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海から遠く離れた場所で海の匂いがする原因とは?

海から離れた場所で海の匂いがする
釣りコラム

海から遠く離れた内陸部なのになぜか海の匂いを感じるときがありませんか?

海から10キロ以上離れた土地に住む私も、幼少のころからこの現象に気づいては不思議に感じていました。

暑い時期によく見られるこの現象、都市の構造が関係する現代ならではの現象らしいことが分かりました。

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都会のヒートアイランド現象が原因だった

内陸部で海の匂いがする現象の仮説

気象予報士森田さんの記事

まずは気象予報士の森田さんによって2013年に書かれた記事をご覧ください。関東の内陸部で感じる「海の匂い」について仮説を立てられていました。

赤坂で海の匂い(森田正光) - エキスパート - Yahoo!ニュース
海の”匂い”と書くべきか”臭い”と書くべきか、東京都心では、今年の夏も、独特の海の香りが漂う夜があります。先週の金曜日、TBSの「Nスタ」で天気予報を中継したときのこと、古谷有実ア...

ヒートアイランド現象が起こす都会ならではの風

記事から一部引用します。

ただ私は、この潮の香りには「ヒートアイランド」が関係しているのではとの直観を持っています。以下、簡単にその説明をさせていただきます。

一般に地上の風は、温度の低いところから温度の高いところに吹きます。

真夏、太平洋高気圧におおわれたときは、気圧傾度がゆるく風も弱くなります。こうした日は、昼間は陸地のほうが温度が高いので、温度の低い海から陸に向かって風が吹きます。これが「海風」です。

一方、夜になると陸の温度が急激に下がり、相対的に海の温度が陸地より高くなります。したがって陸から海へと、「陸風」が吹くことになります。

夏は昼と夜、「海風」と「陸風」が交代して吹き、夕方と朝は、風の弱い時間帯が現れます。これが「朝凪(あさなぎ)」「夕凪(ゆうなぎ)」です。

いま時代を、江戸の昔にタイムスリップさせれば、夏の夜は「陸風」が吹いているはずですから、潮の香りはしないことになります。

ところが、現代は陸地の温度が夜になっても下がらないため、本来なら陸風が吹くはずが、夜でも海風の侵入で潮の香りが運ばれているのではないでしょうか。

分かりやすく納得のいく仮説です。

温度差によって風が発生する

温度の低いところから高いところに風が吹く。

これは冷たい空気の方が気圧が高くなり暖かい空気が低くなるから、冷たい場所から暖かい場所に向かって風が吹くということ。

都会の晴れた夏の夜、沿岸ではこのような現象が起きているはずです。

  1. アスファルトの温度が下がらず気温が高いままの陸で上昇気流が発生し空気量が減るので気圧が低くなる
  2. 相対的に陸より気温が低くなった海で下降気流が発生し空気量が増えるので気圧が高くなる
  3. その結果として海から陸へ向かって風が吹く
  4. 海の匂いが含まれた空気を風が内陸部へ運ぶ

夜になっても下がらない地上の気温が要因

海水温は短いスパンで変化しない

海水温は1ヵ月など長いスパンで見ればゆるやかな変化がありますが、通常の天候なら1日を通してほとんど変化がありません。夏だとだいたい20度台後半、高くても30度前後で落ち着いています。

一度上がった地上の温度は下がりにくい

対して地上の温度は一日の変化が大きい。

太陽光で地面が熱せられることで、午後のピーク時は気温が30度台後半になります。最近では40度近くなることも珍しくなくなりました。

コンクリートやアスファルトの上だともっと上がるでしょう。海水温と比べるとその差はおおよそ10度以上。大きな温度差です。しかもコンクリートやアスファルトは日が沈んでもなかなか冷えないので夜になっても地上の気温が高いまま。これがいわゆるヒートアイランド現象。

海と陸の温度差が風を生む

海水の温度とヒートアイランド現象による気温との温度差。それによって一定方向に吹く風。これが海から内陸に海の匂いを運ぶ要因ではないかというわけです。

もちろんヒートアイランド現象は決して好ましい現象ではありません。しかし高度経済成長期以降の1970年代後半に生まれた私にとって、当たり前にあった夏のひとコマです。

SNSができたことで共有できるようになった現象

みんな不思議に感じていたはず

インターネットがリアルタイムな共有を可能にした

ヒートアイランド現象はもう何十年も前から起きている現象。

昔から「今日は海っぽい匂いがするなあ?」と感じていた人は多いことでしょう。その感覚は共有されること無く、各個人が心の中にしまったままだったはずです。なにせ些細なことで特に害もありませんから、広く問題となることはなかったでしょう。

SNSが発達したことでリアルタイムにこの現象が共有され、その原因らしきものにまでたどり着けたのは面白いこと。インターネットがあってよかった。

天変地異の前触れではない

いつもと違えば陰謀論が湧いてくる

毎年暑い時期になると「海のにおい」というキーワードで瞬間的にたくさんの人がアクセスするタイミングが訪れます。やはり日没後の数時間に集中して。

こういった「いつもと違う自然現象」が起こると、地震や天変地異の前触れだとか騒ぎ出す人が一定数います。はたまたアメリカが開発したHAAP(そっち系の人が人工地震兵器としてるやつ)がどうのこうのとか、原発がどうだとか。トンデモ説を持ち出してくる。コロナ禍を経てさらに表面化した印象です。

たまたま見上げた空に変わった雲が出てるから「地震雲だ!南海トラフの前兆だ!」とか、Twitterで検索すると毎日のように誰かが呟いています。

空を見上げてみよう

そんな人に聞きたい。

普段から空を見上げているか?海や川を覗いていているか?自然を感じているか?と。自然なんて常に変化するものです。一定では無い。毎年同じ時期に同じことが起こるかといえば全然そんなことはない。

一瞬でいいから顔を上げて空を見てみましょう。毎日違った表情を見せているはずです。

この記事は関西在住の釣り人が書きました

1978年大阪生まれ大阪育ち大阪在住。

家族共通の趣味を持つべく2014年に20年ぶりの釣りを再開。京阪神の海にて活動する小物ハンター。釣りの目的は現実逃避とおかずの確保。海は大きい、自分で釣った魚は美味しい。それでいい。

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