南芦屋浜ベランダの復旧工事と釣り場解放について

未だ記憶に新しい2018年の台風21号被害。

強風と高潮によって大阪湾北部にあるすべての釣り公園が被害を受け、一時的あるいは長期的に閉園せざるを得ない状況になりました。沖提への渡船施設も大きなダメージを受け、しばらくの間渡船中止となりました。それ以外の釣りができる波止や護岸も大きな被害を受けました。

多くの釣り場は台風通過後に急ピッチで復旧が行われ、ほとんどが元通りになりつつあります。

そんな中、やはり気になるのは台風上陸直後からずっと閉鎖され立ち入り禁止となっていた南芦屋浜ベランダ。台風被害から2年以上経っても再開のめどが立っていませんでした。

しかし2019年末から本格的な護岸改修工事が開始されました。途中で工期の延長があったものの、ようやく今後の見通しが立ちました。釣り場としてみる改修工事完了後南芦浜ベランダについて、現段階で分かる情報をまとめます。

この記事は2021年1月現在の「芦屋市公式ホームページ」「高潮対策 南芦屋浜護岸改修工事」に掲載されている情報をもとに構成しています
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今後も南芦屋浜ベランダを釣り場として使えるのか?

阪神間で釣り禁止場所が増える中

かつて釣りができていた、あるいは黙認されていた阪神間の釣り場に、釣り禁止の波が押し寄せています。

ゴミの放置やマナーの悪化、釣り人の間ではそれらが禁止の原因になったという見解を持っている人が多くいます。しかし私はそれに関する公的な発表をみたことがないので憶測であれこれ書くつもりはありません。仮想敵を設定してグダグダ言うつもりもありません。

「担当者らしき人に電話で聞いた」レベルの情報を個人が流布して情報が正確ではなかった場合に責任を取れますか?コロナで釣り人口が増えたからって初心者がゴミを増やしてるとか責任転嫁して決めつけるのも良くない!

ただ、釣り人の振る舞いが周囲に悪い印象を与えているのは想像に難くないこと。有料釣り場以外で釣りをすることにより、釣り人がその場所にどんなメリットをもたらすかと問われれば答えに困ります。私自身ぐうの音も出ません。

閉鎖中の南芦屋浜ベランダも釣り人による不法侵入や迷惑駐車があったようで、自治体や地域住民からの心象決して良くないはず。改修工事完了後、なしくずしに釣りが禁止となる可能性もゼロではない。

西側石畳の南端に張られた立入禁止の張り紙

公的な情報で今後の釣りについて明言された

しかし護岸改修工事について進捗状況などを発信する公的なサイトが2019年末に公開され、そこに今後の釣りに関する情報も記載されました。

ベランダの東側と南東角付近は工事が続きますが、ベランダの大部分は2020年の8月31日に工事完了予定となっています。その後いずれかのタイミングで立ち入りが解禁されるものと思われます。

当初は2020年の8月31日で工事が終了する予定となっていましたが、工事内容に変更が生じたようで、半年ほど終了時期が延びるようです。現段階では2021年3月末が終了予定日となっています。

ただしこの3月末以降も海中への被覆ブロックの設置工事が続くらしく、実際にベランダの護岸に入ることができるのは6月末、東側を含めた完全な終了予定は2021年夏ごろと考えておいたほうがよさそうです。

工事の詳細については、こちらのページにある、高潮対策工事NEWSを随時ご確認ください。

さて、工事終了後はどうなるのでしょうか?またあの場所で釣りをしていいのでしょうか?

これからも南芦屋浜ベランダで釣りができる!ただし…

工事完了後も引き続き釣りが可能

工事完了後も以前のように釣りができるかどうか。まず結論としてはこうなります。

護岸改修工事完了後は引き続き釣りが可能

出典:高潮対策 南芦屋浜護岸改修工事 説明会次第(3.高潮対策工事後のビーチ護岸・南護岸の管理について)

工事完了後は引き続き南芦屋浜ベランダで釣りをしてもいい。兵庫県と芦屋市が作った資料にはっきりとそう書かれています。よかった!

実はこの記述を見てちょっと驚きました。

公的な文書で「ここで釣りをしてもいい」ということが明文化されていたからです。京阪神沿岸の有料釣り場以外の釣り場で釣りが可能と明記されている公的資料は非常に珍しい。いままであったのは神戸空港の護岸ぐらいじゃないでしょうか?

そりゃまあテレビ番組で釣り場として紹介されているし、誠実さの化身のような伊丹さんもニッコニコで「サヨリの聖地!」っておすすめしてるし。釣りをしたらアカン場所ではないことは分かっていました。でもはっきり「釣りOK」という根拠を今までに見たことがなく。

これからの時代、釣り公園、海上釣り堀や管理釣り場以外の場所では堂々と釣りが出来ないのかと思っていたところ、思わぬところからの福音です。

ただしこの資料にこんな記述もあります。

夜から早朝は閉鎖され釣りができなくなる

台風被害以前は、イベント開催時を除き24時間365日自由に出入りできた南芦屋浜ベランダ。工事完了後はいままで無かった制限が加えられます。それがこちら。

原則として夜間は閉鎖

出典:高潮対策 南芦屋浜護岸改修工事 説明会次第(3.高潮対策工事後のビーチ護岸・南護岸の管理について)

現段階ではあくまで予定ですが、以下の時間において夜間閉鎖されるということになっています。

護岸供用後は近隣の住環境と護岸利用者の安全・安心に配慮して、午後8時~午前6時まで夜間閉鎖する予定

引用:芦屋市/南芦屋浜における高潮対策

つまり朝の6時から夜の20時まで解放されて釣りができるということになります。

周辺の公営駐車場については、ベランダの解放より短い朝の7時から夜の19時まで駐車できるようです。その時間外は周辺道路も含めて閉鎖となるようなので、時間を過ぎれば出庫すらできなくなるはず。ミズノのタイムズ駐車場は民営なのでそのまま24時間営業になると思われます。

夜間閉鎖について現時点での情報をまとめるとこのようになります。

夜間閉鎖導入に伴う南芦屋浜ベランダでの釣り可能時間

夜間閉鎖導入に伴う南芦屋浜ベランダでの釣り可能時間

2021年1月21日時点での芦屋市ウェブサイトに掲載されている情報を元に作成:芦屋市/南芦屋浜における高潮対策

南芦屋浜でのタチウオ最盛期は例年11月ぐらい。そしてその時期の日没は17時ごろ。このまま予定通りの閉鎖時間になれば、夕まずめのタチウオは今までどおり狙えます。冬が近くなると17時前には日が沈むので、駐車場の閉鎖時間を加味しても夕まずめは余裕で射程圏内。朝まずめも冬に近づいて日の出が遅くなれば狙える時間帯。しかし、かつてのように夜通しの釣りは無理となります。

南芦屋浜名物のサヨリ釣りは問題なく継続できそう。

住宅街に近いベランダは仕方ないにしても、周辺がほぼ緑地帯で人家が遠いビーチまで夜間閉鎖の予定らしく、これにはやはり異議を唱えている方もおられ、署名活動が展開されています。

立地条件を考えると夜間閉鎖は仕方がないこと

個人的な見解ですが、夜間閉鎖自体は仕方ないことだと考えます。

南芦屋浜ベランダは住宅街と隣接したエリアです。行ったことがある人は思い出してみてください。数十メートル背後には閑静な住宅街が広がっています。この点が他の釣り場と大きく異なるところ。

空き地だらけだった数年前と比べたら、南芦屋浜の南側も確実に住宅街として成り立ってきています。夜間閉鎖はベランダ周辺地域の意思を最大限に尊重して決定されるべきことであり、よそ者の釣り人が口を挟める余地はありません。

逆の立場で想像してみてください。

真夜中に自宅の数十メートル先で訳の分からないことをしてる人が大勢居るという状況を。毎日。朝まで。釣りに理解や興味が無ければ不快でしかない。実際、高潮対策工事の説明会であった質疑応答の資料を見ていると、釣り人が迷惑な存在として周辺住民に認識されていることが否応なく伝わってきます。

「いや、竿を出している海辺から人家までは結構な距離があるぞ?声なんて届かないだろう?」と思うかもしれませんが、駐車場は道路を挟んだ家の目の前だし、最寄のコンビニに行くには住宅街を通過しないといけない。人の動きがある以上、深夜早朝はどうやったって迷惑がかかります。

俺はきっちり配慮するから迷惑をかけないというモラルがある人が大多数だとは思いますが、あの広大なエリアでみんながみんなルールやマナーを守れるかというとそれは事実上不可能。今までいろんな釣り場を見てきたなら分かるはずです。

じゃあ有料化して釣り公園にすればいいじゃないかという意見もありますが、それは釣りのことしか見えていないエゴな考えかもしれません。公園なんだから散歩したい人も夕日を眺めたい人もいるわけで、有料化は釣りに関係ない人を排除することになる。お金を取る以上は管理責任も大きくなるから、それならいっそ釣り禁止にしたほうが自治体としては楽かもしれない。

余裕をもって夕まずめを狙える時間帯を設定してもらえただけで有難い。そう思って受け入れるべきです。

不法侵入に対する懸念は必要ないはず

立ち入り禁止期間中、どこからどうやって入ったのか分からないけど、不法侵入をして釣りをしていた人間がいたわけです。だから今後の夜間閉鎖も当然のごとく破られて釣り禁止になる…という懸念があるかもしれません。

でもこれは大丈夫だと思います。

護岸改修工事完了のあかつきには、ベランダへのアクセスを遮断する壁が設けられます。もちろん本来は海水の侵入を防ぐ壁。図面を見る限り、そこへのアクセス経路は壁を乗り越える形で設置される数か所の階段と壁の一部を開放した防潮門扉のみ。夜間はそこを物理的に締め切るようです。

でもその壁、大人ならなんとか乗り越えられそうな高さ。やはり不法侵入が発生するのではと思われますが、それにはこんな対策がとられることになっています。

  • 監視カメラの設置
  • 有人による夜間警備(3月~11月:夜間閉鎖時間帯、12月~2月:開閉時)

3月~11月という夜間警備の設定時期が海釣りシーズンと重なります。護岸内の清掃、場合によっては路駐対策もとるとの記述もあり。これにもそれ相当なコストがかかるわけで、重ね重ね申し訳ない気持ち。

ここまで対策を取られてなお不法侵入すればもうストレートに通報案件なわけで、そのリスクを冒してまで釣りをするやつは居ないだろう。と思いたい。

ちなみに監視カメラについては以前からビーチのほうには設置済み。うっかりビーチで釣りをしたり泳いだりするとすぐさまスピーカーを通して怒られるというあれですね。

ということで不法侵入はあまり心配しないでいいと思います。ただ、朝のオープン時と夜の閉鎖時に混乱が起こらないかという点で少し不安が残ります。確実に釣り場を確保したいのはみんな同じだし。ふたを開けてみないと分かりませんが。

釣りをさせてもらえているという気持ちを忘れずに

先ほど書いたように、自治体にとって南芦屋浜ベランダで釣りをさせることのメリットはほぼゼロ。私なんて芦屋市はおろか兵庫県外の住人ですし、そこの税金で維持管理されているであろう場所にフリーライドしていると考えると肩身が狭く感じることもあります。

対策工事の資料中には「釣り利用による迷惑行為の防止」という項目があることから、釣り人はそもそも迷惑な存在という前提でとらえられています。対策工事前に現地で行われたと思われるアンケートの回答が資料の最後に掲載されていますが、そこにも釣り人に対する苦情が散見されます。

にも関わらず!にも関わらずですよ?

「ここで釣りをしてもいいよ」と言ってくれてるわけです。朝早くからそこそこ遅い時間まで釣りをしていいよと。こんな寛大な措置ありますか?夜間閉鎖に不満を持つ人がいるかもしれませんが、釣り人に最大限譲歩してくれていると思います。

漁港でもどこかの岸壁でもそうですが、「釣りをさせてもらっている」という気持ちは忘れたくないものです。

工事完了後の釣り場はこうなる

南芦屋浜ベランダでの釣りについて、現段階で分かっていることを再度まとめます。

  • 改修工事終了は2020年8月31日の予定→2021年3月末の予定
  • 3月末以降も一部で工事が続くため釣りが出来るようになるのは2021年の6月末ごろ、全面的な解放は2021年夏以降
  • ベランダの護岸改修工事後も釣りをすること自体は可能
  • ビーチの東西にあった石畳の突堤(ビーチ護岸)はビーチ内同様釣り禁止に
  • 新たに20時から6時の夜間閉鎖時間が設定されその時間は立ち入り禁止
  • 夜間閉鎖時間に連動して周辺の公営駐車場も閉鎖(護岸の閉鎖時間より前後1時間長くなるので注意)
  • ベランダ以外も全島で護岸改修工事が行われるが具体的なことはこれから

ネガティブなことはひとまず置いといて、工事完了後はどんな釣り場になるのか期待をもって見ていきたいと思います。

既存の釣り場ではありますが、新しく生まれ変わるというワクワクもあります。釣り場の構造について基礎はそのままだと思われますが、その上にある構造物は床面も含めて一新されるようです。

また足元の海底地形も耐震目的で構造が変えられるようです。

防潮堤が2段構えで設置される

工事完了後のイメージ画像を貼りたかったのですが、管理事務所から許可が降りなかったのでリンクをします。まずはこちらをご覧ください。

南護岸イメージ

言うまでもなく改修工事の目的は釣り人排除ではなく高潮対策です。21号の台風被害で南芦屋浜の住宅街が水浸しになり、周辺の港から漂流したコンテナが打ち寄せられた様子は大きなインパクトを残しました。

南芦屋浜地区 台風21号被害受け護岸かさ上げへ

高潮被害というと教科書に掲載された白黒写真でしか見たことがなかったのですが、よもや自分の知っている場所で起きようとは。

その高潮から街を守るため、南芦屋浜ベランダの東西を横断するように巨大な防潮堤が築かれます。しかも2段構えで。松林の近くに後壁として低い防潮堤が1本、かつて釣りができた海に近いスペースの後ろに中壁として高い防潮堤が1本。ざっくりしたイメージですいませんが、こんな位置関係です。

後壁と中壁のざっくりしたイメージ

まるで要塞のような物々しさですが、強大なパワーの波に耐え、海からの海水侵入を防ぐためのものだから当たり前かもしれません。

釣り場となるスペース

海に近い中壁の防潮堤は図面から読み取る限り3メートル近い高さがあります。相当大きな建造物で、工事終了までに何カ月もかかるのが納得できます。東西に長くなるわけですが切れ目が数箇所しかないので、海に近づくためには遠回りが必要になりそう。

この中壁の防潮堤と釣りができるスペース、平磯海づり公園を思い出してもらえれば近いイメージになるんじゃないかと思います。

平磯海づり公園

漂着したコンテナによってなぎ倒された転落防止柵はおそらくすべて新設され、岸壁間際の一段深くなっていた箇所がなくなりフラットな床面になるようです。

陸側にも防潮堤が設置される

陸側に近い後壁の防潮堤は海の眺望を確保するため大人の身長よりやや低い高さになり、これまた眺望を確保するため一部がアクリル板になります。駐車場とトイレがあった中央付近に防潮門扉が設置され、昼間はそこが開放されるようです。反対に閉鎖される夜間や高潮警戒時は閉じられると。

その他に数箇所、壁を乗り越える形で階段が設置されるようです。ここも平磯海づり公園に構造が似ていますね。

海底の地形がちょっと変わる

工事内容の中には「被覆ブロック据付工事」という工事も含まれています。

被覆ブロックというのは、海底に沈めることで捨石の流出を防ぐ目的を果たすブロックのようです。

形状にバリエーションがあるようですが、いずれにせよ比較的隙間が多くできるブロックのようなので、そこにエサとなる生き物や根魚が居付けば生物の多様性が広がるかもしれません。今まで釣れにくかった魚が増えるかもしれませんし、あるいは根掛かりが増えることになるかもしれません。

工事中の現地を視察をされた兵庫の県議会議員さんのツイートにある工事概要の写真を参照すると、耐震のために海底の捨石を拡張、つまり積み増しするように見受けられます。その捨石を覆って保護するのが被覆ブロック。

ということは従来より水深が浅くなるのは確実と考えたほうが良さそうです。概要図の精度がどこまで正確か分かりませんが、それを参照する限りは1メートル程度の厚みがありそう。かつて南芦屋浜ベランダ足元付近の水深は4ヒロ程度、つまり6メートル程度だったので、もともと浅かった釣り場がさらに浅くなる印象。これはネガティブな要因になるかもしれません。

この被覆ブロックの据付をもって、南側の護岸工事がひと段落付くようです。予定ではこれが2021年の6月いっぱいとなっており、その後ようやく釣り場として解放される予定となっています。

さしあたり今わかっている釣り場の構造は以上です。

釣り場を釣り場として残すために

昨今の釣り場事情から、マナー違反が横行すればここも釣り禁止になる危うさを抱えています。そうならないために、釣り場を釣り場として未来に残すために、釣り人も釣具屋も釣具メーカーも意識して動いていかなければなりません。未来の釣り人たる子どもたちに釣り場を残さねばいけません。

少なくともゴミは持ち帰ろう。もうこんな光景は見たくない。

かつての南芦屋浜で常態化していた光景

再開後はゴミ箱が設置されるようですが、車で来ている人はそれを使わずなるべく持ち帰りたいものです。かつて一時的にゴミ箱が設置されていたことがありますが、残念ながら全くキャパ不足で捨て方も酷いもんでした。車で来てるならゴミ袋にまとめてポンと積むだけでしょ?持って帰ろうよ!

個人的な思いですが、ここ南芦屋浜ベランダは私が20年ぶりの釣りを再開した思い出深い場所です。2014年のことでした。

ここで20年ぶりのサビキ釣りをしてカタクチイワシを釣り、マアジを釣り、タチウオを釣り、新しくサヨリ釣りを覚えました。今こうしてこのブログを書いているのも南芦屋浜という釣り場があってこそ。混雑するから避ける人も多いと思いますが、私には大切で特別な場所です。

何十年先もここで釣りができますように。