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ブツエビの正体とは?調べて捕まえて繁殖させてみた

釣りコラム

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子どもに付き合ってたまたま川エビを捕獲する機会があり、獲れたエビになにか見覚えがありました。そこで「このエビって釣り餌でいうところのブツエビだよな」と気づいたのがことの始まり。

関西の釣具屋や釣りエサ屋では、冬場になると「ブツエビ」を取り扱いますよね。メバルの特効エサとして。暗いところ向かって泳ぐ、つまり釣り場では底に向かって泳ぐ習性があるから、上を向いて待っているメバルに効くと。

でもこのブツエビって多分関西の釣り業界の通り名であって正式名称は別にあるんだろうな。関東では「モエビ」と呼ぶらしいし。じゃあこのエビはほんとのところなんていうエビなんだろう?身近に生息していて採集しやすいし、育てられるのならエサ代がうくかも?

なんてことを考えつつ実際に育ててみたので、その経験をまとめてみます。結論を先に書くと、採取するのも飼うのも簡単で繁殖も旺盛。うまく環境を整えられたら釣りエサとして自宅に在庫するのもありです。

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 きっかけは「ヤゴ救出大作戦」から

全国の小学校で流行りつつある「ヤゴ救出大作戦」

梅雨時期のある日、帰宅すると息子が学校から持ち帰った生き物を見せてきました。トンボの幼虫ヤゴです。

プール掃除のときに採取され「興味がある人は持って帰って育ててみよう」という指導のもと、生き物好きの息子は当然のように持ち帰ってきました。どうやら「ヤゴ救出大作戦」と称して全国的に流行ってるみたいです。

でも生き物好きのはしくれである私は知っています。ヤゴは生き餌しか食べないと。思いましたね。これはメンドクサイことになるなと。

やや牽制気味に「餌はどうするん?生きてるもんしか食べへんで。」と息子に聞くと「エサを捕まえに行く。」と。やっぱり面倒なことになった…でも興味持ってるならやらせてみるかと覚悟を決めて付き合うことにしました。

近くの川で餌候補を採取

生き餌については、採取する以外にお店で買うという選択肢もありました。

私はもともと淡水から始めた釣り人。釣具屋で生きた赤虫を買うというのを真っ先に思いついたのですが、あれを冷蔵庫で保存するというのは家族の反対が目に見えています。蚊の幼虫なんだと知れば嫌悪感はさらに増すでしょう。刺すタイプの蚊じゃないんだけど。

やはり捕まえにいくことになり、後日、近所を流れる猪名川でガサガサをして餌の候補となる生き物を採取。

オイカワの稚魚、ニゴイの稚魚、フナの稚魚、種類は分からないけど何らかの川虫、糸トンボのヤゴ。それなりにヤゴの餌として使えそうな生物が集まりました。

その中には1~2センチほどの小さなエビがたくさん。

このエビ、子供の頃は単なる川エビって認識だったけど、よく見たら関西の釣り餌でいうところのブツエビだよなと改めてと気づきました。たまにシラサエビに混じって入ってるハサミが目だたないタイプのエビ。

調べたところやはりそうらしい。そしてどうやら適当な飼育環境を作ってやれば、ほとんど世話要らずでどんどん繁殖していくらしい。これってうまくやれば釣り餌を自給自足できるんじゃない?

そうなったらヤゴそっちのけでエビのことを調べまくり、一週間後には必要な材料を揃えて飼育環境を整えていました。

ヤゴは無事に羽化しました

え?ヤゴはどうなったかって?ちゃんと羽化しましたよ。ほらこのとおり。

川で採取した餌は結局ほとんど食べず。

なので息子がミミズを掘ってきたものをあげたり乾燥イトミミズを買ってきてピンセットでユラユラとアクションをつけてリアクションバイトを誘ったりして羽化まで漕ぎ着けました。達成感があったのかとても喜んでました。がんばったな息子よ。この経験は財産だ。

プール開きを前にしてヤゴ飼育に協力せざるを得なくなったお父さんお母さんのため、ヤゴの飼育について記事にまとめました。

ヤゴ飼育編はここで終了。以降はエビ飼育編に突入します。

ブツエビとはそもそもなんなのか?

ブツエビという名のエビはいない

関西の釣り餌屋では「ブツエビ」という名前のエビが販売されます。とりわけメバルを狙うための餌という印象。そのせいか基本的には冬場にしか売ってないエサ。今回私が採取した川エビがこのブツエビだと外見で判断。

じゃあブツエビって名前のエビがいるかというと、これは釣り業界で使う俗称のようです。正しくは「ヌマエビ」。厳密に言うと日本には「ヤマトヌマエビ」と「ミナミヌマエビ」の2種類の在来ヌマエビがいるようです。その中でもミナミヌマエビというエビをブツエビと呼んでいるみたい。

ちなみにシラサエビも釣り業界で使う俗称であり、正確には「スジエビ」です。

市販されているミナミヌマエビは外来種のシナヌマエビ

話はさらにややこしくなるのですが、今現在釣り餌屋で売ってるブツエビは中国や韓国からの輸入物らしく、厳密に言うとこれはミナミヌマエビではなく近縁の「シナヌマエビ」とのこと。

ペット屋でも水槽の掃除役としてミナミヌマエビという名前のエビが売られていますが、どうやらこれもほとんどシナヌマエビらしい。姿かたちは似ているもののミナミとシナは角の長さで見分けることができるらしく。

詳しい判別方法の説明はここで省略させてもらいます。ざっくり言うと角の短いほうがシナヌマエビなんだそうです。

こちらのサイトにある情報を参考にさせていただきました。

シナヌマエビが繁殖したのは釣り人が原因という説

じゃあ私が採取したエビはどっちだったかというと、角の長さから判断する限りミナミヌマエビではなくシナヌマエビと判断したほうが良さそうです。つまりは残念ながら外来種が繁殖しちゃってるということ。

何も私の近所にある猪名川だけがそうというわけではなくシナヌマエビは全国的に広がっているようで、自治体によっては在来のミナミヌマエビが準絶滅危惧種にも指定されているほど。

外来種が繁殖するに至った経緯を調べてみると、どうやら釣り人が逃がしたエサ用のエビが原因という説が有力。それだけではないんだろうけど。ブラックバスの放流とは違って外来種と知らず良かれと思ってやったことなんだろうけど残念ですね。

以上のことから本来はシナヌマエビと呼ぶべきなんですが、ペット業界でもシナヌマエビをミナミヌマエビと称して扱っているようなので、以降この記事でもミナミヌマエビという呼び名を使っていくことにします。

どうやら簡単に飼育と繁殖が可能らしい

シラサエビを使う釣り人の感覚からすると、ブクブクで酸素供給しないと生かせないんじゃない?と思うかもしれませんが、ミナミヌマエビに限っては特に必要ないとのこと。現に私が川で捕まえてきたエビは、現地で取ってきた砂と石を水槽に入れてカルキを抜いた水道水を入れただけの環境で何日も生きています。

餌については水槽や石についた苔を食べるので、極端な話必要ないらしい。一方で雑食性だから何でも食べ、適度に餌を与えてやると繁殖も旺盛になるとか。

水槽も特に専門的なものを使う必要がなく、ベランダに置いた発泡スチロール箱に最低限の環境を整えればそれでOK。つまり金も手間もかからない。ケチでズボラな私にぴったりです。

そんなわけで失敗しようがたいしたリスクは無いわけで。じゃあやってみるか。

改めてミナミヌマエビを採取する

わりとどこにでもいる生き物

飼育するにはもうちょっと数がいたほうがいいので追加で採取することにしました。採取したのはこんなところ。

ここはたぶん大雨が降って増水したときにできた場所で、今は本流と切り離され池のようになっていました。水たまりといっても差し支えありません。

底は泥で足を入れるとズブズブ沈む。泥からはメタンガスとおぼしき泡がプカリ。いうなればドブ。こういう場所でも藻や水草が生えていれば、それを網で掬うだけで何匹も採取できます。川の中でも比較的流れの穏やかな場所や止水域に生息しているようです。

ミナミヌマエビは小さい。また黒っぽい色の個体もいるものの基本は透明なため慣れていないと簡単に目視できない。そのため網を入れないと居るかどうか分からないので気付きにくいのですが、案外街中を流れる川にも普通に生息しています。

ローカルな場所で申し訳ないですが、箕面のキューズモール内を縦断して流れるあの川でも水草を掬えばいくらでも捕まえられます。

ミナミヌマエビを育てて繁殖させる

水槽は発泡スチロールを野外設置

私は小さい頃から魚取りが好きで、取った生物はだいたい家に持ち帰っていました。ですが本格的に環境を整えて魚や水棲動物を飼育したことがありません。玄関先のプラ水槽やバケツに放しては数日で死なせてきた腐れ外道です。地獄に落ちてもお釈迦様は蜘蛛の糸を垂らしてくれないタイプの人間。

今回ミナミヌマエビを繁殖させるにあたり、当時は存在しなかった文明の利器「インターネット」を使って色々と調べました。そしたら野外に発泡スチロールの箱を置いて水さえ入れておけば増えると書いてあるじゃないですか。小さい頃やってた(ダメな)飼育方法とだいたい同じやん。これなら簡単。

発泡スチロール箱はスーパーで頼んだら空き箱を譲ってもらえるみたいですが、交渉が面倒なのでコーナンで適当なものを買ってきました。たしか10リットルぐらいの容量です。これをベランダの半日陰になる場所に設置。

 底に赤玉土をしきつめる

底には軽石みたいに小さな穴がたくさん空いた土を入れるといいそうです。

その穴に水を濾過するバクテリアが住み着くことで綺麗な水質が維持できるとか。バクテリアという存在はアクアリウムをやっている人には常識なのかもしれませんが初めて知りました。

自然環境には当たり前に存在するバクテリアで水道水にも微量に存在するらしい。小さい頃に魚を飼ったとき、現地で採取した砂や石を入れておくと長生きするのは経験上知っていました。おそらくそこにバクテリアが付着していたことが要因かと。

今回も現地で苔がよく生えたヌルヌルの石を採取して水槽に入れました。目には見えないけどこれにもバクテリアがたくさん付着しているはず。

底にひく土は園芸用の赤玉土というのが安くていいらしいので100均で調達。セリアで2リットル入りの袋が売ってありました。これを発泡スチロールにザーッと入れて水道水を八分目ぐらいまで注ぎます。細かい粒子が舞い上がって赤い泥水になりましたがこれは2日ぐらいでほぼ沈殿しました。

水草を現地調達

エビを捕まえた場所に生えていた水草も採取。

ブクブクはいらないとはいえ生物なのでもちろん酸素は必要です。この水草に日光をあてれば光合成をして水中に酸素を供給することができるはず。エビの隠れ家や休憩用の場所にもなるしエビの排泄物由来のアンモニアも吸収するし、安定した飼育には欠かせないアイテム。

なお私がとってきた水草はコカナダモという水草でこれまた外来種。少なくとも私が子供の頃からこれが生えてたはず。ブラックバス、ブルーギル、セイタカアワダチソウ、アレチウリ、アダマウロ。近所の自然は30年以上のずっと昔から外来種に制圧されてという事実を今さらながら知った次第です。

待ちきれずエビ投入

水道水には現地で汲んできた川の水も混ぜ、同じく現地採取のコケが生えた石と水草も入れておきました。

カルキが抜けたであろう一日後にエビ30匹ほどを投入。本来ならもっと時間を置いてバクテリアが繁殖してからエビを入れたほうがいいみたいですが、待ちきれないのでやってしまいました。

幸いにして初期に死んだエビは見当たらず。

しばらくそこで飼って安定してきた頃に、数匹だけ1リットルぐらいのガラスボトルに移して室内でも育てました。

こんな感じです。間接的に日光があたる場所に置いて水草の光合成も促進。

この狭い閉鎖環境でもちゃんと繁殖して稚エビが生まれました。

さすがに稚エビが成長してくる段階で環境的に限界がきたのかどんどん死んでいきましたが、単独で飼うならそれなりに長く飼育できてインテリア的な使い方もできそうです。オッシャレー。

ミナミヌマエビの餌は何がいいのか

生き物なんだからエサをやる必要があります。ですが基本的にはエサをやる必要はありません。お前何わけのわからないことを言ってるんだ?とお思いでしょうがちょっと聞いてください。

ヌマエビはアクアリウムでも水槽の掃除屋としてコケを食べてくれるエビとして重宝されています。つまりエサはコケでもいいということ。室内水槽でも勝手にコケは増えますし、屋外で日光が当たる場所ならなおさら増える。ヌマエビはそれ食べる。コケ増える。ヌマエビ食べる。永久機関?

実際それだけで繁殖まで持っていくには時間が掛かるようなので、追加でエサをやりました。最終的に落ち着いたのはダイソーで売ってる「ざりがにの餌」。どうやら中身はこれらしいです。

水が汚れないよう、これを1回につきごく少量ずつ与えました。慣れてくるとエサを撒いたところにエビが群がってきてカワイイ。

正味、たいがいのものは食べてくれるようです。サビキで釣れた小指サイズのカタクチイワシを沈めておくと、数日かけて綺麗に骨だけの状態にしてくれました。髪の毛よりも細い骨だけ残っていたのには感動。

その他、釣った魚を捌いて余った切り身なんかもよく食べてくれます。釣り人的にはエサ代不要といったところです。

ミナミヌマエビの繁殖方法

先ほども書きましたが、ミナミヌマエビと並ぶもう一種の在来ヌマエビがヤマトヌマエビ。このエビの繁殖には海水と淡水の混じった汽水の環境が必要らしいです。アクアリウムは詳しくありませんが、海水の元を添加しながら比重計とかを使って塩分濃度を調整するのでしょう。めんどくさそう。

一方ミナミヌマエビはというと基本は飼育環境のまま「放置」です。以上。

いやほんとそれだけなんです。それでも卵を産み付ける水草とかいるのではと思うかもしれませんが、ヌマエビはお腹に抱えた卵から直接稚エビが孵化します。

孵化した瞬間からもうエビの形。

実際私の環境でも放置したままどんどん稚エビが孵化していきました。たまに水槽を覗いたら捕まえた覚えがない小さな小さなエビがフワフワ泳いでるんですよね。ああ、いつの間にか増えたんだなとそこで気付く。

無性生殖ではないと思うのでオスメスの個体が必要ですが、何匹か捕まえれば当たり前に交ざっているはずです。

放置でどんどん増える。スマホの育てゲー並に手間いらず。

ミナミヌマエビ飼育は常備エサ確保の手段として「有り」

釣りエサとしては使わぬまま

上手く飼育して繁殖もできたので、あとは実際に釣りに使うだけ。

ですが飼育が軌道に乗った夏から秋ごろは青魚とサヨリとタチウオにかまけて使う機会が無く。でもそろそろ涼しくなったから根魚狙いにでも使ってみるかと久々に飼育容器を覗くとめっちゃ数が減ってる。かと言って死骸があるわけではない。

よく見ると一緒に捕まえて飼っていた何匹かの小ブナやニゴイがでっぷりと太ってる。さてはこいつら食いやがったな。なんで一緒に入れてたかというとボウフラ対策。さすがにベランダで蚊を湧かせるわけにはいかないし、かといってフタをするのも面倒だし。

気がついたころには繁殖不能な数にまでエビが減っており、その後の飼育は断念。一緒に入れていた魚たちも元の水系に逃がしてやりました。

というわけでここまでやっておいて中途半端ですが釣りエサとして実戦投入できず。すまぬ。

常備エサとしてはアリ!

しかし本当に飼育と繁殖は簡単でした。うまく環境さえ整えば放置で全く問題ないし、家に常備しておく釣りエサとしては実用的だと思います。

自宅で活きエサを常備しておけるなんて他のエサではなかなか難しいこと。青イソメなんかの虫類なんてかなり大げさな設備がいるし。シラサエビも飼育は出来ると思いますが、それなりのエアレーション設備が必要なはずです。

興味をもたれましたら是非挑戦してみてください。わたしもまたやろうと思っています。

その辺の川に逃がしてはダメ

最初のほうでも書きましたが、ブツエビことミナミヌマエビ、してその実態はシナヌマエビという外来種。

もうかなり手遅れの段階だとは思いますが、在来種を守るためにも適当な水辺に放流するのはやめましょう。可哀想ですが捨てるなら絶命させたうえで廃棄を。

この記事は関西在住の釣り人が書きました

1978年大阪生まれ大阪育ち大阪在住。

家族共通の趣味を持つべく2014年に20年ぶりの釣りを再開。京阪神の海にて活動する小物ハンター。釣りの目的は現実逃避とおかずの確保。海は大きい、自分で釣った魚は美味しい。それでいい。

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