釣った魚を調理するうえで避けて通れないのが内臓の処理。そしてその強烈な臭い。
何とか処理してキッチンの水切りに入れておくと、翌日には悪臭としか表現できない不快な臭いを発するようになります。こりゃだめだとビニール袋に詰めて密閉したつもりでも臭いが漏れる。どういうわけかビニール越しに汁も漏れてきて最悪。
この厄介な内蔵ゴミ。臭いも汁も一切漏らさないパーフェクトな捨て方があります。それは冷凍庫で凍らせる方法。
魚の内臓はゴミの日まで凍らせておこう
凍らせるのが最も確実で安全な処理方法
魚を処理する過程で生ゴミとして捨てざるを得ない魚の内臓。

どう処理しても常温保存は無理
自分の畑や広大な土地があるなら埋めて土に還すという手段もあるでしょう。しかし都会ではそうもいきません。
どんなに密閉しようが家の中に常温で置いておくと、翌日には耐えがたい悪臭と汁を垂れ流し始めます。
外に出してもにおってくる
こりゃたまらんとビニール袋に入れて家の外に出しても、猫やカラスに荒らされるのがオチ。ハエもたかる。ペールに入れても匂いは漏れてくるし、いざゴミの日に蓋を開けると卒倒しそうな悪臭がプーン!コバエもブーン!特に気温の高い夏場は一日で地獄絵図です。
臭いも汁も漏れない処理方法はないものか…あるんです!
凍らせれば臭いも汁も漏れない
そう、内臓を凍らせてしまえばいい。臭いが悪臭になる前に凍らせる。汁がしたたる前に凍らせる。
これでゴミの日まで清潔に、そして快適に内臓を保管することができます。冷凍庫にまだ物が入る余裕があるならぜひこの処理方法を試してみてください。
その手順とコツを説明します。
魚の内臓を凍らせる方法
実際に魚の内臓ゴミを凍らせて処理する手順を見ていきましょう。
魚の内臓を凍らせて捨てる手順
- 水きりネットなどに集めてなるべく水分を切る
- ビニール袋にいれる
- ビニール袋を新聞やチラシで包む
- さらにビニール袋にいれる
- 冷凍庫にいれて凍らせる
- ゴミの日に捨てる
厳重に包んで凍らせるだけ
なるべく水気を切ったうえでビニールで密閉し、冷凍庫で凍らせる。それだけ。ビニールを2重にして間に新聞やチラシを挟むのがより安全に保存するコツです。
手順を補足していきます。
水きり袋などに集めてなるべく水分を切る
おすすめは紙製の水切り袋
内臓を含めた魚の不要な部位。
そのまま流しの排水口ネットに入れていくとすぐにいっぱいになって詰まるので、そことは別に捨てる場所を用意しておいた方が良いです。おすすめは広げて立てられるタイプの紙製使い捨て水切り袋。

魚の頭や骨などは尖った箇所が多く、網状になった水切り袋だと引っ掛かりやすい。また、柔らかいビニール製だとヒレや骨が刺さっていとも簡単に裂けてしまう。そのため、魚の処理にはこのような耐水紙タイプの丈夫な水切り袋が便利です。
100円ショップでも同じタイプが10枚入りで売られていたりします。昔ながらの三角コーナーを置くぐらいなら、魚にしろ野菜にしろこっちの方がおすすめ。常備しておきましょう。
なるべく水分を切るのがポイント
水切り袋に捨てる部位を集めたら、軽く絞ってなるべく水分を切っておきましょう。ゴミのかさが減りますし、万が一袋が破れても水分が少ないので被害を最小限にできます。

ビニール袋に入れる
しっかりしたビニール袋に入れる
あらかた水分が切れたらビニール袋に入れて密封します。

のちほどもう一回ビニール袋に入れて二重にしますので、この段階ではまだ仮の密封。かさが減るよう、なるべく空気を抜いておくのがコツです。
ビニール袋はイワタニのアイラップがおすすめ
ここで使うビニール袋として、安価で気軽にじゃんじゃん使えてなおかつ高性能なアイラップの常備をおすすめします。
一見すると普通のビニール袋ではありますが、アイラップはただのビニール袋ではありません。マチがついているので見た目以上に大容量だし、耐久性もスーパーでロール状になっているビニール袋とは段違い。
また耐冷温度がマイナス30度なので、ご家庭の冷凍庫で使う分には問題ない耐久性があります。よく冷える冷凍庫に入れた場合、適当なビニール袋だと極端に強度が下がって持ち上げただけて破れたりするので注意してください。
私はそれで失敗し、冷凍した内臓の塊が落下して冷凍庫内の引き出しに直撃させてしまった苦い思い出があります。結構な重さがあったので引き出しにはヒビが入りました…
繰り返しますが内臓を捨てるのに使うビニール袋はアイラップがおすすめです。
ゴミ捨てはもちろん、おろした魚の身の保存にも使えます。フライを作る時など、粉と魚をアイラップに入れてフリフリすることで衣付けにも役立ちます。締めサバなど魚の酢漬けを作る時にも有用。もちろん魚以外の調理にも役立ちます。
魚調理以外でもご家庭への常備をおすすめします。私はもうアイラップなしに快適な生活ができません。
ビニール袋を新聞紙やチラシで包む
保護材と給水材を兼ねた紙で包む
ビニール袋1枚だけだと頼りなく、このまま冷凍庫に入れるのは不安です。
なぜならヒレや骨など尖った箇所があれば簡単に破れてしまうからです。たとえ穴が空いてなくても袋の素材によっては汁が漏れてきます。これはビニールの上からさらに新聞紙やチラシで包むことにより防止できます。

新聞紙やチラシで包む目的は2つ。
- 魚のヒレや骨でビニール袋が破れないよう保護する目的
- 水分が漏れてきた場合に一時的な吸水をさせる目的
ひとつは破れ防止の保護材として。魚は尖った部位が多いので、いとも簡単にビニールをぶち破り穴を開けます。それを紙素材で保護するわけです。乾いた紙は強い。
そして万が一ビニールを破って水分が漏れてきた時の吸水材としても役立ちます。冷凍される途中で汁が漏れてきた場合でも紙が吸水しますし、温度が下がっていれば吸水した個所はすぐに凍っていきます。これで安心。
凍らせるのでほとんど関係ないですが、印刷のインクで悪臭を軽減する効果も期待できます。
さらにビニール袋に入れる
袋を二重にする
新聞紙で包んだものをさらにビニール袋に入れてしっかりと口を閉じます。

不安なら3重でも何重にでも入れればいいでしょう。厚めの素材のものを使うとより安心。
ここまでやればもう大丈夫です。冷凍せずこのまま捨てても一日ぐらいは臭いも汁も漏れてきません。秋から春ぐらいの気温が低い時期でゴミの日が翌日ならこれで十分かも。
冷凍庫に入れて凍らせる
内臓が入ったビニール袋は冷凍庫へ入れて凍らせます。

ゴミを冷凍庫に入れる抵抗感はそのうち消える
最初は冷凍庫にゴミを入れるということに抵抗を感じるはず。
分かります。食材とゴミを同居させるなんてとんでもない。特に真新しい冷凍庫にゴミを入れるのはちょっと嫌。だいぶ嫌。
でも、ビニール袋×新聞紙×ビニール袋の3重構造なので、そこから何かが漏れ出るということはほぼない。万が一破れても、漏れ出す前に外側から凍ってカバーされるから大丈夫。
完全に凍ってしまえばそれがゴミだという認識がかなり薄れます。やってみたら分かるはず。そもそもさばく直前までは同じ魚の部位だったのを思い出してください。それを食材とゴミに分けて認識しているのは人間の都合でしかありません。さあ呪いは解けました。
ゴミの日に捨てる
なるべくゴミ袋の内側へ
ゴミの日がきたら、忘れないように冷凍庫から出して捨ててください。しっかり凍っていれば忘れたとしても特に問題ありませんが、ゴミを手元に置いておきたくないでしょう。
念のためゴミ袋に入れる際はなるべく露出しない内側へ押し込みましょう。回収まで外に置いておくうちに溶けて匂いを発し、カラスなどの動物に狙われ荒らされる確率が上がってしまいます。内側ならそれを遅らせることができます。
ゴミ回収をしてくれる方々に迷惑が掛からないよう、できるだけ配慮しましょう。
実録!こんな内臓の捨て方は役に立たない
ここで紹介した方法は私が釣りをして魚料理を学んでいく中でたどり着いた最適解です。
しかしネットで魚の内臓の捨て方を調べると、冷凍させる以外にもいろいろな解決方法らしきものがでてきます。果たして効果はあるのか?釣り初心者のころ、それらを一通り試した私が検証します。
新聞紙やチラシの消臭効果は短時間のみ
魚の内臓を捨てる方法としては定番といえる、新聞紙やチラシで包んでおく方法。印刷のインクに消臭効果があるとされています。もちろん私も試しました。
翌日には耐えがたい臭さになる
なるほど、たしかに効果があるというのを実感。定番となっているだけのことはある。しかしそれはその日か翌日のうちに捨てるなど短時間であることが前提。
やはり常温のまま日をまたいだ場合は匂いも汁も漏れてきます。ビニール袋で密閉してもビニール越しに見える新聞紙はクサイ汁でビッショビショ。これだけではやはり不十分といえます。特に気温の高い時期は基本NGとしたいところ。
でもこの新聞紙包みと冷凍を組み合わせれば完璧という、ハイブリッドな処理方法に至るきっかけとなりました。
クエン酸の効果は期待できない
酸性の成分をかければ臭いが消えるという言及もみかけます。

魚のにおいのもとはアルカリ性だから、酸性の成分で内臓のにおいが消えますよ!いかがだったでしょうか?
翌日には地獄のようなにおいに
そのような情報を見つけ、百円ショップで手軽に入手できる清掃用のクエン酸を内臓に振りかけてみました。そしてゴミの日まで常温で置いておいたところ…まあダメでした。翌日には内臓の悪臭が圧倒的勝利。焼け石に水でした。
衣類に付いた魚由来の汚れや匂いを取るという場合には十分な効果がありますので、魚の匂いに対してのクエン酸は確かに効果があります。
ただ内臓の匂いがキツ過ぎるんだ…
土に埋めてもくさいし虫が湧く
そうだ!土に還せばいいんだ!土中のバクテリアが分解してくれるはず。
少量の土では対処できずウジ虫が湧いた
そう思い立って土に埋めてみたことがあります。とはいえマンション住まいだったので、ベランダに置いていた家庭菜園用のプランターに。せいぜい20リットルぐらいの容量でした。
所詮は小さなプランター。深く埋めることはできないので、できる範囲の穴を掘ってその中にサバの頭と内臓をポイ。見えないようにしっかり土をかぶせました。
そして3日後。
そういえばあれはどうなったと思い出してプランターを見ると、土に真っ白な米粒が点々と。あれおかしいなと思ってよく見ると動いています。そうです、ウジ虫です。ハエが卵を産んで幼虫が孵ったのです。匂いもきつくなっていました。
川釣りに使うエサでサバ虫というものがあり、それはつまりのところウジ虫そのものなんですが、ほんとにサバに湧くんだと感心したものです。
結果的にプランターに入る程度の土の量では太刀打ちできませんでした。
大きなお庭や畑などに深く埋められるのならならやってみる価値はあると思いますが、都会では難しい方法だといえます。
釣り場での処理は慎重に
厄介な魚の内臓ですが、冷凍することで快適に捨てられる方法を紹介しました。ここでひとつ注意喚起があります。
釣り場での内臓処理について
釣った魚ならその場で内臓を除去するという手段があります。
海へ捨てるのはNG行為
ご年配の釣り人に多いのですが、その場で手際よく頭を落として内臓を掃除してあとは持ち帰るだけの状態まで処理されることがあります。そして出たゴミはそのまま海へ還す。なるほど効率的。
しかし厳密に言えば不法投棄とみなされる可能性があります。
海に還すと言えば聞こえがいいですが、捨てていることには変わりはありません。また、内臓を捨てることで魚の血の匂いが水中に漂い、魚が逃げるという考えの釣り人もおられます。実際どれほど影響があるのか分かりませんが、迷惑と感じる人もいるわけです。
逮捕に至ることもある
常識の範囲内であればどうこう言われることはまずないのですが、業者が度を越えた量を捨てて逮捕に至ったというニュースをたまに聞きます。現場で処理をすること自体は問題ないですが、内臓などは基本持ち帰るべきでしょう。
地面に落ちた血などは洗い流すのを忘れずに。
時代は変わっている
昔はその場で捨てても良かったと思う人もいるでしょうし実際にそうでしたが、なにかとコンプライアンスが叫ばれる時代です。考えを変えて周りを見たほうがいいし周りの目も気にした方がいいでしょう。
捨てる前の内臓処理についてはこちらの記事に詳しくまとめています。