろいろな釣り方があり、それこそが魅力のひとつ。代表的なものにエサ釣りとしてのウキ釣り、そしてメタルジグやワームなどを投げるルアー釣りがあります。

ウキ釣りは潮の流れにのせて仕掛けを横移動させる釣り。ルアー釣りは正面に投げてリールを巻きながら仕掛けを手前に縦移動させる釣り。交錯する横と縦。必然的に仕掛けが絡みます。このように、同じ魚を狙っているにも関わらず絶望的に相性が悪い釣りがあります。これが元でトラブルに発展することも。

これも先行者優先の原則を守りつつ、周囲に合わせる必要があります。

例えばウキ釣り愛好家が集まってまったりと釣りを楽しんでいるゾーンがあったとしましょう。そこにいきなりルアー愛好家が割り込んできてルアーを投げだした。そしたら仕掛けは絡むわ、ルアーの着水でドボンドボン煩いわ、邪魔でしかありません。逆も然り。

しっかり釣り場を観察して、自分の釣り方にふさわしい場所を見極めましょう。

電気ウキがひしめくタチウオ釣り

電気ウキがひしめくタチウオ釣り

仕掛けがおまつりしたらお互い謝る

混雑した釣り場でどうしても起こってしまうのがおまつり。自分の仕掛けと他人の仕掛けが絡んでしまうことです。

これは自分で絡ませた仕掛けですが

これは自分で絡ませた仕掛けですが

仕掛けのキャストミスだったり、潮に流された仕掛けがからんでしまったり原因はさまざま。原因が明らかでないことも多々あります。リールを巻いたら自分と他人の仕掛けが絡んだものが上がってきたり、あるいは隣の人に自分の仕掛けが回収されてしまったりということは日常茶飯事。自分に落ち度が無いと思う場合もあるでしょう。

そんなときどうするか?

これはもう、お互いが「すいません」とひとこと言ってまずは謝りましょう。原因をあれこれ探してどちらが悪いと決めるのは野暮です。時間の無駄です。

少なからず腹に抱えるものがあるかもしれませんが、表向きは「すいません」と笑顔で。例えすいませんの気持ちがゼロでも口では「すいません」と。どのような立場にしろ無言はダメ。

そして基本は回収してしまった側がほどく。一方はできる範囲で手伝う。あなたが初心者で相手が釣りのベテランっぽい人だったら任せてもいいでしょう。

これがきっかけで隣の釣り人と打ち解けて情報交換に至ることは良くあります。隣で気難しい顔をしながら釣りをしてたけど、話してみれば案外気さくな人だったなんてことも。おまつりも悪いことばかりではありません。

しかしこれが許されるのもせいぜい2~3回まで。繰り返し同じことが起こるなら、明らかな原因があるはずです。

自分のせいだと気づいたら、釣り方を変えるなど再発させないための努力をしましょう。場合によってはその場を去る決断をしなければいけないかもしれません。

明らかに相手のせいなら、ひとこと言ってやってもいいと思います。こちら目線じゃないと気づいていないことがあるかもしれません。

言っても通じない、改善しないということになれば…やはりその場を立ち去る苦渋の決断をしなければいけないかもしれません。自分は悪くないのに理不尽と思うかもしれないですが、ストレスを貯めるぐらいならやめたほうがいいです。たかが趣味なんだから。

さっさと移動しましょう。

仕掛けを流しっぱなしにしない

私が普段釣りをする大阪湾は、場所や時間帯によって非常に潮の流れが速くなります。特に海域が狭まった明石海峡付近などは、時として川のような激流になることも。

海でも川のような流れになる釣り場もある

明石海峡付近にある平磯海釣り公園の激流

ウキがついた仕掛けなどはあっという間に流され、うっかり隣の釣り人のテリトリーに入ってしまったり。そうなったら一旦仕掛けをあげて潮の上流へ投入し直さないといけません。面倒ですが混みあった釣り場なら仕方ないです。

また、休憩などで一旦その場を離れるときは、必ず仕掛けを回収してからにしましょう。意図しなくても潮でどんどん流されることがありますし、不意に大きな魚が掛かったら右へ左へ走って仕掛けを絡ませたりします。

その間、周囲の釣り人は仕掛けをあげて釣りを中断せざるを得ません。

ライトで水面を照らさない

夜釣りは非日常が味わえる釣り。

その夜釣りで快適かつ安全のために必須となるのがライト。中でも両手がフリーになるヘッドライトが便利です。

そしてヘッドライトをつけていててついついやってしまうのが、海面を照らしてしまうこと。暗い海の様子は気になるので照らして覗きたくなるでしょう。でもこれは近くに人が居る場合はNG行為。

強い光に照らされた魚が警戒心を持ってしまうというのがその理由です。暗い時間は堤防の際にイワシなどの小魚が群れることがあります。これをライトで照らすとさっと群れが散ったり底に沈んだりしてしまうので、明らかに影響があります。

海面はまだしも、深い水深にいる魚に対してどれほど影響があるのかは分かりません。しかし特にエサ釣りをしている人はこの状況を嫌いますし、それ自体間違ってると言える根拠はないでしょう。

集魚灯って光で魚を集められるから照らすのも効果的では?と思うかもしれませんが、光で魚を集めるのは結構時間がかかります。まず光にプランクトンが集まりそれを捕食するゴカイやエビなどの小型生物が増え、それを魚が食べに来るという食物連鎖を利用するからです。この効果を発揮するまでに最低1~2時間はかかります。その間微動だにせずヘッドライトで海面を照らし続ければ効果があるかもしれませんが…

ということで周囲に他の釣り人が居る場合、ライトで照らすのはできるだけ手元や足元だけに。

ヘッドライト 照らしていいのは手元だけ

ヘッドライト 照らしていいのは 手元だけ

また、海面を照らさずとも人の顔に向けて照らすのも避けたいところ。暗い堤防においてヘッドライトの光はかなり眩しく感じ、軽い目つぶし攻撃となります。照らす必要がないときは積極的にライトOFFにするか、人を照らさない真下に向けることを心がけましょう。

ポイントは自分の力で探そう

ポイントは釣り人の財産だから

これだけSNSが普及した時代ですから、ネット上で自分の釣果を発信することは当たり前になっています。羨ましくなるほどのいい釣果を見れば「どこのポイントで釣ったんだろう?」と気になるのは仕方がない。

有名な釣り場や釣り公園などは画像の背景を見ただけで分かる場合もありますし、発信者自らがどこで釣ったか明言していることも多いでしょう。しかしあえてポイントを明言せずに釣果情報を発信している場合はそれなりの理由があるはずです。

人知れずよく釣れるポイントや、人が少なく快適に釣りができるポイント。情報で溢れかえった今、それは非常に少ない貴重なものです。

そこにたどり着いて釣果がともなうまで、いろいろな苦労や試行錯誤を重ねたはず。そんな場所をたやすく他人に教えるかというと、やはり隠したくなるというのが正直なところです。それは何も間違っていないと思います。

安易にポイントを聞かない教えない

だから安易にポイントを聞き出そうとするのはNG行為といえます。聞かれたほうも返答に困るはずです。

それでも聞きたいなら、コミュニケーションを重ねて信頼関係が構築できてからがようやくスタートライン。道ですれ違っただけの人に「その服いいね!どこで買ったの?」って聞かれたら怖いでしょ?

また、安易に教えてしまう、広めてしまうことも問題に発展する可能性があります。

例えばずっと地元の釣り人で守ってきた知る人ぞ知るキャパの小さな釣り場。SNSの普及でこういった釣り場も簡単に晒してしまえるようになりました。

どこそこで青物が釣れたという情報がひとたび出回れば、一気に人が殺到するような事態になることもあります。もともとそこで細々と釣りを楽しんできた人にとっては狭苦しい思いをさせることになりますし、釣りに関係ない周辺地域の住民にすら迷惑をかけてしまう可能性があります。暗黙の了解でグレーゾーンだった釣り場を真っ黒に塗り替えてしまうきっかけになることもあります。

魚が釣れたらSNSで自慢したい気持ちはよく分かります。でもその前に少し冷静になって、どこまで情報を開示すべきか考えてみてください。

私自身、テレビの釣り番組で紹介されているメジャーな釣り場ならネットで公開して問題ないという自分なりの基準を持っています。雑誌や新聞レベルだとNG。

こんな何気ない画像1枚でも分かる人は容易に特定できる

例えばこんな何気ない画像1枚でも分かる人は容易に場所を特定できる(なお武庫川渡船の船上にて)

その基準を満たしてもキャパの小さな釣り場だと判断すれば名前を伏せるか、分かる人にだけわかるような表現をしたりすることで配慮してるつもり。

魚のリリースについて意識しよう

魚は有限な水産資源だから

魚は貴重な水産資源であり有限なものです。

途方もないほど広い海、どれだけ魚を獲っても影響はないだろうと思ってしまいがちです。しかしかつてのニシン漁がたどった末路、近年のサンマ漁獲量減少を見ればやはり有限なものなのだと実感します。(回遊魚の周期的な増減という現象もありますが)

もちろん釣りで釣れる魚とて例外ではありません。釣りをすることで多少なりとも水産資源に影響を与えているという意識を持つ必要があると思います。

しかしこの意識をつき詰めていくと、そもそも釣りなんてすべきじゃないという結論に達してしまう。それはそれで一つの答えなんでしょう。どうあがこうが釣りを楽しむということは人間のエゴだから。

でもわれわれニンゲンは雑食性の動物。魚を含めた栄養バランスの良い食物を食べないと健康に生きていくのが難しい。動物であれ植物であれ、生き物の命をいただかないと生きていけない生き物なのです。

どんな形であれ天然の魚を食べているからには間接的に資源を消費したり命を奪っている。たとえ回転寿司で食べてもスーパーで買っても同じことで、その場合は自分の代わりに誰かが手を下してくれているだけ。それは魚を釣るより回り道しているということ。釣りで魚を得ることはその回り道をショートカットしている状態だというのが私の考え。

だから釣りに対して特別に罪悪感を感じる必要もないはずです。同時に感謝の気持ちも忘れずに。都合のいい考えではありますが。

近年の漁業は放流事業など水産資源管理に力を入れています。だから釣り人も同じくそれを意識すべきです。際限なく釣り過ぎてはいけません。資源を無駄にしてはいけません。リリースすべき魚はリリースを。

これは管理釣り場の放流魚なので全部持って帰っていいやつ

これは管理釣り場で釣り放題の放流魚なので全部持って帰っていいやつ

リリースする魚の基準って?

そしてここでぶちあたるのが「じゃあそのリリースの基準ってなに?」という問題。海釣りでなんとなく共通認識されている基準はこんな感じです。

  • 成長すれば大きくなる魚の中でサイズが小さいものはリリースを検討する
  • 特にリリースを意識しないといけないのは、カサゴ(ガシラ)などの根魚類
  • その中でもサイズが小さいものや抱卵している個体は特にリリースを意識
  • なぜなら根魚は成長が遅く生息場所をあまり移動しない生態のため、釣り過ぎるとそのピンポイントな場所の資源が減少する可能性があるから
  • リリースすべき根魚のサイズ基準は15センチ以下?18センチ以下?20センチ以下?
  • アジやイワシなどの回遊魚は成長も早いし数も多いからあんまり気にしないでいいかな?
  • 食べきれる量や数だけ持って帰るならオッケー?でもそれって何人で何匹なの?

はっきり言って曖昧です。人それぞれ基準に差はあるし、上に書いた内容も釣り人全てが納得するものではないでしょう。

アジやイワシなんかの回遊魚は小さかろうがあんまり神経質にならなくてもいいけどカサゴやメバルなどの根魚は気を使うべきという大枠はある。でも具体的なサイズや数は曖昧で明確に決まってるわけでもない。

そんな中、ひとつの目安とすべきはその自治体が決めているルールです。例えばこれは大阪府が公表している大阪湾の魚のリリース基準。

ここでも「小さい魚は再放流」という曖昧な表現がでてきますが、その辺りは各々が判断してねということでしょう。皆さんも自分が釣りをするエリアのルールを探してみてください。自治体によって特定の魚種の放流事業に力を入れている場合があるので、そういった魚種は特に気を使いたいところです。

釣り漫画「放課後ていぼう日誌」に釣りのルールとマナーが取り上げられたエピソードがあり、その中で紹介されていた水産庁の「遊漁の部屋」が参考になります。各自治体へのリンク集があります。

そのエピソードが掲載されていた単行本はこちらの6巻。

基準は明確といえませんが、ひとまずこれぐらいの認識を持っていればいいのではないでしょうか?

  • 小型回遊魚以外のまだ小さい魚はなるべくリリースを検討してね
  • 抱卵してると思われる魚はなるべくリリースを検討してね
  • カサゴ、メバル、アイナメなんかの根魚は特に慎重なリリースを検討してね
  • 無駄なくで食べきれる分だけ釣って持って帰ってね
  • 自治体が決めているルールを確認してできるだけ守ろうね

釣りに慣れてくればそれぞれの経験からそれぞれの基準ができてくるはず。生物多様性のためにも、他人が釣りを楽しめるようにするためにも、そして自分自身が釣りを楽しめるようにするためにも資源の保護は必ず頭に入れておくべきことだと思います。

自分のリリース基準を人に押し付けない

どうやら人によってブレがあるリリース基準。それを判断する物差しは人それぞれ長さが違うし、場合によってはその物差しに刻まれた単位すら異なるかもしれません。

そして自分自身が決めたリリース基準。信念をもってそれを守るのは未来を見据えた立派な行為だと思います。ぜひ続けてください。私は私で自分のそれを守り続けます。

しかしその自分基準を他人に押し付けるべきではない。

例えばSNSで根魚が大量に並べられた写真がアップされ、どこからともなくリリース警察が湧いてきては炎上するという釣りSNS界の定例行事のようなものがあります。写真の撮り方次第でどうとでも見える魚に対して、自分の物差しをあてては小さいだの産卵前だの一人で食べきれるかだの。果てには行間にすら書いてないことを勝手に想像して文句をつける。

大量の魚が並んだ写真を見ると不快感を感じる。それは分かります。でもその魚がその後どう扱われたか、釣った人がどう考えてるかなんてわずかな写真と文字からくみ取ることは不可能。自然への感謝の気持ちが無い、無駄な殺生だ、乱獲だ、そんな言葉が出がちですが、それは多くの場合あなたの想像であり勝手な押し付けです。

「なんか気に入らないヤツだから理由をつけて叩きたい。みんなやってるし。以前に悪いことをしたやつだから今回も間違っているに違いないぞ。ほらみろ、過去の発信を見たら同じことを繰り返してるじゃないか。」

私も性格が悪いからそいういう感情は理解できますし、率直に言ってネットウォッチは好きです。

でも、漁船の網の中で押しつぶされそうなほどぎっしり詰まった大量の魚、釣り人が釣って堤防に並べられた大量の魚。受け取る印象は違うかもしれませんが、果たしてそこに本質的な違いはあるのでしょうか?釣り人と同様に漁師にも文句をつけてるなら筋が通ってるなと思いますが。

よく「食べきれる量」という自分の物差しでペチペチと人を叩いてる人がいますが、そんなのは人それぞれで家族構成も違うわけで、赤の他人が決めるのはおかしい。「この道の制限速度は決まってないけど、お前の車は俺の車より速いからスピード違反な!」って言うとの変わりません。まったくもって理不尽。シンプルに言いがかりです。

一方でSNSに写真をのせる方も「ちょっと考えてからやれよ、センスないな」とは思いますが。

初心者は温かい目で見守ろう

最初はルールを知らないし周りを見る余裕もない

釣りに慣れてくると、だんだん余裕が出てきて周りの様子が冷静に見られるようになってきます。

すると、空気が読めない自分勝手な釣りをしていたり、投げ方が下手で周囲と絡ませたり、雑魚としか思えない魚が釣れただけで騒いだり。そんな人が目についてイライラするようなこともあるでしょう。

でもちょっと待ってください。それは釣りを始めたばかりの初心者ではないですか?そしてかつてのあなたも彼ら彼女らと同じだったはずです。ルールやマナーを知らないのは仕方がありません。下手なのも仕方ありません。

どうかまずは温かい目で見守って、目に余ることや危険なことをしているようであれば声を掛けるなどしてあげてください。もし釣り方などで困って助けを求められるようであれば出来る範囲でアシストを。余計なお節介は控えて。

SNSなどで見かけることがありますが、そういった初心者に対してレジャーだのシーズンアングラーだのニワカだのシロートだの、明らかにさげすんだ見方をしている人も残念ながら居ます。いかにも邪魔だと言いたげな。

いやちょっと待て、あんたも最初は初心者だったろう?右も左も分からなかっただろう?それとも最初から竿を握って生まれてきたのかい?そいつはすげえな!釣りが上手いと偉いのか?大きな魚が釣れたら勝ちなの?

とにかく最初はだれでも初心者なんだから、まずは受け入れましょう。

子供をほったらかしにしない

初心者の方は家族で釣りを始めるパターンも多いと思います。

家族一丸となって魚を釣り、そしてその日に釣れた魚を調理して食卓を囲む。楽しみや喜びが共有でき、家族でやる趣味としてはとてもいい選択だと思います。

でも釣り場は危険がいっぱいです。

そもそも水辺はめっちゃ危険。堤防の作りによっては、海に落ちたら容易に上がってこれないような構造になっている場合があります。落ちたら死ぬ、それぐらいの気持ちで子どもを見守りましょう。

また、釣り具はそもそも危険です。針は尖ってるし、オモリは固いし、ルアーは弾丸のように飛ぶし。みんな細心の注意を払ってそれらを扱いますが、ヒヤッとした瞬間は誰しも経験しているはず。

子どもにいろいろな経験をさせてあげたいという気持ちはとても尊く、そして深く理解できるのです。でも子どもの安全を第一に見据えて、釣り場でどうするべきかを考えましょう。その結果、子どもが小さいうちは子どもとの釣りを諦めるという選択があるかもしれません。

また、子供の行動にイラっとしても言葉を慎みましょう。特にその子の親御さん。聞くに堪えないような言葉を子供にぶつけている光景は見苦しいです。屋外でも意外と遠くまで聞こえるんだよ。ここは家の中じゃないんだヨー

釣り場は危険がいっぱいだから目を離さないようにしましょう

釣り場は危険がいっぱいだから目を離さないようにしましょう

親が釣りに真剣になるあまり、いうことを聞かない子供に「遊びに来てるんちゃうぞ!」と言い放った光景を見たことがあります。「いや遊びやろ」と心の中でツッコミを入れると同時に「分かる~」と共感したものです。まあでも遊びですよ、釣りは。余裕を持って!

釣りは一人で成立するものではないから

長くなりましたが、釣りを始めるにあたって知っておいてほしいことを書かせてもらいました。私基準の考えなので、何言ってんだコイツって人もいるでしょう。それも仕方ない。

最後にちょっと想像してみてください。

釣りはあなた一人でだけで成立するものではなく、釣り人も含めそれ以外にも見えない多くの人が関わっていることを。

どんな釣り場でも何らかの形で管理者がいることがほとんどだし、周囲には釣りに関係のない住民も住んでいます。堤防なら釣り以外の用途で使う人もいます。そこで自分がどうふるまうべきかということを客観的に考える必要があります。

ふとゴミを置いていきたいという気持ちが湧くこともあるでしょう。分かる、分かるよ。臭いもんな。汚いもんな。そりゃ持って帰りたいかどうかと聞かれたら持って帰りたくないのが本音。でもそのゴミがその後どういう経過を辿るか想像できれば放置なんてできないはず。不思議な力で勝手に消えたりしません、ゴミは。

釣りは本来自由であるべきものです。でもそれはマナーとルールを守ってこそ。守るべきことはしっかり守って楽しみ、将来に釣り場と釣り文化を残しましょう。