大阪湾の波止からタチウオを狙う仕掛けを大別すると3つに分かれます。
まずはワインドを筆頭とした各種ルアーでの釣り、電気ウキを使ったウキ釣り、そしてテンヤの引き釣り。この中において地味な存在ではありますが、最も歴史が深いのが引き釣りです。そして最も高い確率で釣果が見込める釣り方といえます。
波止用のテンヤは大小様々なメーカーから発売されており、秋になると関西圏にある釣具屋の店頭を賑わしています。その中で人気があるテンヤのひとつがシマノから発売されている太刀魚ゲッター。
従来からある波止用タチウオテンヤとはちょっとスタイルが違うのですが、お手軽さとカスタマイズ性の高さが魅力。価格の高さがネック。
そういえばシマノのライバルであるダイワからは波止用のタチウオテンヤが出てないよなあと思っていた2017年の夏、満を持してダイワから波止用タチウオテンヤが登場しました。
その名は「快適波止タチウオテンヤSS」。
DAIWAの快適波止タチウオテンヤSSとは
ダイワから発売されたタチウオテンヤの新製品
近年、波止用タチウオテンヤを使った引き釣りが人気を盛り返している兆候があります。今までは比較的小さな釣り具メーカーのものばかりでしたが、大手メーカーも参入し始めました。
そして2017年、ついにダイワが波止用タチウオテンヤに参戦しました。それが快適波止タチウテンヤSS。
SSはサイズのことではない
ちょっと気になるのは商品名の最後についた「SS」。
サイズのことだと思いますよね。
なるほど小さめサイズのラインナップなんだなと思ったら1号から6号まで幅広いサイズが用意されていて、小ささに特化したわけではなさそうです。
じゃあSSとは何かと言いますと、このテンヤに使われている針の仕様が「SaqSas(サクサス)」というもので、それを略してSSということ。サクッと刺さる脅威の貫通力でサクッと刺す、サク刺す、SaqSas。釣具メーカーってみんなダジャレ大好き。
このあたりのことはメーカーサイトの記述をご確認ください。
指に刺さって実感!サクサスの刺さり具合
難しいことはよう分からんがとにかくよく刺さるというのが売り文句。
このサクサス、ほんとうに良く刺さります。他の一般的なテンヤとは明らかに違う刺さり具合。うっかり適当に扱っててたびたび手に刺してしまってはその効果を実感しています。表面のコーティングに秘密があるようです。
これ系の「よく刺さる技術が使われている針」って、針先が鈍ってきたときに砥石などで研いでしまうと、刺さりを復活させるどころか余計になまって使い物にならなくなることがあります。
実際に試してみたところ、このテンヤについては研ぐことで針先の刺さりを復活させることができました。もちろん表面のコーティングは剥がれてしまっているはずなのでサクサス本来の性能は無くなっていると思いますが、その都度研いでやれば何度も復活させることができます。フックシャープナーは必須アイテム。
エサを固定するためについている3本の針についても、見たところ同じ加工がしてあるっぽいです。ほんとによく刺さる。使っているうちにあなたも実感するはずだ。
仕様の異なる6タイプ
快適波止タチウオテンヤは、なんと6タイプもの仕様があります。他メーカーの追随を許さない多彩っぷり。
まずはノーマルタイプ。いたって普通のスタンダードな波止用テンヤ。 実際これさえあれば事足ります。
そしてチャターが付いたタイプ。振動を感じることで、一定のスピード、一定のタナを引くことが容易になる初心者におすすめのタイプです。
そしてブレードがついたタイプ。
小型のタチウオに最適というふれこみのダブルブックタイプ。
そしてびっくりギミック搭載のプロペラタイプ。
まとめると以下6タイプ。
- ノーマルタイプ
- チャター付き
- ブレード付き
- スピナー付き
- ダブルフック仕様
- プロペラ付き
こんなたくさんの仕様展開をしているタチウオテンヤは他にありません。また、それぞれに幅広いウェイトの展開もあり、商品総数が大変なことになっています。これ、ぜんぶ釣具屋に並べられるの?
この中からブレードタイプを買ってきたので、これを例に詳しく見ていきましょう。
快適波止タチウオテンヤSSの共通仕様
3タイプ共通の仕様があります。
シンカーを追加して重さ調整ができる
ヘッド部分にシンカーを取り付けて重さ調整ができます。
FLAP釣法のヘッドみたいにガン玉が取り付けられたら便利だったのですが、ダイワのシンカー専用みたいです。これが対応しているシンカー。
ヘッドの下にこのようなネジ穴があり、そこにさっきのシンカーをねじ込んで固定するようです。
とはいえわざわざ専用品を買ってまで使わないなと思うのが正直なところ。それだったら本体のバリエーションを充実させたいですね。
ヘッド部分の蓄光塗料はルミノーバで長時間発光
2016年にFLASH J ルミノーバの大ヒットがあったからか、2017年はいろんな釣具メーカーからルミノーバを使った新商品が出てきました。たしかにあの発光の強さと持続性は大きな魅力。
ということでこのテンヤのヘッドにも当たり前のようにルミノーバが使われています。せっかくなのでそのFLASH J ルミノーバと並べて光らせてみました。
うおっ眩しい!
ついでにテンヤには25mmのケミカルライトもつけてます。ケミカルライトの取り付け方はのちほど。これで光のアピール力もバッチリ。
標準でケミカルライトを取り付け用可能
個人的にこれは「かゆいところに手が届いた」ポイント。
波止用タチウオテンヤにケミカルライトを取り付ける方法といえば、ルミカのテンヤホタルを使う方法と、太刀魚ゲッターならチューブを使って背中に背負わせる方法があります。普通こんなことはしませんが、ゲッターに両方つけたらこんな感じ。
そもそもタチウオを誘う目的においてこのような光り物が必要なのかという議論もあろうかと思いますが、私はエサのお腹部分を光でアピールするのが正解と思っています。
タチウオが小魚を捕食するときはお腹から噛み付くとされており、お腹にケミホタルを取り付けることでいわゆるバイトマーカーになるだろうという考えです。
そのため、私はテンヤの軸部分にテンヤホタルを装着し、そこに25ミリのケミカルライトを付けます。
でもテンヤホタルって、テンヤの軸が細めだと使っているうちに水圧で段々後ろに下がってきたり回転したりするんですよ。最悪、仕掛けを引いている途中に外れたり。上の写真はちょうど下がりきったところ。気付いたらそのたび直す。
しかしダイワのテンヤにはヘッドの下部分から後方に伸びる針金が出ており、ビニールパイプを介してケミカルライトを取り付けられるようになっています。仕組み上、どのサイズのケミカルライトでも取り付けられそうですが、最適なのはやはり25ミリでしょう。
もちろんダイソーケミでもこのように取り付け可能です。
かなりがっちりハマってるしヘッドの後ろで水圧も受けにくいので、抜けたりズレたりする確率は低いかと。この仕様はゲッターにも採用してほしいですね。
普通に取り付けると少し下方向に浮いてしまいますので、エサの取り付け時にこのケミカルライトごと針金で巻いて固定するのが正解のようです。
ワイヤーリーダー付き
これを使うかどうかは置いといて、20センチほどのワイヤーリーダーが付属しています。私はこれを使わずに太めのフロロカーボンリーダーかナイロンリーダーを使います。
切られるリスクを回避するならワイヤー。1匹でも多く釣りたいなら太めのナイロンかフロロをリーダーに。各自ご判断ください。
ただしワイヤーについてるスナップがエサ釣りに使われそうな貧弱なラウンドスナップなのが気になります。重いタチウオを上げる際に伸びて外れてしまっては元も子もないので、ここはもっと耐荷重が強いものに変えておくと安心です。
エサ付けは伝統の針金グルグル巻き方式
エサ付けはテンヤとして標準的なワイヤーを巻いてエサを固定する方式です。
この点はどうしてもゲッターの手軽さに劣りますが、考え方を変えれば、ごてごてしたゲッターより警戒心をもたれにくいメリットがあるといえるかもしれません。
こんな改造あるいはカスタマイズ
男たるもの、カスタマイズの余地があるのなら何かしら手を加えたいのが性。というわけで簡単にできる範囲で取り付け可能なパーツを追加してみました。
正直言ってこれはやりすぎですが、ここまで拡張に対応しているという一例として見てください。
ヘッドの下にもアイがあるのでそこにスプリットリングをつけてトレブルフックなどを追加できます。小さいサイズのタチウオに有効かもしれません。
先述の通りケミカルライトは標準で取付可能となっています。
ブレードタイプだと干渉しないように気をつける必要がありますが、太刀魚ゲッターのカスタマイズでは定番のトレーラーフックも取り付けられます。
快適波止タチウオテンヤSSまとめ
個人的に太刀魚テンヤはゲッター一択かなと思っていたところ、ダイワから対抗馬が出てきました。基本は従来からあるテンヤと同じタイプのものですが、さすがそこはダイワ、工夫を加えた面白い製品を出してきましたね。
値段は「普通のテンヤより若干高くてゲッターよりはだいぶ安い」という価格帯。手を出しやすい価格です。
実際このテンヤを使ってタチウオを狙いましたが、私としては良い釣果に恵まれることも多くありました。
シマノの太刀魚ゲッターも引き続きおすすめです。こちらもご検討あれ。
選択肢が増えるというのは選ぶ楽しみも増えますね。